8_わだかまり①
皆で夕食を食べた後、俺達はファミリールームでくつろいでいた
スカイが母さんに作った作品を見てもらってる横で、ケインはカーロとじゃれている
俺の側ではルークとシャノンが迷宮のドロップ品を交換し合っている
基本的にドロップ品は3等分することにしていて、分けた後に欲しいものと交換するのは自由だ
そんな当たり前の光景を見ながらどこか落ち着かないのは、これからしようとしてることのせいだ
「何かシア変じゃない?」
シャノンが俺の顔をのぞき込む
「挙動不審」
ルークもボソッと呟く
分かってるよ
俺も自覚はあるんだ
でも仕方ないじゃないか…
「何でもないよ」
誤魔化すようにそう言って立ち上がると、ベランダで涼んでいる父さんに声をかけた
「父さん」
「…どうした?」
いつもと変わらない調子で父さんはこっちを見た
でもやっぱり目は合わないんだよな
いつからかは分かんないけど…
気付いたときには既に父さんと目が合わなくなってたし
かといって無視されるとかそういうのはなくて余計に混乱したことを覚えてる
「話があるんだけど…」
そう言いながら不安に押しつぶされそうになる
これで拒否されたら凹むどころの話じゃない
「…そんな顔しなくてもちゃんと聞く」
父さんは俺の頭に手を置いてそう言った
「屋上で話すか」
「ん」
シャノンとルークは何事かと興味深げにこっちをチラチラ見てるけど、それに構ってる余裕なんてない
屋上は皆滅多に上がらないから多分、気を使ってくれたんだと思う
俺は先に歩く父さんを追いかけるように屋上に向かった
屋上には不規則にベンチが置いてある
その一つに父さんが座るのを見て、俺はそのそばのベンチに座った
「…で?」
父さんは俺に話を促した
どう切り出せばいい?
意を決して来たけどいざ話そうと思うと怖い
せっかくここまで来たのに、何か言わなきゃって思うのに、うまく言葉が出てこない
嫌な汗が背中を伝うのが分かった
「シア」
「!」
名前を呼ばれて弾けるように顔を上げた
「焦らなくていい。上手く話す必要もない」
「…」
真っすぐ俺を見てそう言われて泣きそうになった
父さんの優しいこの眼差しを真っすぐ見たのはどれくらいぶりかな…
「言いたいことがあるなら遠慮せずに言えばいい。お前に何を言われても受け止める覚悟はあるし、何があってもお前が大切な息子だってことは変わらない」
「嘘だ…」
その言葉は反射的に出ていた
言った瞬間思わず口を押さえても、吐き出された言葉が無かったことになるわけじゃない
こんな言い方するつもりは無かったんだ
こんないい方したら俺は…
「…何でそう思う?」
父さんは怒ることも、責めることも、反論することもなく、ただそう尋ねた
「俺は…」
続きを口にするのが怖い
言葉に出来ずただ俯くしか出来なかった
父さんはそんな俺の言葉をただ待ってくれた
「俺は…俺はあの時力を暴走させたから…!」




