15話 夜の花見酒
軽トラが止まった場所、そこは夜桜がライトアップされた宴会会場だった。
「ここ宴会会場だけど?」
「そう、今日は街おこしの人から依頼が来てね、ここの宴会場の見張りをしていてほしいらしいんだ」
「そうなのね~てっきりヴァンパイアを殺す任務かと思ったよ~」
「でもこの近くには害獣が居るらしいからそれから人を守ってほしいって言う依頼でもあるんだ」
「もしかして害獣がいるんですか?」
「そう、害獣から一般人を守る、これが私たちの仕事。それにとある会社の人たちにも協力要請を仰いでいるらしい。でも私たちには関係が無いし無視をしてもいいね」
こうして私たちは宴会会場を回っていくと酒盛りしている会社員の集団や明らかにカタギじゃない人たちも一緒に酒を飲み合っていた。
(酒を飲める年齢じゃないけど大人になったらあんな感じに飲みたいなぁ)
「一応私とシリウスは年齢詐称したら飲めなくはないけどドゥーロは明らかに子供だからなぁ~飲めないよね~」
「そうだね」
「成長したらきっと飲めるはずだよ~ん?」
シリウスは茂みの中が気になったようで暗闇の中をじっと見つめた。
「シリウス、どうしたの?」
「何かいたような気がするんですよ~?」
「何かいた……動物か?」
「分からないけど何か感じた」
私はシリウスが感じた何かを気にした、そして宴は深まり人の声が騒がしくなってきた時に事件は起きた。
「屋台も出てて凄いね」
「シリウスはトウモロコシを食べてるしドゥーロはポップコーンを食べてる、一応仕事中なんだよ?」
「分かってる、だけど宴だし楽しまなくてはならないだろう?」
「シリウスの言う通りなんだけどさ……コーンを頬一杯に詰めて話さないでくれる!?ちょっとコーンがこっちに飛んできてるの!」
私とシリウスはせっかくの宴だからと楽しみつつ仕事を行っていった。するとシリウスは再び森の中に目を向けた。するとそこに居たのは熊だった。
「熊がいるよ~」
「人里まで来るとは……もしかして食べ物の匂いにつられたのか?」
するとシリウスは口にトウモロコシを咥え、片方の手で隠しながら透明なナイフを取り出した。それは熊に対する最終警告だった。だけど熊はこっちに近づいてきた。シリウスは空いた片方の手でトウモロコシを口から外した。
「これは駄目だな。ごめんな」
そう言ってシリウスはナイフを投げた。熊の脳天と目を正確に狙ってナイフを突き刺したのだった。だが熊の断末魔が聞こえなかったのだ。
「シリウス、もしかして熊を殺ったのか?」
「そうだ、人に危害を加えると判断した」
「おおう……私を襲ってきた時の迫力だなぁ」
一旦人を襲おうとしていた熊を始末したシリウス、だがその熊は血を流していなかった。
「ねぇねぇ、あの熊、血を流してないように見えるけど?」
「確かに血の臭いがしない」
「おかしいと思っていたんだ、血の臭いが無いのに」
シリウスは熊が倒れた場所に向かった、すると熊の死骸がペラペラだと言う事に気が付いた。
「へぇ、どうして血の臭いが無かったか、それは本物の熊そっくりに作られたぬいぐるみだった」
「ぬいぐるみでも勝手に動かないよ?」
「勝手にぬいぐるみは動かない、今のところは何の手掛かりもないな……」
(ヴァンパイアの能力なのかもしれない、でも断定はできないな)
私たちは熊のぬいぐるみが勝手に動いた理由は分からず終いのまま警備を続けていき、周りの人々が帰り始めると私たちも撤収作業し始めた。
「とりあえずぬいぐるみが勝手に動いただけでよかったね」
「実害が無くてよかった~」
「もっと食べたかった気がするね……」
私たちは軽トラに乗り込み、出発準備を整えていった。すると中年太りしたおっさんが近寄ってくるとシリウスに段ボールを渡した。
「シリウス、何を貰ったの?」
「焼きトウモロコシの店主が焼きトウモロコシを持ってきてくれた、ありがたいなぁ~」
「……今日の晩御飯になりそうだな」
「晩御飯にしてやろうか。出発するぞ」
軽トラが走り出し、喫茶店に帰っていったのだった。だがあのぬいぐるみが勝手に動き出したことは幽霊のせいなのか、それともヴァンパイアの影響なのか未だ分からないのだった。
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