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9月15日(火)
仕事から帰宅して、のんびり部屋でテレビを見ていた時だ。
目の前のテーブルに、なにかあるのに気付いた。
――なんだこれ
手に取ってみる。
それはどう見ても爪。
人間の爪だった。
ちょっと小さくて、女性か子供の爪のように見えるもの。
――ええっ!
俺の爪ではない。
俺の爪は全部ある。
だったら誰の爪だ。
どうしてここにあるのだ。
おまけに少し前にテーブルを拭いたばかりだ。
その時に爪など落ちてなかった。
なのにどうして今、そんなものがここにあるのだ。
薄気味悪いし不気味だ。
同時に不思議なことでもある。
俺はけっこうビビりながら、その爪をまるで爆発物でもあるかのように、慎重にごみ箱に捨てた。