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【はじめに】~【ライトノベルとなろう系をそれぞれ定義する】

【はじめに】

 先日、とあるレーベルのとあるコラムを読んで、驚愕した。「ライトノベルとは何か?」と問いかけるそのコラムに、なんのためらいもなくウェブ小説作品が一緒くたに載せられていたからだ。


 ライトノベルとウェブ小説の見分けがまったくついていない……だと!?


 なぜ、そんなことになっているかというと、コラム内で挙げている作品を著者が一切読まずに「ライトノベルとは何か?」を語っているからなのだが(そう断じられる理由は別エッセイに詳述している)、このコラムに限らず、ライトノベルとウェブ小説の混同、実はけっこう多いのではないだろうか。


 読者、作者の皆さまはこんな経験をしたことはないか?


「ライトノベルが読みたいのにランキング上位がなろう系ばっかりでつまらない」

「自分は非なろう系小説を書いてるのになろう系って言われる」

「ラノベとなろうは別物って言いたいけど、うまく言葉にできない」

「古のラノベオタクたちが、なろう作家にこんなものはラノベじゃない、とマウントとってくる」


 などなど。

 少なくとも、私の観測できるツイッター上の創作界隈では、上記のようなやり取りは日常茶飯事で、飽きもせず延々と不毛なレスバを繰り広げている。

 私も発言主さんたちも半ば楽しんでやっているフシがあるので、それはそれで良いのかもしれないが、それもこれも元はと言えば、ライトノベルとウェブ小説がよく区別されないまま混同され、使われているゆえ起こる悲喜劇である。


 そこで、今後両者の混同を防ぐため、それぞれの在り方を定義し、“なろう系”とはライトノベルとはまったく別物であり、独自の存在価値を持つという結論に導こうというのが、本稿の趣旨である。

 “なろう系とは何か”。これまたクソでか主語で、いわゆる”なろう系作品”を一度も書いたことのない私がこんな無謀な挑戦をすれば、荒れに荒れるのではないか、といまから恐々としている。(まったくの無風だったら、それはそれで悲しいが……)


 もし、本稿がきっかけで私のもとに誹謗中傷のたぐいがどしどし届いたとしても、私は送り主を恨まない。例のコラムを恨むことにする。こんな無謀な挑戦をするはめになってしまったのも、元はといえば粗雑きわまりない記事に対する怒りゆえなのだから。



【ライトノベルとなろう系をそれぞれ定義する】


 改めて、このエッセイはウェブ小説というものについて、従来のライトノベルと比較しつつ、その正体を探っていこうという試論である。

 結論のないエッセイを長々と読まされるのは大変な苦痛だろう。

 本稿もやたらと長いので、読者の痛みを少しでも軽減するため、結論となる”定義”からこの項で先に記述する。


 まず、ウェブ小説として投稿サイト(小説家になろう、カクヨム、ノベルアッププラス、ノベリズム、アルファポリスetc.)に掲載している作品、個人ブログで発表されている作品を、人気作から隠れた名作までジャンル問わずに全て含めたりすれば膨大極まりない量となってしまい、とても議論が成り立たない。

 なので、以降、本稿では仮に以下の定義でカテゴライズした作品をウェブ小説の中でも特に”なろう系“と呼称して議論を進めたい。


 ①ウェブ投稿サイト上で人気を博している一定の形式に則り(乗っ取っちゃだめですよ~ ちゃんと則らないと。ちょっと落ち着きましょう♪)

 ②投稿サイトのランキング上位に上っているか

 ③コンテスト入賞などで書籍化を果たしている作品

 =なろう系


 くどいようだが、これは本稿のための仮の定義で、他に良い呼称が思いつかなかったからこの言葉を用いているだけである。

 そこには異世界転生もの、追放もの、悪役令嬢もの、成り上がりもの、現代ラブコメ、その他もろもろの作品も含むし、小説家になろう投稿作品のみではなく、カクヨムなど他の投稿サイトの作品であっても、上記定義に当てはまると考えた作品はすべて”なろう系”と本稿では呼称している。また、なろう系という呼称を揶揄する意図も一切ない。


 さて、では定義である。

 ライトノベルの定義については、私がくどくどと議論するまでもなく、ライトノベル作家の杉井光先生がnote「『ライトノベルの定義』に対する最終回答」にて以下のものとして定義しているので、それをそのまま援用したい。


 ・ライトノベルの定義

 “ライトノベルとは、 『十代後半あたりの青春期に抱く憧れを、読者の心を惹きつけるための原動力として恥じることなく用いた小説』 のことである。”


 杉井光先生は非常に多作な作家で、その著作のファンのことを一部ネット界隈では(多分に侮蔑的な意味を込めて)”信者”と呼称されることがある。(信者はどうせこれも買うんだろうけどww等)

 私は尊敬する作家を一人挙げよと言われれば迷わず杉井光先生の名を答えるくらいには、まあまあのレベルの信者な自覚はある。

 宗教上の理由から杉井光先生のおっしゃることを否定したり補足したりはできない。

 よってラノベの定義については一から十まで杉井光先生の定義をそのまま用いる。

 気になる方は以下にリンクを貼っておくので参拝されたし。

 https://note.com/hikarus225/n/n5ba21548bacf


 ライトノベルが”青春期に抱く憧れを原動力とする小説”であるなら、対してなろう系小説はどう定義できるか。ここからが私の主題だ。


 ・なろう系の定義

 “なろう系とは、 『ウェブという膨大な集合体が抱く無意識的な欲望・欲求を満たす物語』 のことである。”


 次項以降、この結論に至るまでの過程を順に詳述していきたい。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 論を始める前にまず用語の定義をしている点。 ここをおろそかにしてふわっとしたイメージで語っている方が大半なので、とても良いと思います。 [気になる点] ウェブ小説とライトノベルを一緒に扱っ…
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