第四十一章 新たな街へ
コンティーニュ国王都に位置する騎士団詰所本部。その一室に割り当てられた対終骸騎士団〈ペレグリム〉の調査室。
風通しの良いその部屋で、俺と真耶が集められた調査書類をパラパラとめくっているとその知らせがマリアと共に飛び込んできた。
「オイ、蓮!」
「どうしたんだよマリア。血相変えて」
「入ったに決まってんだろ、終骸の情報がよォ!」
「なんだって?」
騎士団に任命されて数週間。もらった貴族位の扱いだとか屋敷の手入れだとかで忙殺されていて、本格的に調査に乗り出したのは数日前からだ。
「それで、終骸がまた現れたんですか?」
「おう遠岸妹、近いけど違ェ。まあ聞けよ」
会議用の椅子にドカッと腰掛けるマリア。相変わらず豪快な性格の姫様でいらっしゃる。
そんなマリアが机の上に広げたのはこの国の新聞と思われる数枚の紙片だった。どれも文体は違えど書かれている内容は同じのようだ。
「神隠し? なんだよ、都市伝説のゴシップネタなら散々見飽きたぞ」
「違ェよ。コイツは、ある都市でここ一か月多発してる行方不明事件の記事や報告書だ。ガキからジジババまで年齢を問わずに大勢消えてるらしい。キナくさいと思わねーか?」
ふむ。正直証拠と呼べるレベルでもない。
だけどそんな事件が起こっているのなら、終骸が絡んでいないにしても不可解だし、何かが起きているには違いない。放ってもおけないか。
「確かにな。よし、なら調べに行こうぜ」
「そう言うと思ってたぜェ。もう馬車は手配してある。今すぐ向かえる」
「気が早いですね、マリアさん。そんなに暴れたいのですか?」
呆れ気味に問う真耶に、罰の悪そうな顔をするマリアの顔を見て俺も理解する。
この姫様、最近目立った事件もないから元気を持て余していたわけか……。
「う、うるせェ! ほら、行くぜレン!」
「あっ、おい引っ張るなって!?」
「兄さんを連れていくなら私も行きます」
「別にてめェは来なくてもいいけどな!」
「そういう訳にはいきませんよ」
などと。
俺たち三人は賑やかしくしながら、準備を手早く終わらせて馬車へ飛び乗ったのだった。
目指すは行方不明事件が多発しているという大都市。王都から西に位置する魔導技術研究地区〈マギソフィア〉。誰が呼んだか、“魔法使いの街” である。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
「ふぅむ」
積み重なる書物。怪しげな煙を吐く大量のフラスコ。そんな雑多に置かれた物の山の頂で、分厚い書物をなにやら難しげな顔で読み耽る幼女が居た。
幼女と言っても、見た目とは違いその顔つきからは永い時を生きた老人のような思慮深さも兼ね備えた重厚さが漂っている。極め付けに、背中に生えているドラゴンの物と思しき翼が、彼女が人外であることを示していた。
「……いよいよ、この街に彼奴めが来るのじゃな。待ち侘びたぞ」
険しい顔から一転。まるで恋する少女のような綻んだ顔を見せて立ち上がると、そんな嬉しそうな表情のまま巨大なハルバードをどこからともなく取り出し、クルクルと振り回しながら、言った。
「これでようやっと、勇者レンに復讐できるというものよ! その素っ首叩き落としてくれるわ!!」
なんて。
物騒なことを宣うドラゴン幼女は、高笑いと共に歓迎するためのさらなる準備へと取り掛かるのであった。
お久しぶりの投稿となってしまいすみません汗
ようやっとまとめて書いていける感じになったので、またここからぼちぼちと続けていこうと思います!
少しでも面白いと思ってもらえたなら、星やいいねで応援お願いします!




