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短編集  作者: 双葉 はる
7/11

Rainyday partner

ほのぼのファンタジーです。


私は…雨の日に君に頼りにされる。


雨の日だけは…君の相棒。


Rainyday partner


雨の日の君は少し憂鬱そうだ。


いつものように朝食を済ませると鞄を持って靴を履き私を持った。


「いってきまぁす。」


君は知らないだろうけど私が毎日聞いてる言葉だ。


その言葉は私は気に入っている。


それも君は知らないだろうけど。


君は私を開き空へ向かって持ち上げる。


少し面倒くさそうに肩に私を乗せあなたはくるくると私を回した。


そんなに回したら…目が回ってしまいそうよ…


でもやめてっていっても君には聞こえない。


だからいわない。


「沙希ちゃん今日も元気ねぇ。」


隣のおばさんはどうやら散歩中らしい。


おばさんのパートナーの雑種のルルも一緒だ。


「ワンッ♪」


ご機嫌なのかルルは私に挨拶をしてきた。


私は雨をはじきながら(無理な話だが)笑顔を返そうとした。


まぁ失敗に終わったが。


君は駅に着くと私を閉じた。滴る雨を犬がそうするようにばさばさと振り落とす。


私の下にはおねしょのような小さい水溜りが出来てしまった。


サラリーマンの男の人が黒い傘を振りながら歩いていた。


君は迷惑そうに顔をしかめた。


私が喋る事が出来たならあのサラリーマンを怒鳴りつけてやれるのに。


学校までの間私は何も言わずにただ…そこにいる。


電車が揺れる度に私も揺れて。満員だから人の熱気を感じる。汗臭くって嫌だけど、今から頑張ってくるんだっていうパワーを感じる。


君の通学路は、小学生から中学生になったことによって大きく変わった。見慣れた近所の光景じゃなくて電車を乗り継いでいく都会の町に。


それと一緒に君の私を持つ位置もどんどん低くなっていった。


君がまだ小さかった頃は腰よりも高い位置まで私が君を占めてたのにな。


そんな私を君はずっと使っていてくれるから先は擦れて当たると痛いんだよね。ごめんね。


でもどんなにぼろぼろになってもさ。側に置いておいて欲しいな。普段は学校の置き傘でもいいから…せめて雨の日くらいは君の側に。


2009.6.15




壊れても傘をすぐ捨ててしまっては傘がかわいそうだと思います。


捨ててしまう前に一度傘との思いでを思い出してみるのはいかがでしょうか?


電車の中の持ち主の居ない傘の叫びを聞いてふとこの話を思いつきました。


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