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短編集  作者: 双葉 はる
2/11

焼芋戦争アナザー

いつもひとりでいた。その方が…楽だったから。

そんな私についたあだ名は『ボッチちゃん』

ボッコちゃんって小説知ってる?星新一さんって人が書いてる小説。

その小説を読んでたら先生がある日いったんだ。

「小坂…おまえはボッコちゃんじゃなくて一人ボッチちゃんだな」ってね。

それから私のあだ名はボッチちゃん。別に嫌な気はしなかった。

別に好きでもないけどね。そんなあだ名。

そんな私でも恋をしたんだ。

いつも通る焼芋屋さん。いつも一生懸命に焼き芋を売ろうとしてるんだ。

たった一人で孤独で…私と同じ一人ボッチの筈なのに一人じゃなくて…。

私みたいにうつむいてなくてとても楽しいそうで生き生きしてて。

いつもただ…ただ見てるだけで。



三月も終りを迎える頃

学校は春休みを迎え一日中のんびりしている。

焼芋屋さんは今日も一人。一人ボッチで焼芋を売る。

「焼芋〜焼芋はいりませんか〜美味しいですよ〜!!」

放送ではなく外に出て声を張り上げて。

そんな彼だから魅かれたのだろう。

夕方になり私は急いで銀行に向かう。

使わずにいたお小遣いを下ろすためだ。

戻ってみると焼芋屋のお兄さんは近所の須山さん親子と戦争していた。

あ、嘘だよ?売ろうと必死にお兄さんは頑張っていた。

そっと聞き耳を立てて会話を聞き取ろうとする。

ソフトクリームに負けちゃったのか…あそこのソフトクリーム美味しいもんな。

悔しそうに売れなくなった焼芋を握り潰す焼芋屋さん。

私はそっと声を掛ける。

「あ、あの…。」

焼芋屋さんがこちらを振り向く。

空ろな目でこちらを見ている。

生き生きした表情が曇ってしまっていた。

顔…赤くなってないかな?

私はそんな馬鹿げたことを考えてしまう。

「三万円あったら100個焼き芋買えますよね!!」

焼芋屋さんはすぐに嬉しそうな顔をした。

「はい!今すぐつめますんで!!」

意気揚々と焼芋をつめる焼芋屋さん…。

「また買いに来ます。ここの焼芋大好きなんで…。」

パンパンの袋を抱えて私は言った。

本当に大好きなのは名前もしらない焼芋屋さん。

ボッチちゃんの初恋の相手…。


それで…この大量の焼芋…どうしよう?


2009.3.23


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