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悪夢

はじめまして、見てくれてありがとう。

「おい、久楽(くだら)。やべーことに気付いた」

「あー、なんだ」

「おっさんって全員ノーブラじゃね?」

「俺らもだけどなそれ?」


読んでた本から目を上げて損した、どこまで読んだか探さなきゃいけなくなったじゃねぇか。


閉め切った窓の外では、蝉と野球部が声出し争いを繰り広げている。冷房の効いた部室でダラダラしているだけの俺と(しょう)とは正反対の、熱い、もとい暑い戦いをしているようだ。今んとこ僅差で蝉の勝ちだが、夕方までのスタミナ勝負こそが本番になってくるだろう。


「でもよ、不思議だよな。女の子のノーブラには興奮するのに、おっさんのブラジャーにはピクリともしねえ」

「なんで基準がブラジャーなんだよ」

「いやだってよ、パンツは男女ともに履いてるわけじゃん?」

「そりゃそうだ、どっちも出るとこあんだから当たり前だろ」

「でさ、男なら『おっさん』って呼ばれる歳でも若々しい女性はいらっしゃるわけで」

「まぁ、たしかに女の人の方が見た目で年齢分かりづらいけどな。あとなんだその口調」

「そんでもって、どっちも胸出てるじゃん?」

「世界中のおっさんに謝り倒せよ」

「つまりさ、年齢とか肉体的なこととかブラの有無は問題じゃなくて、要は興奮するかどうかは男か女かが大事ってことなんだよ」

「何言ってんのお前?」


あとブラから離れろ。


……と言うと、話が無駄に長引きそうなのでやめておく。くだらない話はオチを付けたらそこまで、それが俺たちの暗黙のルールだ。


ちなみにここはサッカー部とかバスケ部とか、スクールカースト上位勢の部室ではない。ここは囲碁部である。更に言えば、碁盤は4回しか出した事が無いし、五目並べしかルールが分からない。


「しっかし、良いのかね久楽くん。青春の1ページをこんなところで過ごして」

「お前こそどうなんだそこは」

「俺はいーのよ、夏にも涼しい部屋で漫画さえ読めれば」

「ま、そこには同意だな」


俺は本を、翔は漫画を。共通で読んだことのある書籍は教科書ぐらいのもんだろう。……いや、コイツが「教科書を読んだことがある」と言って良いのかは疑問だな。


「そんで?今日はどんな漫画を読んでんだ」

「全人類を丸刈りにしようとする悪の組織と鼻毛を武器に戦うサングラス掛けたアフロの話」

「何一つ意味が分からんが、その作者大丈夫か?」

「たぶん大丈夫ではないな」


そんな漫画あるわけねーだろ、と思ってスマホで調べたら本当にあった。しかも昔ゴールデンでアニメをやっていたらしい。そしてタイトルの文字がほぼ同じだった。


「で、お前は?どんな本読んでんの」

「記憶を無くした精神病患者にひたすら殺人事件の絵とかを見せ続ける話」

「何一つ意味が分からんが、その作者大丈夫か?」

「間違いなく大丈夫ではないな」


なにせ日本三大奇書と呼ばれるくらいだしな。あと誰も思ってはないないだろうが、奇書とは「キッショ!」の奇書ではない。それと、なんとなく言わなければいけない気がするので言っておく。


私も読んだことがありますが、精神に異常をきたしたりしておりません。


「よく読んでられるよなぁ、そんな本」

「鼻毛で戦うよりまだ現実味あるだろ」

「脇毛とかも使うぞ」

「ますます意味分かんねぇ」

「だろうな、俺も分からん」


そらそうだ、そう思いつつ俺は再び手元の本に目を落とす。






その晩俺は、鼻毛を武器にした丸刈りの精神病患者が「ミーンミンミンミン!!!!!!!」と叫びながら襲いかかってくる夢を見た。

「くだら」ない、「しょう」もない会話はいかがだったでしょう?


ボチボチ書いていくから、良かったらブックマークよろしくね。

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