1話 死にゆく生徒
吸血鬼を君は聞いたことが何回かあるだろう。吸血鬼は人間の血を飲むモンスターとして有名であり、また、血を吸われた人間は吸血鬼と化してしまう。そして、吸血鬼が現実にいるとされている。そんな吸血鬼が今、僕の目の前にいる。僕の名前はクリス・ワーサー。ただの高校生だ。
ー3時間前ー
「クリス。またテスト学年1位じゃん。」
と親友であるハリスに話しかけられた。僕の唯一の友達でもある。
「そうだね。あっ!ハリスも名前載ってるよ」
そう、ハリスは学年でも3位以内入る強者だ。
「そろそろ授業になるから教室に入れよ」
先生の声が聞こえ、みんなが各教室へ入った。僕たちも教室へ入ると、いつも変わらない無機質な時計、時計の横には自国の国旗が掲げられている。今は、5時間目の授業中だ。
「今回の実験はレポートもあるからな。レポートは学校から貰ったMacBookに書いて、完成すれば、先生のアカウントに提出するように」
と科学の先生に言われた。
実験だって、今回のはやる気が出ない、レポートなんかもってのほかだ。
授業を終え、廊下を歩き、自分のロッカーにつき、携帯をつけて少しゲームをした。
6時間目開始のベルが鳴り、今度は日本語科の教室で「Wa room」と筆で書かれた教室に入った。ここが僕にとってとてもお気に入りの教室だ。外国の知識や文化、歴史を学べるというありがたさがあるし、寝ててもあまり怒られないからだ。
「今日は、安土桃山時代に入るので、これから、みんなの端末に資料を配布するからね。」
最初この教科を聞いた時は正直びっくりした。なぜなら、ヨーロッパ地域にある学校は普段はヨーロッパの歴史を学び、たまに日本の歴史に触れることが当たり前だが、この学校はなぜか日本の歴史を学ぶことができる。ヨーロッパだけの歴史はあまりにも退屈なことが多いが日本には、ヨーロッパにはない文字や服があるから好きなのだ。
終了のベルが鳴り、自分のロッカーへ行こうとした時
「ガッシャーン!!」
突然人が窓ガラスを突き破って壁にぶつかっていた。
「あぁ。。いだい」
その人の背中はガラス破片がビッシリと刺さってて、血がたくさん出ていた。
すると、今度は僕の後ろから、
「逃げろー。やばいやばい。」
といいながら、3年生の人たちが僕達の教棟に大勢入ってきて、渡り廊下先行きのドアをしめた。
「何が起きたんですか?」
僕は3年生の人たちに聞くと、
「窓ガラスを割ってきた不審者が生徒の首に噛み付いて、噛みつかれた奴がさらに人を噛み付くという現象があったから、みんなが逃げてきたんだ。」
僕は「?」しか思い浮かばなかった。でも、それがわかることが一つある。先ほどの背中にたくさんのガラス片が刺さっていた人だ。
すると、
「頼む開けてくれ!!死にたくないんだ!」
逃げ遅れた3人の3年生の人たちが命乞いをしていたが、
「すまない。それはもうできない。お前らも見ただろ!あいつらのものすごく速いスピードで教師と生徒を襲ってたのを。もうこのドアを開けることは無理だ。わかってくれ。」
3人の3年生は泣き崩れてしまった。そして、
「ブン」
という風の音が聞こえたかと思うと、3人の姿が消えた。そして、死にましたと思わせるように手の形をした血がドアの向こう側についた。すると
「パリーン」
とガラスが割れた音が聞こえた。
それと同時に
「キャーーー!!」
悲鳴が聞こえた。僕はハリスと一緒に悲鳴が聞こえた場所に行くと、
「う、、、助けて。背中が痛い。」
悲鳴のあった場所では科学の先生が首に何かに噛みつかれた後と肉がえぐれていた。そして、目を見開け
『逃げなさい』
と言うように顔を硬らせ息を引き取った。
「おい、ラビゾイ(動画アプリ)でこの辺りの地域からの動画が上がってるぞ。この地域全域でこの襲撃があるみたいだよ」
2年生の男子生徒が言った。
その瞬間
「グルルルルルル」
3年生が閉めたドアの向こうに命乞いをしていた3人の3年生の生徒が口からはみ出すほど細く鋭い牙が生え目は茶色から赤色に変色していた。
「ゾイ! 椅子をありったけ持ってこい。バリケードを作るから。あとそこにいる君たちも椅子や机、避難用のおのを持ってきてくれ。」
僕たちの目の前にいる3年生の生徒がこう言った。
「モリス!持ってきたぞ。」
ゾイと言われた人が椅子を4つ持ってきた。すると、奥からリレー形式で椅子が次々に運ばれていく。
僕もハリスと一緒にこのリレーに参加して椅子計42脚持ってきた。
椅子が的確に持ってこれたことにバリケードはすぐに完成した。
「学生寮はどこにあるんだ?」
モリスという人が僕たちに尋ねた。
「グラウンドの奥にある3棟あるところが今の学生寮になります。」
ハリスが答えてくれた。そう、僕もハリスも学生寮に住んでいる。
「ありがとう。僕の名前はモリス・ランドール。よろしく」
モリスはそう言って僕たちと握手をした。
ー次話へ続くー