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花ちゃんさんじゅうよんさいのバレンタイン

作者: タマゴ

 二月十四日、それは甘くとろけるような時間を多くの者が享受する日。

 しかし、幸せを享受できる人々がいる反面、その享受に与れない人々がいるのもまた事実。


 トイレの花子さん。

 彼女もまた、そんな甘い享受とは無縁の一人であった。


 株式会社アーバン・レジェンドの女性社員の一人にして、入社十年目の中堅ながら営業部のエースの一人でもある。


 そんな彼女にとって、毎年訪れる二月十四日は甘くとろけるとは真逆な、苦く苦しい日であった。

 だが、そんな毎年訪れる苦難の日であっても、一筋の温かな光が存在していた。

 それが、同期で親友のメリーさんと飲み明かし、語らい零し、そして擁護し合う。まさに同病相憐れむ、というものであった。


 しかし、そんな唯一の温かな光は、今年、遂にその筋を消滅させた。

 去年の聖夜、親友のメリーさんが念願の彼氏をゲットしたからだ。


 翌日に行われた衝撃の発表後も、ボヤイターやノウメンズブック等のSNS上で発表されていく、メリーさんと彼氏との胃もたれする程の甘ったるい幸せ続報の数々。

 彼氏と迎える幸せ初詣。そんなタイトルの記事と共に、笑顔で顔を寄せ合うメリーさんと年下と思しき彼氏との添付写真を目にし、そのあまりの幸せっぷりに、遂に限界を超えて手にしたスマホを壁目掛けてぶん投げた正月三が日。

 幸せ御節、人が一杯だったけど楽しかった初売り、楽しい鏡開き。

 最近では。楽しい豆まき、美味しい恵方巻き、そして、彼氏によるメリー鬼の鬼退治。という何とも意味深な文章で締め括られた記事が上げられ。


 そのあまりの幸せオーラ全開に、食べていた恵方巻きを豪快に食いちぎったのは、トイレの花子さんにとって今年の忘れられない思い出の一つだろう。


 兎に角、去年の聖夜以降、表面上は親友であるメリーさんの幸せを祝福し応援してはいたものの。

 その内心は、地獄の如く煮え滾る負の感情を内包させ、苦行の日々を過ごしていた。


 そして、明日。

 そんな溜まりに溜まった負の感情が一気に噴火するであろう総仕上げの日、二月十四日を迎えようとしていた。



 何故明日が総仕上げになると言い切れるのか、それは、先ほどからメリーさんが職場の同僚達と、楽しく十四日の予定について話しているからだ。


「じゃメリー先輩も手作りですか?」


「うん。やっぱり初めて過ごすバレンタインデーだし、ちょっと頑張って作るの」


「わー、素敵です!」


「初々しくていいわね。わだすなんてもう旦那と結婚して十年ぐらい経つから、もう市販の安チョコあげて終りよ。……あ、でもその点、口裂けちゃんは新婚さんだから盛り上がるんでしょ?」


「え! う、ウチはえっと……。盛り上がると言うか、もりもり食べたいと言うか……」


「あぁ、そっか、口裂けちゃんは大食いだもんね」


「えへへ」


「所でメリー先輩、やっぱりバレンタインのお返しはその日の内に貰う予定ですか!?」


「え? えっと、どうかな? 一応、そうなってもいいように、勝負下着つけていく予定だけど」


「わぁお、やるわねメリーちゃん」


「すごいです」


 盛り上がるガールズトークを、自身のデスクから聞き耳を立て聞いてたトイレの花子さんは、手にした缶コーヒーを握り潰す。

 飲みかけであった為、缶の中に残っていた黒い液体がデスクへと飛散する。



 チョコのお返しは俺からの愛だよ、ってか。



 目を血走らせながら、嫌な妄想がトイレの花子さんの脳内で繰り広げられていく。

 あの幸せグループにいる同僚達は、何だかんだと言いながら、幸せなバレンタイン当日を過ごすのだろう。


 柔らかく言えば『ぽっちゃり』、下品に言えば『デブ』。そんな口裂け女さんと一生の愛を誓った旦那。

 トイレの花子さんから見れば、物好きとしか思えないそんな旦那と口裂け女さんは甘く満腹なバレンタインデーを過ごすだろう。


 隙間女さんも今年で結婚十年目、錫婚式(すずこんしき)を迎える。

 子育てに仕事と忙しいであろうが、やはり十年と言う一つの節目を迎えたのだから、特別なバレンタインデーを過ごさないとは考えずらい。

 チョコは市販でも、子供を預け、夫婦水入らず、お洒落なレストランで食事をする。とも考えられる。


 トイレの花子さんの後輩にあたる首なしライダーさんも、学生の頃から長く付き合っている彼氏がいるのは周知の事。

 マンネリを迎えているとも噂されるが、なればこそ、バレンタインと言う特別なイベントを切欠にそのマンネリを乗り越える事も考えられる。

 例年とは異なる新鮮なバレンタインデー。新鮮さは、マンネリ打破の重要な要素なのだから。


 そして、今年の主役にして総仕上げの大本命、メリーさん。

 聖夜から現在まで、年中行事を切欠に更に愛を育んできたのだ。彼氏と向かえる初めてのバレンタインデー、何もない筈がない。

 一体どんなとびっきりのサプライズを用意している事か。

 いや、大掛かりなサプライズでなくとも、付き合い始めてまだ日の浅い内ならば、ちょっとしたサプライズでもその愛の炎は大いに燃え上がるだろう。


 つまり、どうあっても、トイレの花子さんにしてみれば血涙を流さずにはいられない当日を迎える事は必須。

 そして、明後日十五日は甘い思い出話で盛り上がることも間違いない。



 即ち、どう足掻こうが、バレンタインが何事もなく終わるなんて事はありえないのだ。

 例え現場を目にしなくとも、耳にしなくとも、当日を迎え想像しただけで、トイレの花子さんの負の感情は大噴火を起こすだろう。



 このやり場のない気持ち、解消できればどれ程救われる事か。


「あの、花子さん。この資料なんですけどね……」


「あぁ!?」


「っ! い、いえ! 何でもありません! 失礼しました!!」


 刹那、不意に営業部の男性社員が声をかけてきたので振り向くと、トイレの花子さんの修羅と形容するに相応しいその形相に怖気づき、男性社員は慌てて立ち去っていく。

 男性社員の様子を見て、現在の自身の状態を少しは悟ったのか、トイレの花子さんの頭から少しばかり血の気が引いていく。

 

 そして、やり場のない気持ちの解消法、その為の熟考が始まる。


 バレンタインは幸せを享受する日だ。それは即ち、繋がりを深める事と共に、繋がりを作る切欠の日でもある。

 そう、切欠だ。即ち、バレンタインデーを切欠として、自分自身も彼女達と同じ土俵に上り詰めればいいのだ。

 隣の芝生が青く見えるならば、その芝生に踏み込めばいい。土足ではなく、正当な権利と共に。


 しかし、権利を手に入れるといっても、それは容易なことではない。


 手軽に手を出せるであろう職場内での恋愛。

 だが悲しいかな、目ぼしい男性社員には既に女の影があり。

 妥協すれば手付かずの男性社員もいるにはいるが、トイレの花子さん、恋愛には妥協を許さぬ女性であった。


 次に手を出せそうなものといえば、仕事先での出会いである。

 だが、これも悲しいかな。メリーさん他幸せ同僚達のように、性別年齢問わず集まるような場所ならば、まだ可能性は残されていた。


 が、トイレの花子さんの仕事先は、学校。それも国際標準教育分類におけるレベル1、即ち『小学校』なのだ。


 小学校に通う生徒の年齢は六歳から十二歳、恋愛対象と見るには、あまりに幼すぎる。

 世の中には、あえてその年齢を恋愛対象として見ることの出来る人もいるようだが、トイレの花子さんはそんな特殊な好みは持っていない。


 職場でも仕事先でも可能性が低い、となると町へ出て手当たり次第。

 そんな追い込まれた者がするような愚かな行為だけは、とりたくなかった。トイレの花子さんの自尊心が、それを許さないからだ。


 もはや望みはないのか。やはり前日ではあまりに性急すぎるか。


 諦めかけた、その時。

 トイレの花子さんの脳裏に、稲妻の如く電流が走った。


 そうだ、小学校に通っているのは、何も生徒だけではない。

 生徒を教え導く、教職員がいるではないか。


 不適な笑みを浮かべたトイレの花子さんは、不意に、今だ幸せそうにガールズトークを繰り広げているメリーさん達の方に視線を動かした。



 見ていなさい。明日、私も同じ土俵に上り詰めるわ。



 煮え滾る負の感情を起爆剤に変えて、トイレの花子さんは、明日への決意を心の中で誓うのであった。






 そして迎えた運命の二月十四日。

 今年のバレンタインデーは平日と言うこともあって、いつものように出勤したトイレの花子さんは、やがて前日の仕事終りに仕入れた大量の準備物と共に、仕事先の小学校へと出かけた。


 トイレの花子さんの仕事先である小学校は、現在では珍しくなりつつある市内でも有数のマンモス校であった。

 マンモス校となれば、当然生徒は大勢通っており。その大勢の生徒を指導するため、多くの教職員を抱えている。

 つまり、その中にはトイレの花子さん好みの男性教師も勤めている可能性があるのだ。


 勿論、トイレの花子さんは抜かりなく、時間はあまりなかったが勤務している教職員の大体のデータは収集していた。

 そして目論見通り、勤務している教職員の中に、好みの男性職員を見つけていた。


 担当する学年やクラス、そして勤務時間中に利用するトイレの状況もギリギリまで調べ上げ。

 いざ、最後の仕上げを執り行うべく、少学校のトイレへと降臨するのであった。


「ふふふ、これであの人はイチコロよ……」


 不適な笑みを浮かべながら、トイレの花子さんは事前に準備した物を広げていく。

 大容量の保存容器から蓋を取り姿を現したのは、茶色の液体。そう、溶かしたチョコレートであった。

 更にはボールに刷毛も取り出し、これらを一体どの様に使用するのであろうか。


 刹那、道具の準備が終わると、トイレの花子さんは徐に仕事着である白いワイシャツと赤いスカートを脱ぎ始めた。

 さらにそれだけに止まらず、下着も全て脱ぎ捨てると、一糸まとわぬ姿へと成り果てた。


 今いる場所が鍵をかけたトイレの個室でなければ、間違いなく大事になっていただろう。


 しかし、やはり局部が露になっているのはよろしくないと思ってか。

 一応、上半身及び下半身の局部を覆い隠す為のシールは貼り付けた。

 だがそれでも、相当危ない姿である事に変わりはない。


「ふぅ……、いくわよ!」


 校内とはいえ、やはり季節柄身を震わせる室温の中。

 小刻みに震えながらも、危ない姿となったトイレの花子さんは意を決すると、大容量保存容器の溶けたチョコを適量ボールに移し。

 そして、そこに手にした刷毛を突っ込むと、溶けたチョコがたっぷりと乗った刷毛を、自分自身の身体に当てて塗り始めた。


 刷毛の毛がこそばゆさを誘うも、それを我慢しながら身体中にチョコを塗り続ける。

 やがてボールの中のチョコがなくなると、再び大容量保存容器からチョコを補充し、全身隈なくチョコを塗っていく。


 そして、チョコを塗ること数十分。

 遂に、トイレの花子さんはチョコレート人間とも言うべき姿へと生まれ変わった。


「完璧、ね」


 仕上げを確かめる為の手鏡でその出来栄えを確かめると、その完璧な出来栄えに思わず自画自賛してしまう。



 こうして準備が整うと、後は、ターゲットとなる男性職員がトイレにやって来るのを待つだけとなる。

 それから幾分の時間が経過したか、遂に、トイレの花子さんが待ち望んだ時間が訪れる。


 それは、昼休みを告げるチャイムであった。


 ターゲットとなる男性職員は、必ず昼休みにはいの一番にトイレに行く事を、トイレの花子さんは既に把握済みであった。

 程なくして、個室の外から聞こえてくる足音。


「きた……」


 トイレの花子さんは小さく呟くと、近づいてくる足音に耳を傾け、タイミングを見計らう。

 やがて、確実にトイレへと足を踏み入れると、用を足し始めた足音の主。


 程なくして、完全に用を足し終え安心しきったタイミングを見計らい。

 遂にトイレの花子さんが動いた。


「ねぇ、君、遊びましょ?」


 甘い声と共に、足音の主を自身が潜む三番目の個室へと誘う。

 目論見通り、足音の主は足を止め、三番目の個室へと足音を近づけていく。


 そして、足音が扉の前で止まるのを確認すると、トイレの花子さんは鍵を解除し、ゆっくりと扉を引いた。


「はぁ~い!! 私、花子さん! 今日は特別な日。だ・か・ら、一緒にチョコレート食べましょう!!」


 扉が完全に開かれるや、決め台詞と共に、全身チョコでコーティングされたその身体を前面に押し出すと、一気に畳み掛けた。


「わわわわわ!」


「ん?」


 だが、決め台詞を言い終わった時、トイレの花子さんは気付いてしまった。

 そう、目の前で尻餅をついているのが、お目当ての男性職員ではなく、小学校に通う男子生徒なのだという事に。


「ちょ、チョコレートのお化けだ!! うわぁぁぁぁっ!!!」


「あ、ちょっと!!」


「ぎゃぁぁぁ!! 怖いよ!! お化けぇぇぇっ!!」


「わ、私はチョコじゃなくてトイレのって、あた!!」


 涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら大慌てでトイレから逃げていく男子生徒を引き止めようと、一歩踏み出したトイレの花子さん。

 だが、足の裏まで丁寧にチョコを塗っていたお陰で、足を滑らせ派手に尻餅をついてしまう。


「いたた。……もう」


 強打した臀部を手でさすりながら、人違いであった事に落胆するトイレの花子さん。

 やがて、痛みも少しばかり引いたので立ち上がった時であった。大勢の足音が、自身がいるトイレに向かって来ているのを感じ取る。


 刹那、複数の教職員が、その手に掃除用のほうきを持ってトイレになだれ込んでくる。


「あ!」


 しかも、その先頭を務めているのは、お目当ての男性職員であった。


「おい! お、大人しくするんだ! いいか、もう直ぐ警察がやってくる、逃げようなんて思うなよ、変質者め!!」


 お目当ての男性職員を前に、一瞬その素敵な顔立ちに見蕩れるトイレの花子さん。

 だが、次の瞬間。男性職員の口から告げられた言葉に、トイレの花子さんは自身の恋が、呆気なく終焉を迎えたことを悟るのであった。


「ふ、ふふふ、ふふふふふふ……」


 不気味に笑い始めるトイレの花子さん、それに対し、退治する教職員達はその不気味さに一歩後ずさる。


「愚かよね、私……」


「な、何か言ったか!」


「ふふ、愚か、って言ったのよ」


 刹那、トイレの花子さんは教職員達の一瞬の隙を突き、万が一に備えて常備していた煙玉を作動させると。

 一瞬にして立ち込める煙に紛れ、教職員達の包囲網を易々と突破し、まるで一つの恋と別れを告げるかのごとく小学校を後にするのであった。


 着替える時間がなかったので、全身チョココーティングのままで。






 そして、バレンタインデーも終わりを告げた翌日の十五日。

 案の定、幸せグループは前日の甘くとろける時間を各々口にしていた。


 首なしライダーさんは、二人で体験教室に行ったらしく。体験教室で作ったものはホワイトデーに取りに行くのだとか。


 口裂け女さんは、らしいと言うべきチョコレートビュッフェで、甘く幸せな時間を過ごしたと楽しそうに話し。


 隙間女さんは、子供を実家に預け、お洒落で夜景が素敵なレストランでディナーを楽しんだとの事。


 そして、メリーさんはと言えば。特に出かけるでもなく、彼氏の家で過ごしたようだ。

 ただし、その分濃厚な時間を過ごしたことは、漏れ聞えてくる甘い単語の数々からも容易に想像できる。



 さて、幸せなバレンタインデーを過ごした方々がいるその一方で。

 トイレの花子さんはどうなのかといえば。


「……へっ、じゅい!!」


 自身のデスクの椅子に腰を下ろしながら、豪快なくしゃみをマスク越しに出すのであった。

 その顔はやや赤らんでいるが、先のくしゃみからも分かるように、トイレの花子さんの体調はあまりよろしくない。


 それもこれも、まだまだ寒さが居座っている空の下、ほぼ全裸で逃げ回ったからに他ならない。


「あぁ、ぐず!」


 鼻を啜りながら、トイレの花子さんは昨日の自分自身の愚策を恨むのであった。


「あ、そういえば先輩方、聞きました? なんでも昨日、○×小学校に変質者が出たんですって」


「聞いたわ。確か全身チョコまみれだったんですって、気味悪いわね」


「チョコまみれ……、美味しそう」


「口裂けちゃん、そこ違うから」


「でも怖いですよね。何の目的があってチョコまみれだったんでしょう」


 そんな中、気付けば幸せグループの話題は、昨日のトイレの花子さんの愚策について切り替わっていた。


 顔の隅々までチョコでコーティングしていたお陰や、そのあまりに衝撃的な容姿故に目撃者の証言は二転三転し。

 結果として、警察もトイレの花子さんには辿り着けずにいた。


 だが、その衝撃度は凄まじく、瞬く間に広がりをみせている。


「あ、そうだ! ねぇ、花ちゃん?」


「え、あ、な、なにぃ?」


 そして、世の中には真実に感づく者もいる。

 そう、例えば、真犯人に近しい者とか。


「確か○×小学校って、花ちゃんの仕事先の一つだったよね?」


「え、えぇ、そうね」


「ねぇ、花ちゃん。……もしかして、は」


「あぁそうだメリー!! 彼氏出来たお祝い、まだしてなかったわね! はい、これ!!」


 先を言わせまいと、慌てて立ち上がり財布から数枚のお札を抜いて手渡すと、周囲に聞えないように顔を密着させて話し始める。


「ねぇメリー。私達、いつまでも親友よ。ね?」


「うん。分かってるよ……、花ちゃん。ふふ」


 こうして、バレンタインデーに○×小学校で起きた変質者騒動の真相は、ここに迷宮入りを果たすのであった。



 程なくして、始業を告げるチャイムが鳴り、各々が自身のデスクに移動し始める。

 そんな中、トイレの花子さんは椅子に深々と腰を下ろすと、大きくため息を漏らすのであった。


 ある意味で、今年のバレンタインデーは、トイレの花子さんにとって一生の思い出に残るものとなったのである。

読んでいただき、本当にありがとうございます!


本作品の前日譚である「メリーさんじゅうよんさいの電話」をお読みいただければ、更に面白さが倍増すると思いますので。

気になる方は、是非ともどうぞ。

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