第29話 繰り返し
「しばらく空いたし今日は軽く走って終わろうか!」
「おー!」
いつも通り校門を出たときに瑞井が発した言葉に盛り上がる一同。
いつも通り行き当たりばったりに走り、川にたどり着く。
しばらく川岸で歩いたあと、帰ることになった。だが、ここで渡辺が突拍子もない提案をしたせいで軽く走るはずがなかなかひどいことになってしまった。
「ちょうど4人いるし2人と2人にわけてちょっとした競争でもするか!」
「え?」
「いや、渡辺本気?」
「わりと本気よ。テスト期間中体動かしてなかったからこそ最初はハードに」
「・・・・・まぁ楽しそうだしやってみるか」
「いいですね!」
「莉子ちゃん本気?」
「楽しそうじゃないですか!」
「この人たちすごい・・・」
結衣奈の呟きは車の音で掻き消され誰の耳にも拾われることはなかった。
「同じ学年二人で別れて、それでグループを作ろう。」
「じゃんけんですかね」
「そうだな。」
莉子とじゃんけんをし、負けると、同じく負けた瑞井と同じ組になった。
「よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくな。」
「じゃあ、俺は白石と同じルートを通るから渡辺、永山と同じルート通って。」
「はいよ。学校まで競争でいいよな?瑞井いけるか?」
「迷いそうだけど多分いける」
「おっけー。じゃあ行くぞ。ヨーイドン!」
渡辺の掛け声で彼らはお互いに反対の方向に駆け出す。堤防から降りる車道を駆け降りる。
苦しいながらも結衣奈は前を走る渡辺の背中をひたすら追う。
「まぁ、俺の勝ちだな」
「そ、そうですね。」
(いやいや、先輩。私に負けたら大事件ですよ)
「しかしお前最近入ったのによくついてきたな。驚いたよ。」
「いや、先輩の後ろについてかないと迷う可能性もあったので。」
「そっちか。」
「はい。」
校門の隣の石段に座ると息を整える。夏が近づき、気温が上がったせいで渡辺も結衣奈も汗だくだった。
「暑いな。」
「はい。もう汗だくです。」
「タオル持ってくれば良かったな。」
「でも走るとき邪魔じゃないですか?」
「それもそうかー」
結衣奈のツッコミまがいの発言に渡辺が笑う。
「あいつら遅いな」
「そうですね。」
彼の発言に相槌を打つ。
今まで一言も話したことなどないのに自然に話せているのはなぜだろうと思いながら。
「見てくるか。」
「どこをですか?」
「ルート遡ってみるかなって。途中で迷ったか、瑞井か白石が怪我したか」
「こけたとかですか?」
「あり得るだろ?交通事故とかになってないといいけど」
渡辺の発言に少し不安を抱えながら彼らが帰ってくるはずのルートを逆走しながら彼らの姿を探す。
だが、ルートの半分まで行っても彼らの姿は見えず、少しずつ不安が募っていく。
「よし、一回グラウンドまで戻ろう。それでもいなければもう一回戻ってきて探そう」
「わかりました。」
回れ右すると学校へ向けて軽く走りながら渡辺と話す。




