第17話 違い
「へー、結衣奈さん、飛行機好きなんですねー。」
「うん、昔からずっと好きだったから小学校のときとか男子によくからかわれたよー。」
「男みたい、とかですか?」
「わぁ、莉子ちゃんすごい!図星だよー!」
「すごいですか?」
「まさか当てられるとは思ってなかったからねー。それに私が自分で言うつもりだったし。」
「確かに私会話遮っちゃいましたね。ごめんなさい。」
「いいよいいよ。んー。莉子ちゃんの丁寧語がすごい違和感ー。」
「昔から丁寧語なので仕方ないです・・・。何回か直そうとはしたんですけど、結局直らなくって。」
「直そうとはしたんだね。」
「はい。でも無理にタメ口?で話そうとすると日本語が変になるって友達に言われたので結局このままになりました。」
笑った莉子に笑い返すと、莉子の目から目線を少しずらし、教室を見渡した。いつの間にか生徒は増えていて、4分の1は来ているように見えた。
中学のときとは違い、あまり緊張はしていないせいか、すでに何人かはグループを作って話していた。
「えー、では、今年一年、このクラスの担任を務めさせていただく西脇といいます。よろしく。」
若干若めの男性担任教師は名乗ると軽く頭をさげた。教室に響く、まばらな拍手。教師に茶々を入れる生徒もまだ少ない。
彼は頭を上げると、手元に置いたプリントを整理しながらこれからの動きについて説明を始めた。入学式、対面式、教室に戻り、様々なプリント配布、そして下校。
「まあ入学式はこんな感じじゃないでしょうか。緊張しているかもしれませんが、気楽に行きましょう。」