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第16話 初対面
非常に短いです。
「ふぅ・・・なんか緊張する・・・。」
窓の外を眺めながら、誰もいない教室のなかで彼女はひとり呟いた。
外には数人しかいなかった。その誰もが、親と共にいた。
高校の入学式。
例年よりも寒い冬が明け、再び春が始まった。
ふと扉の開く音がして、結衣奈は振り向いた。そこには香菜に似た少女が立っていた。結衣奈と目があったのに気がつくと、ドアに隠れた。黒色のきれいな髪がふわりと遅れて舞う。
「あの。」
再び声をかけると、そっと顔だけが覗いた。
「永山結衣奈っていいます。同じクラスだよね?」
「え、えと・・・白石莉子です・・・。」
ドアの影から出てくると、彼女は緊張した面持ちで名乗った。始め見た時はツインテールかと思ったが、その髪は下の方で結んでいた。
「おさげツインテか〜。」
「え、えと、なにかダメでした?」
「ううん。かわいいな、って思ったから。」
「そ、そうですか?」
そう言うと莉子はそっと笑った。
結衣奈はその顔を見て、純粋に可愛い子だなと感じた。