第14話 最後まで
ご迷惑をおかけしました。再開します。少し短いです。
問題集の近くにある携帯を取り出し、香菜にメールを打ち込んだ。その返事はすぐに届いた。
香菜のメールどおり、結衣奈は図書館前にいた。
石レンガで作られた建物を見上げるとそのまま館内に入っていく。暖房の効いた館内を見渡すと見覚えのある少女がいた。
「あ、香菜ー!」
香菜に近づく前に司書の人に目でたしなめられ、結衣奈は少しおとなしくなった。
「さて、突然呼び出したのにはワケがあって。」
「勉強でしょ?」
「あ、バレてた?というか私言ったっけ?」
「うん、メールで言ってた。」
「あ、そっか。」
香菜は少し先に来ていたのか、ノートにはすでに幾つかの数式が書かれていた。その横にはグラフも書かれていた。
「さてっと、テスト前で緊張してるのはわかるんだけど、とりあえずやらないと受からないし、やりましょっか。」
「私別に緊張してないよ?少し不安だけど。」
結衣奈の発言に香菜は少し驚いたような表情をしていた。恐らく香菜は緊張と不安に苛まれているのだろう。もしかしたら一人で過ごすのが少し不安なのかもしれない。だから、結衣奈をここに呼んだのだろう。
普通の顔に戻ると、ペンをノートに走らせる自分の友人の姿を見て、結衣奈はひとつ息を吐くとペンを取り、ひたすらに問題を解き始めた。