プロローグ
深夜のビルの上、風が吹く中俺は1人考えていた。
もう嫌だ。
俺の頭には絶望という言葉しかよぎってこない。
なぜ俺がこんな目に遭わなければいけないのか分からなかった。
俺は埼玉県のとある街で生まれて今まで普通に暮らしていた。
そう、あの日までは。
夏のとある日、、、
俺はいつも通り通学路を歩いて学校に向かい、自分の教室に入った。そしていつものように挨拶をする。
「おはよう」
いつもならここで挨拶が返って来るのだが返ってこない。
俺は何をやっても並だがこのクラスで少なくとも何人か友達はいる。そこで俺は無視される理由を友達にド直球に聞いてみた。
「おい、なんで無視するんだよ!」
すると、いつもは話さないクラスのリーダー的存在であるメガネの手島、通称メガネ(そのまま)がバカでかい声で応えてきた。
「お前よくのこのこと教室に現れたな!神崎さんをめちゃくちゃにしておきながら!」
「ちょっと待て。何のことだ!?」
ちなみにに神崎というのは俺の幼馴染の女子で、俺が言うのもなんだがクラスの中でも1番というくらいの綺麗な顔をもっていると思う。そして俺の少ない友達の中の1人でもある。
俺がとぼけているように見えたのかメガネは、
「とぼけるのもいい加減にしろよ!!お前が神崎さんをレ〇プしているところを見たという生徒がこの教室に限らず学校全体にいるんだよ! 」
するとクラスの至る所から、
「そうだー」
「この人でなしー」
「このゲス悪魔め!」
などの声が聞こえて来た。俺は、
「そんなの有りもしない罪だ!俺はやっていない」
と言ったが、この大人数の声の中、自分の声が通るはずもなくその日から冤罪によってイジめを受けるようになった。
最初の方はシューズを隠されるなどの軽いものだったが、どんどんエスカレートしていき終いには暴力にまで発展した。
そして俺も最初は
(幼馴染の神崎と仲の良い俺を妬んでいる奴が変な噂を広めているんだろう、時期に嘘がバレて止む)
と思っていたがイジめの主犯達は神崎がいない時に必ずしかけてきて、俺へのイジめが止むことはなかった。
どんどんエスカレートしていくイジめに俺は耐えきれなくなりとうとう引きこもってしまった。
俺が唯一信じていた親や先生もまんまと嘘の噂に騙され俺を虫けら扱いしてきて、ご飯もせいぜい死なない程度の量を与えて来るぐらいだった。
この過酷な生活の中、1人で部屋に引きこもっていた俺はついに決心した。
《もうこの世界に用はない》
と、、、
そうして冒頭に戻る
ビルの上、俺は1人考えていた。
もう嫌だ!
俺の頭には絶望という言葉しかよぎってこない。
なぜ俺がこんな目に合わなければならないのか分からなかった。
俺は思ってしまった。
(俺が物語の主人公みたいに強くて才能があればあんな場所でも何か出来たんじゃないか、少しくらい言い返せたんじゃないか)
そして俺は世界の理不尽さに嘆いた
「なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで!」
こうして俺はこの一言を残し、来世は主人公になれますようにと心の中で密かに祈りながらこの世界から退場した…