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お嬢様最前線  作者: mask
花園への転入編
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部活動紹介です! ①

 レビンは学園の校庭の一角に案内された。シーナが設置された白い柵に手をかける。

「やっぱり、お嬢様学校と言ったらこれ。馬術部だよ。ユーランシュテ学園でも伝統ある部活。大戦前までは大会にも出てて、賞を総なめにするほどの実力派揃い」

 柵の中では男装した部員のお嬢様たちーー実はブリティッシュスタイルといって乗馬の際の正装で馬に鞭を打ち、競技用の柵を華麗に飛び越えている。

「でも、余りオススメ出来ないかな」

「どうしてですか?」

「だってーー」

「あら? 成金と平民ではないですか」

 馬上から二人に声をかけたのは金のドリルーーではなくグレーテルだった。

「何かご用かしら。見学なら端のほうでしていただけます? 目障りなので」

 直球な物言いにシーナは苛立つ。

「なにさ! 馬に乗れるのがそんなに偉いわけ?」

「馬術は貴族の嗜みですもの。そこに邪魔が入ってほしくないだけですわ」

「ふん! 今どき馬に乗れたって役に立たないわよ! 先の大戦で騎兵なんて機関銃に蜂の巣にされた無能集団じゃない!!」

「……そうですわね」

 更なる嫌みを言われると思っていたシーナだったが、グレーテルが悲しげに目を伏せた。

「本当に私たちは阿呆でした。塹壕に隠れて機関銃を構えている敵に向かって騎兵突撃なんて。でも、良いではないですか。戦争で無能ということは戦場には出ずに死ぬこともない。もう、この子たちを苦しめずに済みます」

 グレーテルは乗っている馬の鬣を優しく梳く。

「何か悪かったわ」

 グレーテルの態度にシーナは素直に謝る。

「別に、あなたに謝罪されても嬉しくないですわ」

「でしょうね! でも言い過ぎたから謝ってるの」

 気まずさに顔を逸らすシーナにグレーテルは微笑んだ。

「いつもそれほど素直なら良いですのに」

「う、うるさい!?」

 ホホホ、とグレーテルは高笑いしながら部活に戻っていった。

「何なのよ、アイツ。って、ごめんごめん! レヴィちゃんをほっといちゃって」

「いえいえ大丈夫です。次行きましょうか」

 シーナとグレーテル。二人は喧嘩ばかりしているみたいだが、家の軋轢がなければ親友になっていたかもしれない。

 人の出会いを歪める戦争は残酷だとレビンは思った。

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