潜入編3
「明日の準備はこれで良いかな」
特に問題なく学園の敷地に潜入し、ミクリアに寮まで送ってもらった未明のこと。
転入早々授業があるらしく事前に用意された教科書やノート、筆記用具をショルダーバッグに時間割通り仕舞っていく。
「あとは寝るだけだけど」
レビンは壁にかかっているハンガーの制服を見て、げんなり。
「あれを着るのか。最悪だなあ」
溜息を吐いてレビンは落ち着かない大きなベットで一夜を明かすことになる。
今までは天幕や塹壕に廃墟だったレビン。
しかし、隣には大隊の仲間が誰かしらいたので寂しくなかったし、むしろ酒やカードで遊んで騒がしかった。
「眠れないですね」
その呟きも静かな部屋に吸い込まれていった。
「良く似合っていますよ」
翌朝、着替えが終わったレビン。
部屋に迎えに来たベルーナがレビンを見て、笑いもせずに出会い挨拶早々、そう言った。
「私がいくら男でもノックぐらいはしてください。それに、その言葉は男の私には突き刺さるんですが」
「失礼しました。褒めたつもりなのですが」
「それが問題あるんですよ!?」
レビンが着ているのはユーランシュテ学園の女生徒の制服であり、言っておくが学園はお嬢様学校なのでこれしかない。
つまりレビンは現在絶賛女装中である。
ブラウスの上に着用する制服のブレザーは白を基調にしていて襟や袖口、そして赤茶を基調としたチェックのスカートの裾に至るまでフリフリのフリルがデザインされている。
首の赤いリボンはレビンが二年生であることを示している。
「伍長」
「はい」
「ブラとショーツがおきっぱなのですが?」
「はい。要らないのでーーちょっ!?」
ぺらっとスカートが捲られる。
レビンはバシッとベルーナの手を叩き落す。
「何してるんですか!?」
「恥じらいはあるんですね」
「男でも女性に下着を見られたら怒りますよ!?」
「着てください」
「へ?」
「もし、スカートが捲れたら男性なのがバレます。女性用下着をつけてください。ブラも」
「ブラは見えないでしょう!?」
「水に濡れたら透けますよ。一度退出しますので、お願いしますね」
紺色のスーツを着たベルーナはそこで微笑んだ。
「……女性って大変だな~。それに絶対、楽しんでたでしょ、中尉」
レビンは大きくため息を吐いてスカートを脱いだ。
「もうただの変態だよぅ~」




