表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お嬢様最前線  作者: mask
花園への転入編
11/264

部活動紹介です! ③

 場所はまたもや校庭、というか校庭が広すぎて歩くのは少し疲れる。

「え~続いては」


 パ-ン、と破裂音が響く。


「聞いて分かる通り、銃を使ったスポーツであるライフル射撃なんだけど…………何やってるの、レヴィちゃん?」

「ふぇ?」

 シーナに困惑の表情で見下ろされるレビン。不思議な顔を返すレビンは地面にべたーっと伏せている。

「ですが銃声が聞こえたので」

 反射的に、と言おうとしたが訓練を受けていない普通の人はこんなことしない。まして、お嬢様なら尚更だ。

「ちょっとビックリしちゃっただけです!」

 恥ずかしさで顔を真っ赤にしたレビンは立ち上がり制服の汚れを叩く。

「そ、そうなんだ。まあ驚くよね。私も最初は動けなくなっちゃったよ」

 レビンの奇行には、どうやら目を瞑ってくれたらしいシーナに心の中で感謝する。

「でも、学園内で銃を扱うなんて危なくないんですか?」

「そうだね。競技用とはいえ本物の火薬銃だから危険もある。だから顧問の先生以外に学園近衛の人も監督として在籍してるよ」

 シーナが指差す方では確かに白い胸甲騎兵姿の近衛たちが部員を指導している。

「おや? "レビン殿"ではないですか!」

 後ろから声をかけられてレビンの肩が跳ね上がる。

「ミ、ミクリアさん、昨日はどうも!」

「?」

 レビンの反応に首を傾げた近衛第一大隊第一中隊隊長のミクリア。

 だが、すぐに察する。

「失礼いたしました。学園に在籍なされたならば"レヴィ様"とお呼びするべきでしたね」

 気付いてくれてレビンは安堵する。

 今のレビンはユーランシュテ学園の女生徒であるレヴィであって、軍国の一等兵であるレビンではないのだから。

「二人は知り合いだったの?」

 当然の質問をしてくるシーナ。

「昨日学園に入るときに道を訊いたんですよ」

 即座に嘘を吐くレビン。

「そうなのです。この学園は広いですからな」

 話を合わせてくれるミクリア。

 お陰でシーナからは疑いをかけられることはなかった。

「それで、お二人はどうされたのですか?」

「あ、そうそう。今、レヴィちゃんに部活を案内してるんです」

「そうなのですか! ぜひ、見るだけではなく体験もしていってください」

 嬉しそうなミクリアに背中を押されてレビンは射撃場に立ってしまった。シーナは安全のために後ろから見学している。

「……あの、ミクリアさん?」

「ん? どうされました?」

 鼻歌でも歌い出しそうな雰囲気でライフル銃の準備を始めるミクリア。

「私、兵士なんですけど」

 周りを窺い、小声で話すレビン。

「存じ上げております。あ、説明は要らないということでしょうか?」

「いえ、そうではなくて。下手なところを見せた方が良いですよね。銃の扱いが上手いと目立っちゃいますし」

「そ、それは困ります!? 一週間の掃除当番をかけているのですから!」

「……何の話でしょうか?」

 レビンの責めるような冷たい眼差しにミクリアは顔を逸らす。頬には冷や汗が垂れている。

「どうしたの、レヴィちゃん?」

 後ろのシーナから声がかかる。

「操作を教わっていました」

 また、嘘を返す。

「お願いします、レビン殿! 私のチームが負けているのです。このままでは一週間、学園すべてのトイレ掃除になってしまいます!? 一つ二つならまだしも学園中は辛いです。どうか!!」

 両手を重ねて懇願してくるミクリア。レビンの心中で初めて会ったときの格好良い騎士のイメージが音を発てて崩れた。

「……状況を説明してください」

 レビンは溜め息を吐いて話を聴くことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ