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底辺だけど、異世界であがき抜く  作者: ぽいど
第二十六章 潜む者 編
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二十六章の3 メンバー紹介

前回のあらすじ


 リンランが仕事の依頼を持ち込んできたが、その内容は遺跡の探索だとのこと。殺し屋である彼女からとしてはそぐわない依頼内容だったが、それを受けたイチローはベスティアに赴く。そこで協力者と合流する手はずだったのだが、その協力者とは山賊、あるいはゲリラ組織「異界人解放戦線」なのだった。

 まずは移動と、食事の時間を使って解放戦線メンバーとの自己紹介を済ませることになった。自分達と同行する解放戦線はアドルフ含めて8人……


アドルフ 身長180cmほど。リーダーの地球人


フロッシュ カエル型。身長160cmほど(通常時。足を畳んでいるため厳密な意味での身長はもっと高いと思われる)戦闘はあまり得意ではないらしいが、垂直の壁も登る吸盤付きの手足が潜入などで役立つ。茶色い肌は保護色なのだろうか。ちなみに女性らしい。


ミルサ 身長170cmほど。以前麻薬密造所で製造の指揮を取っていた、額にレンズ状器官を持つ人型の異界人。科学技術が発展した世界にいたらしく、その方面の知識が豊富。


パルミロ 身長180cmほど。いかつい顔の地球人型。大分文明レベルで劣る世界から来たらしく、あまり話が合わないらしい。一方で、その野生の勘とでもいうべきものは決して侮れない、とか。


コルグ 身長120cmほど。地球に似た生物はいないが、手足が短くダルマのようなシルエット。顔の前に一対、側頭部に一対、計4つの目と筒状の口が特徴。元は吸血生物から進化したらしく、柔らかい食事でないと食べられない。その眼の数から視野が広く、哨戒や警戒を得意とするらしい。


ハリャーカ 身長200cm以上。人型ではあるが、あえて言うならゴリラに近い。筋骨隆々の太い手足と顎全体を覆う髭を持つ。見た目通りに力自慢で、貴重品であろう金属鎧なども装備している。


カルミネ 身長155cmほど。地球人タイプで、色黒ながら線が細い印象。手先が器用で、工作作業を得意とする。元の文明レベルはこの世界とそう変わらないらしいが、ミルサの指導を受けその技術力を伸ばしているらしい。


フブグルス 身長160cmほど。人の目と鼻を失くして白い皮で覆ったような見た目。不気味な外見だが、意外にも温厚。どういう仕組みか、周りのことは『見えて』いるらしい。光量に関係なく物が見えるので、暗所での行動には最適なのだとか。




「(こうして並べると、何とも個性的な……)」



 遺跡探索と言う事でそれに適したメンバーを連れてきてはいるのだろうが、それにしても変わった見た目の異界人が多い。服装が皆この世界製のズボンやベストのため、肉体の奇異さが目立つ……フロッシュは女性のためか、あるいはカエルゆえの脚部の大きさからか、スカートをはいているが。そんな彼らと夕食の鍋を囲み……



「どうぞ。具が細かくて恐縮ですが……」



 皿によそったシチューを出すのはフブグルス。ホラーに出てきそうな顔で、しっかりエプロンをつけているのはなんともシュールな風貌だ。



「コルグと来るとこれだからなあ」


「私……気にしない……」


「そりゃ、お前が丸呑みしかしないからだろ、フロッシュ」


「美味けりゃなんだって良いさあ! 酒と女があれば最高なんだがよう!」


「お~っと、聞き捨てならないな。ここに1人女の子がいるだろう?」


「お前があ? 小さすぎるなあ」


「ハリャーカだっけ? 体の大きさだけで相手を判断するのはよくあるやられ役の台詞だ。実際に試してみるかい?」


「おお? 言ったなあ小さいの。やる気だってんならやってやるよう!」


「だ、駄目ですよ! アドルフさんも止めてください!」


「いやまあ、本人同士が良いって言ってるしな……」


「そうだぞフブグルス。なに、親交を深めるだけだって!」



 総勢10人での旅路なのだが……その最初からリンランがちょっかいを出し始める。トラブルのもとになりそうなことは控えてもらいたいものだが……などと思いながら眠った。


 起こされたのは、真夜中になってから。馬車の荷台に登ってくる気配。剣鉈を手に跳ね起きると、目の前にはリンランの姿……何やら着衣が乱れているが。



「やあ、珍しい集団行動だけど、眠れてるかい? 興奮して眠れなかったり……」


「今起こされるまでは寝ていました」


「そりゃ結構。さてさて、それじゃあ仕事の話をしようか、葡萄狐。ひとまず彼らと仲良くなってくれ」


「はあ……?」



 葡萄狐と言うのは自分の事、いわゆるコードネームだ。リンランがこちらをそう呼ぶときは、『仕事』の話であるということを意味する。その上で、解放戦線と仲良くなれと言うのは……



「あ、仲良くと言っても、あたしみたいにやれってわけじゃないから安心していいよ?」


「……あれも仕事のうち、と?」


「ん~、半分は趣味。力強いのは良しとして、揺さぶればいいってものでもないんだよね。まあ悪くなかったけど」


「……それで、目標は?」


「まだわからない。けど、あの中にいるのは確かなんだ。だから、探っていく……違和感とか、そういうのをね」


「つまり……今回は」


「ああ……相手は密偵。それを見つけ出して狩るのが仕事さ」



 解放戦線に潜むスパイを見つけ出したうえで倒す。もはや一介の殺し屋ではなく諜報機関が組織立って行う様な任務になってきたが……ますますリンランの立ち位置が分からなくなってきた。しかし、やれと言われたからにはやらなければならない。



「ま、そういうわけだから。とりあえず今回は夜のお楽しみは無いものだと思ってくれ。あ、もちろんさっさと相手を倒したらその限りじゃないから、君がやる気を出してくれたならいくらでも……」


「目標は了解しました。それではおやすみなさい」


「い~け~ず~」



 リンランの不当な抗議はさておき。とにかく今回の目的は判明した。まずは相手の正体を見極める所からというのなら、確かにまずは良好な関係を築く必要がある……が。



「敵の目的は何なのでしょう? 解放戦線の撃破が目的であれば、それこそ船に乗った時に火でも放てばよかったはずです。それをしないということは……」


「目的が他にあるってことだね。命じゃない。財産も特にあるとは思えない。後は……情報、かな?」



 リンランの見解は、こちらのそれと一致する。敵は何かしら……抜き取りたい情報があるのだ。それが何かと言えば……遺跡の情報以外には考えられない。敵の狙いは遺跡探索に同行して、その情報を主に送り、そして……



「こちらを始末する、と思いますか?」


「どこまで求められているかだね。情報を独占したいのなら皆殺しもありうるけど、潜入を続けるならそうしないかもしれない」


「とりあえず、前者のつもりで居た方が良いでしょうね……」


「ああ。だけどあっちも遺跡に着くまでは守りに入るだろうね。あんまり探ってもかえって警戒するかもしれない」


「勝負は遺跡に着いてから……ですか」


「そうだね。それまでは可愛い便利屋リンランとむっつり助手のイチローで行こうじゃないか」


「むっつり」


「うん。むっつり」



 リンランの評はさておき、まずは今回の参加メンバーに探りを入れていくことになりそうだ。これまでにない形式の仕事。上手くいくのかどうかという不安は、到底拭いきれない物だった……


今週も最後までお読みくださり、ありがとうございます。


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