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5話 クラス選択 と 金髪エルフ

感想より、主人公と金髪エルフさんのやり取りが不自然との指摘を頂いたので修正しました。

 メニューのマップを見ながら何とか目的地に到着した俺は、目の前の神殿を眺める。


 外見は普通の神殿だ。大きさを除いてだが・・・。


 天職の神殿はかなりデカかった。他の店や建物と一線を画すデカさだ。これはマップを見るよりそのままこの建物を目指して歩いて行けば早くたどり着くことができたのではないのだろうかと思わせるほどだ。

 職業はどの世界でも大事だということがこの神殿を見て良く分かった。


 とりあえずここでの目的を果たそう。

 石造りの門をくぐり抜けて、神殿の中に入ってみる。

 中はやや薄暗く、光が少ない。こういう所は本当に神殿っぽい感じで合っている。


 それにしても神殿の広さに対して人少なっ。こんなに広く作る必要あったのか? まあ、そう簡単に職業を変える奴なんていないだろうから当たり前と言われれば当たり前なのだが。


 奥に進むとそこには神官の姿をしたNPCが何人か並んでいて、それらに話し掛けているプレイヤーがいた。

 後ろには数人程度の列ができている。

 一人のプレイヤーが神官と話していると、突如そのプレイヤーの体が発光しだした。何事? と思って見ていたが、光り終わるとそのプレイヤーは、装備が変わっており、満足そうな笑みを浮かべるとそのまま神殿をあとにした。他のプレイヤーも次々と光りだしては装備が変わり、そそくさと神殿を去っていく。


 これらのことから導き出せる答えは一つ。あのNPCのどれかに話しかければ、クラスを変えることが出来る。

 装備が変わったのは、クラスが変わって装備できなくなった防具があったから。そして体が光ったのは、クラスが変わった時のエフェクト。と、いったところかな。

 まあ、こんなことは考えなくても分かりそうな気がするが。


 それはさておき、俺は女性NPCで適当な列の最後尾に並んでみた。何故女性かは、言わなくても分かるよな? するとものの数分で順番が回ってくる。


 あれ? そういえば、このゲームでNPCと話すのこれが初めてだな。ガイドさんはいたけど、姿見えなかったし。なんか緊張するな。こういうときは第一声が大事って言うよな。よし。気合いを入れて、いざ!


 「あ、あの、クラスを変えたいんですけど・・・」


 何故かNPC相手で、どもったうえに丁寧語まで使ってしまった。いやー、NPCっていってもいきなり面と向かっての会話は、まだクロノにはハードル高いっすよ。


 「はい。クラスの取得ですね?」

 「あ、はい」

 

 しかし、俺の声はNPCにしっかりと届いていたらしく、嫌な顔ひとつせずに応対してくれた。

 神官NPCちゃんマジ天使。

 

 「確認させていただきました。あなたのクラスは<ノービス>で、初めてのご利用ですね。それでは、クラスについて説明させていただきます――」


 はい、面倒なので要点だけをまとめました。



 一つ クラスは職業。選んだクラスごとに『クラススキル』があり、そのクラス特有の効果を得られる。他にも各クラスごとに自分の出来ることや、解放されるスキルが違う。


 二つ クラスの変更は基本的に出来ない。ただし、進化させることは出来る。例えば下級クラスの<戦士>から中級クラスの<剣士>は出来るが、下級クラスの<騎士>から同じ下級クラスの<魔術師>にはなれない。


 三つ クラスは進化するとランクが上がる。下から順番に下級クラス、中級クラス、上級クラス、超級クラスの4種類。もちろん、上にいくほど大きな補正が付き、強いスキルやアーツ、魔法が使えるようになるが、上にいくほどそのクラスになるための条件も厳しくなる。


 四つ クラスは進化するとレベルは1に戻るが、ステータスとスキルは引き継がれる。他にそのクラス専用のスキルやアーツ、魔法は使えなくなる。


 五つ クラスの進化は基本的にこの神殿で行う。中には特殊なクラスもあって、クエストをクリアしたり特定の行動をするとなれるクラスもある。



 今必要な情報は、この五つかな。あとは追々話していこう。


 「それでは就きたい初期クラスを教えてください」


 目の前にホロウィンドウが現れた。

 

 戦士、魔術師、騎士、僧侶、狩人、銃士、商人、鍛冶師、裁縫師、農民


 初期クラスはこの10個の中から選ぶのか。

 なら迷わず、戦士だな。


 俺は1番目の項目、<戦士>に触れようとした。

 その時――。


 「きゃっ!」

 「?!」


 横からの軽い衝撃。

 なんと、綺麗な金髪で白ローブ姿の少女が俺にぶつかってきた。


 もしや、これは恋愛フラグか? そんな馬鹿なことを考えながらぶつかった華奢な体を抱き止める。よく見ると耳が長い! これは伝説のエルフ耳ってやつですか!?

 すると彼女は俺に謝ってきた。


 「ご、ごめんなさいっ! 怪我はありませんか?」

 「ああ、大丈夫だが・・・って、なんだこれはーっ!?」


 突如、俺の体が光りだした。

 ちょ、これ、どうなってんの? え? あ、光消えた。ふぅ、ビックリさせんなよ。


 「あわわわわ。も、もしかして、い、今の光って・・・・・・」


 何故か金髪エルフの少女がどもりだす。どうしたんだ? そんなに慌てて。


 「大丈夫だよ。どこも痛くないしほら、姿も・・・・・・ん?」


 自分の服装見直した。

 

 「・・・・・・何故に黒ローブ?」


 俺は何故か、変な紋章が付いた黒いローブを着ていた。いや、これはおかしい。

 なぜなら俺は、先ほどまでノービスプレートという簡素な初期装備を身につけていたのだから。


 ピコン。


 『クラスの取得により、クラススキルの取得、装備の変更、スキルが解放されました。確認しますか? Yes/No』


 もしやこれは・・・・・・。

 いや待って、結論を出すのは早計よ。落ち着け俺。今俺が導き出した答えは間違っている。どこかに必ず穴があるはずだ。てかそう思いたい。


 よし。まずは、この事件を振り返ってみよう。何か分かるかもしれない。



 俺氏クラスを選択しようと天職の神殿に訪れる。

 ↓

 中に入ったらモブプレイヤーがいきなり発光。光が収まると装備変わっとる。マジビックリ。とりま並ぶ。

 ↓

 遂に自分の順番になった。神官(NPC)の説明を聞く。

 ↓

 目の前に選択出来る職業欄が現れる。<戦士>を選択しようと項目に手を伸ばした。

 ↓

 金髪白ローブ少女登場。俺氏ぶつかる。

 ↓

 突如俺氏が謎の発光。光が収まると装備変わっとる。マジビックリ。←今ここ



 あー、これはもうほぼ決定だわ。てかステータスを見れば、最初から分かっていたかもしれない。


 「・・・メニューオン」


 本日2回目の操作。流れる動作でメニューを開き、『ステータス』の項目をタップ。



 Name:クロノ

 Race:ハーフゴッド

 Class:魔術師

 Level:1

 HP:100/100

 MP:65/65(50/50+30%)

 STR:60(50+10)

 VIT:15(10+5)

 INT:13(10+30%)

 MND:18(10+8)

 DEX:10

 AGI:30

 残りステータスポイント:0


 ユニークスキル:【複製魔法 Lv1】

 スキルスロット:5

 【片手剣 Lv1】

 【神力解放 Lv1】

 【ステップ Lv1】

 【投擲 Lv1】

 【観察眼 LV1】

 控えスキル:なし

 称号:なし


 武器右手:始まりの片手剣

 武器左手:なし

 体:魔力のローブ

 腕:なし

 脚:魔力のブーツ

 アクセサリー:なし



 【魔術師】 下級クラス


 クラススキル MPとINTに30%の補正。

 詳細 初期クラスで選べる魔法を操る戦闘職。強力な攻撃魔法で敵を一掃する。



 結論。クロノは魔術師になった。


 「やっぱりかぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!」


 俺は叫び声を上げ、その場に突っ伏した。

 多分彼女がぶつかってきたときに俺の手元がブレて『魔術師』の項目を押してしまったのだろう。


 俺がやってしまったことを神殿の床に突っ伏しながら後悔していると、いつの間にか周りのプレイヤーさんがこちらを蔑むような目で見ていた。

 金髪エルフは涙目で心配そうにこちらを見ている。いやエルフさん、あんたが事の発端だからね。


 そんな・・・。俺は<戦士>を選択する予定だった。俺が<戦士>を選ぶ手筈だった。近接戦闘を生業(なりわい)とする強くてカッコいい、主人公ポジションのようなあの<戦士>を!!

 何故、俺が<魔術師>なんだ! てか俺、VRゲームで魔法使い系の職業やったことないんですけど。呪文とか唱えなきゃいけないんですか? 魔法ってどうやって敵に当てるんですか? フレンドリーファイアってなにそれおいしいの? 駄目だ、全然わかんない!


 「そうだ、神官さんにクラスを変えてもらおう!」


 ナイスなアイデアを閃いた俺は何とか立ち上がり、すぐさま神官さんのほうに体の向きを変えた。


 「神官さん、俺を<戦士>にしてください!」

 

 誠心誠意をもって神官さんに頭を下げる俺。すると神官さんは、


 「申し訳ございませんが、<魔術師>から<戦士>へのクラス変更は出来ない決まりですので・・・」

 

 俺のお願いを困り顔になりながらも即答でお断りする神官さん。

 そうか。クラスは進化してランクを上げることができても変更は出来ないんだった。てことは、俺はこの先ずっと魔法使いということなのか?

 

 俺は再び神殿の床に突っ伏した。

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