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嘘斬り姫と不死の怪物  作者: Hiro
エピローグ
50/50

エピローグc

「おまたせー」

 そこには二本の足でしっかりと歩くアヴェニールの姿があった。

 買い物をしてきたのだろう、その手には大きな荷物が抱えられている。

 その身体から神具を失ったことで、しっかりと目も見開かれている。

「森に戻るまえにたくさんお買い物してきちゃった。レーヴェストさんのツケで」

 少女は悪びれることもなくテヘっと笑う。

「買い物は楽しかったか?」

「ええ、すっごく」

 寂れた城では、物は少なかったが、それでも初めて買い物を楽しむ彼女には楽しい一時だった。

 こうして見ると、彼女が死んでいるようには見えなかった。

 だが、アヴェニールの心臓は『動いていない』ままである。

 彼女はレーヴェストの剣によって殺された竜と同様に、死してなお動く存在となった。

 太陽の下でも平然と動け、食事も普通の人間と変わることがない。ただ心臓の鼓動を失っただけだった。

 そんな彼女をみていると、守ると誓ったスミには複雑な想いが込みあがる。

「なに、難しい顔してんだよ。そんなんだからもてねーんだぞ」

 アヴェニールのおっぱいを気の済むまでもみほぐした余韻から覚めたトールが指摘する。

「顔のことをおまえには言われたくないな」

「なにを、悔しければおまえも女のひとりでも捕まえてみせるんだな」

「なんだと」

 からかうトールにスミが渋面をつくる。


「いろいろあったけど、きっとこれが神様の与えてくれた、私たちの幸福なのよ」

 アヴェニールが笑顔で告げる。

「そうだな、そうかもしんねーな」

 トールの一〇〇年の長きにわたる捕らわれの日々は終わった。

 それが本当に許された幸福なのかは判らない。

 それでも、失敗から一〇〇年の時を経て、トールは前へ一歩進みだすのであった。

「さぁ、凱旋だぜ!」


 〈了〉


 

 『嘘斬り姫と不死の怪物』を最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

 本作はひとまずのところ、ここで終了となります。続きの構想はいろいろとあるのですが、他にも執筆を抱えておりますので、少々時間が空きそうです。

 まだまだいたらぬ点がありますが、少しでも本作を楽しんでいただけたのなら幸いに思います。


 次の連載は年明けを予定しておりますが、まだ準備が整っていないため、間に合うかかなり怪しいところです。

 もし、無事連載がはじまった暁にはまたおつき合いいただければ嬉しく思います。

 また、本作の感想のほかにも、次回作にご希望などあられれば、お気軽に聞かせていただきたく存じ上げます。


 ではひとまずこれにて失礼させていただきます。ノシ


 2013年12月末日 作者:Hiro

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