表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘斬り姫と不死の怪物  作者: Hiro
強欲の王
42/50

第三章 二話c

轟雷神罰砲トゥール・ハンマー!」

 巨大な雷が放たれ、トールの巨体を撃つ。トールは盾へと変形させた愚者の黄金(フール・ザ・ゴールド)で受け止めるが、発生した電撃の余波が盾の周囲を伝いトールの身体を焦がす。

「くっ」

 ドロスは魔物として魔法を使いながら、魔術も扱える。さらには無尽蔵ともいええる魔力を補給されては、いかにトールであっても劣勢を強いられる。

炎魔神の抱擁(イーフリート・ハグ)!」

 女型の炎の巨人が空気を焼きながら現れると、トール身体を抱擁する。

氷狼牙舞陣フェンリル・ダンシングフィールド!」

 無数の氷片が現れると、それぞれが意志を持った弾丸のごとく不規則に飛翔し、トールの身体へと突き刺さる。

「げぼはぁー!」

 続けざまに放たれるドロスの魔法に、トールの身体が傷ついていく。だがその度にトールの身体は再生を繰り返すが、反撃の隙すら見いだすことはできない。

「しぶといな、魔物に堕ちてもさすがは魔術王といったところか」

 得たばかりの魔力を試すようにしながら、トールをなぶるドロス。

「(ちくしょう、月さえでてれば『血まみれの騎士団(ブラッディー・ナイツ)』でぶっとばしてやるのに)」

 空にはまだ太陽がサンサンと輝いている。いかにトールでも常に最大攻撃を発することはできない。

「なるほど身体に秘めた大魔力を再生の魔法のみに向けているのか。恐ろしいほどの回復力だな。しかし、それは無駄に苦しみを長引かせるだけのものにしかすぎんな。そろそろその滑稽な顔にも見飽きた。幕を下ろさせて貰うぞ」

 勝ち誇ったドロスが見下した笑みを浮かべる。

 そして、より強大な魔法を放とうと、その頭上に大量の魔力をあつめる。足を氷の槍で貫かれたままのトールはまだ動けない。スミもレーヴェストに圧倒されたまま、助けにいく余裕はない。

「地獄の七神よ、その罪悪の名をもって神の領域を汚せ……」

 それまで以上に強力な魔力がドロスの周囲にあつまる。

「これで仕舞いだ」

 だが、悠然と魔法を放とうとするドロスの背後に、小さな影が現れた。

「そうだね、そろそろお仕舞いにしよっか。ピキもいい加減、見学に飽きちゃったし」

「なんだと!?」

 不意に背後から発せられた声にドロスが慌てて振り返る。

「ちょっきんきーん」

 そうピキが手にしたステッキを振るうと、アヴェニールから供給されていた魔力がドロスに届かなくなる。そして集めた魔力は、その手から放つ間もなく拡散していく。

「馬鹿な!?」

 我が身に起きたことが信じられずドロスが目を見開く。

 驚愕するドロスに構わず、ピキは己の目的を遂行する。

「じゃ、バイバイのバイ♪」

 水平に振られたステッキがドロスの頭を首から落とした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ