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シミュレーションRPG狂騒曲サラリーマンが剣士で王子様?  作者: 独身奇族
東奔西走編

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39/51

⑤『初めての騎馬は、匹夫之勇?⑤』

【前回までのあらすじ】

――藤堂王子の一喝で、活動休止状態に追い込まれていたOK牧場から、ひとまず白ずくめの調査団は撤収した。だが、挙動不審な動きを見せるタヌキ親父の副町長とキツネ男の疫病調査団長パラケスは、いつ牧場に姿を見せてもおかしくない。原因不明の疫病の謎を究明すべく、藤堂率いる遊撃隊が動き出す――


「そんな口一杯に料理を詰め込んらまま、回復呪文を唱えへも効果ないらろ! 口の中が血ららけで、傷口にソースが沁みへ痛ひんだ。早く治しへくれ」


 藤堂の方も痛みで麻痺する舌のせいで、しっかりとろれつが回らない。大きく口の外へ出してココ、ココと舌を指差す。


「え、何?」


 だが、すでに王子のダメージや回復呪文は彼女の記憶の彼方へ飛んでいた。遊撃隊の紅一点。回復役のシスターの手には、食べ終えた料理の金串はもうない。


 その代わりに、バーベキューの食材を金網に乗せるトングでステーキを掴むタニアが、キョトンとした顔で藤堂を見つめ返すばかりだ。

 夕闇に包まれたOK牧場の裏手。食欲をそそるなんとも言えない香りが漂い、大きなかまどの中で赤々と燃える炭火が、遊撃隊のメンバーの嬉しそうな顔を照らす。


 山のように盛られた食材が、テーブルの上にある何枚もの大皿に溢れかえる。藤堂も刺された舌の怪我をようやくタニアに治してもらって料理に舌鼓を打つ。


「やばいな、箸が止まらないぜ」


「おほほ、王子様。そんなに褒めて頂くと料理した甲斐がありますわ。あとは、これもお試しになってみて下さい」


 ホクホク顔で美味いを連呼する藤堂に、牧場主の妻のエイコが小皿に取り分けられた調味料を差し出した。


「バーベキューソース? それにしては色が違うな」


 焼き上がった料理を箸でつまみチョンチョンと謎の調味料にまぶす。


「おほっ。この独特の風味とコクでまったく別の料理みたいだ」

「ずっるーい、剣一だけ! タニアも食べる。あむっ!」


「あっ! お前、また俺の食いかけを。こ、小皿ごと口に入れるんじゃねえ!」


 調味料ごとガッツリと藤堂の右手にかぶりついたシスターが、またもやビローンと背筋を伸ばして軟体動物に変化する。


「おほほほ。そんなに慌てなくても塩麹しおこうじは、まだまだたくさんありますわ」


「あー、これか。さっき奥さんが言っていた塩麹は」

「ええ、実家の母から受け継いだ“お袋の味”ってところかしら」


「へぇー。ベリハムの村じゃ塩コショウばっかりだったけど、この町じゃ普通なのかな?」


「いえ、ここマウントパーソンの町でも、うちとアタシの実家だけじゃないかしら……」


 そう答えた牧場主の妻の表情に、一瞬影が刺した。


「実家がどうかされたんですか?」


「麓の集落で原因不明の疫病が発生したのはご存知ですわね? 実はアタシの実家ですの。妹の旦那さんが病に倒れて……」


「それは心配ですね」


(気の毒に。ミディアのお母さんも二重の気苦労だな。降ってわいたような実家の災難どころか、その疫病の感染源の疑いまでかけられているんだからな)


 藤堂が彼女の気持ちを思いやるように、少し明るく声をかける。


「大丈夫、俺たちも出来る限り協力しますから。どうもこの疫病騒動には腑に落ちない点が多い。明日はロビン達に様子を探りに行ってもらいます」


 かまどの向こう側に立つイケメンのエルフ。真っ赤に燃える炭火に照らされた遊撃隊の軍師が、お任せ下さいとばかりに大きく頷く。


「あ、そうだ奥さん。娘さんに明日麓の集落まで道案内をお願いしたいんですが」


「それならば、アタシが行きますわ。ちょうど実家の妹に話がありますから。ついでと言ってはなんですが、ご一緒に参りましょう」


「は、母上! ロビン様のご案内ならアタシも一緒に同行いたします」


 美貌のアーチャーの隣で、まるでコンパニオンのように料理や飲み物を甲斐甲斐しくお世話していた槍少女が、小柄な身体を目一杯伸ばす。


「俺たちはこの町に来たばかりで土地勘もなく不慣れだ。ミディア、悪いけど明日はロビンたちを手伝ってやってくれないか?」


「了解した」


 王子に対するぶっきらぼうな口調とは裏腹に、彼女の表情は嬉しそうだ。


――■――□――■――


――チュンチュン、チュンチュン――


 バーベキューパーティから一夜明けた翌朝。小鳥のさえずりが飛び交う中、藤堂は日課としている剣の鍛錬に余念がない。


 ようやく手に馴染んできたショートソードが、牧場の冷たい朝靄あさもやを切り裂く。


 代々藤堂家に伝わる古武術【中丞流】で愛用してきた日本刀の使い心地には程遠い。その感覚の差を埋めようとして、ただひたすら素振りを繰り返す。


 昨晩の豪勢な夕食に比べ、バタートーストとミルクといった軽い朝食を済ませた遊撃隊の仲間たちも、牧場の宿舎から姿を見せ始めた。


「剣一、お早う」

「先輩、朝から精が出るっすね」


「まあな。鉄平おまえと違って、俺はこの世界に来てまだ日が浅い。戦闘でも見切りや足捌きが心もとない。早くこの身体にも慣れないとな」


 女戦士に身をやつした後輩サラリーマンが数ヶ月前にこの世界へ放り込まれたのに対し、何故か第四王子を演じる藤堂は、実の所まだ数日しか経っていない。


 眼に見えぬ敵を心に描き無心で剣を振り下ろす。


 一見すると切れ味鋭い斬戟ばかりに眼が奪われがちだが、剣士として特筆すべき藤堂の持ち味は、ストリートダンサーを髣髴とさせる華麗な足裁きだ。


 この世界に精神だけが飛ばされた最初の頃は、走る事もままならぬ状態だった。ようやく様になってきた動きだが、全盛期に比べるとまだまだ涙目だ。


「お早うございます、王子様。今日はよろしくお願いします」


 昨日の作業着姿とは打って変わり、牧場主の妻はモスグリーンの色合いがつつましいワンピースといった清楚な服装だ。


 その隣には、娘のミディアが辺りをキョロキョロと見回している。


「あ、お早うございます。奥さん、昨晩はご馳走様でした。久しぶりに腹一杯食べた気がしますよ」


「いえいえ、どういたしまして」


「今日、遊撃隊は二手に分かれて行動する予定です。俺は鉄平、竜馬と一緒に役所の方へ。奥さんのご実家には、ロビンとタニアに行ってもらいます」


「分かりました。私と娘は準備OKです。いつでもお声を掛けてくださいな」

「おっと。ロビンの姿が見えないな? 鉄平、お前の相棒はどうした?」


「あれ? 竜馬と一緒にさっき朝食を取っていたっすよ」


 その竜馬が両手を伸ばして大きな欠伸をしながら歩いてくる。盗賊のフードに覆われた顔は、見るからにまだ眠そうだ。


「ふぁー。皆さん、お早うございます。オイラ、昨日食べ過ぎてまだ苦しいよ」

「しっかりバタートーストを何枚も食べていくせに、よく言うっすよ」


「酒田の兄貴、オイラまだまだ食べ盛りだからね。うんうん」

「ところで、ロビンはどうした?」


「あー。まだ、食べていたよ。オイラ、ロビンさんが食堂に居たから大丈夫だと思って、出発時間に余裕かましていたんだけど。ごめん、遅れちゃったかい?」


「……ったく、ロビンの唯一の欠点が出たな。鉄平、連れて来い」

「うぃっす」


――十分後――


「お早うございます、皆さん。今朝もいい天気ですね。疫病の調査は私にお任せ下さい。王子には役所でそのお力を遺憾なく発揮していただきますよう……」


 まさに立て板に水。酒田に連れられてようやく姿を見せたイケメンアーチャーが、朝の挨拶から遊撃隊の今日の予定について流れるように捲くし立てる。


 だが、風にそよぐ緑の髪の頭頂部には真っ赤なタンコブ! すでに恒例行事と化した鉄平の拳骨で、超絶的に寝起きの悪い軍師はようやく目が覚めたのだろう。


「時間的、人的効率を踏まえて今回も遊撃隊を二班に分けて対応するのがベストです。疫病事件を早急に解決するには、やはりこの二正面作戦をもって……」


 神をも嫉妬させる美貌と悪魔をも欺くその智謀を併せ持つエルフに、一人を除いたこの場にいる全員が内心で残念なツッコミを入れた。


(そのタンコブさえなければ!)


 一人だけ背の低い小柄な少女からは死角になって、ロビンの頭に生えたタンコブが見えないのだろう。キラリと光るアーチャーの白い歯を眩しく見つめる。


「ロビン様。素敵……」


「ねぇねぇ剣一。ミディアにロビンの弱点を教えてあげたら?」

 

「お前、『人の恋路を邪魔するヤツは、馬に蹴られて死んじまえ!』って諺を知らないのか?」


「あはは、ウマい事言っちゃって。でも、ポニーちゃんに蹴られたら本当に死んじゃいそうだね」


――ヒヒーン!――


 王子とシスターの夫婦漫才が聞こえたかのように、可愛い名前からは想像もできない程の巨体を誇るミディアの愛馬が、楽しそうにいななく声が響いた。


――■――□――■――


 小高い丘の中腹にあるOK牧場から続く坂道。風に揺れる牧草が生い茂る九十九折りを遊撃隊のロビン、タニアそして牧場のエイコとミディア母子が下っていく。


 マウントパーソンの町とは反対側の斜面に連なる道を歩いて十五分もすると、すぐに麓の集落に到着した。町とは違いお世辞にも活気があるとは言えない


「何だか人気もなくて、ひっそりしてるね」


 細い通りを挟んで数件の家が軒を連ねる。ワーシントン王国の最北端の山間部にある町だけに、家の造りも丸太を使った木造ばかりだ。


 北風がロビンたち四人の間を吹き抜ける。一番手前の比較的大きな構えの建物に掲げられた古びた看板が、ギイギイと嫌な音を立てて揺れている。

 風雨にさらされた看板の文字は、半分以上が薄くなって読めそうもない。


「えーっと、何て書いてあるのかな? 何とか印刷工場までは読めるんだけど」

「ルーベル印刷工場ですわ」


「エイコさん、よく読めるね」

「ええ。何せ、私の実家ですから……」


「えっ、ここが? 原因不明の疫病が発生したっていう場所なの?」

「はい。実の妹の旦那様が感染したらしくて」


「ねえミディア? その疫病ってどんな症状だっけ?」


「アタシが聞いた話じゃ、身体中を針で刺されるくらいの痛みがずっと続くって事くらいだな」


「可哀想だね。タニアの回復呪文が効いてくれると良いんだけど」

「ありがとうございます、シスター」


 エイコの後に続いて開け放しの入り口からタニア、ロビン、ミディアが工場へ足を踏み入れる。がらんとした大きな部屋の中には、幾つもの印刷機械が立ち並ぶ。


 この世界に電気は存在しない。


 誰もいない薄暗い工場の中、輪転機を手動で回転させる方式の器械群が、ペンキと思しい印刷塗料の臭いと相まって、まるで墓標のように四人を出迎える。


「奥さん、ご実家が印刷工場を閉めたのはいつ頃ですか?」


 ロビンが輪転機の上にうっすら積もる埃を指で確かめる。


「疫病騒ぎが始まった頃かしら。ここも一昔前までは町でも有数の印刷工場だったんですよ。それが不景気と疫病のダブルパンチで、このとおり開店休業だわ」


 勝手知ったる隣の我が家。


 山積みにされたまま放置されたカラフルな武器屋のパンフレットや『秘薬草入荷!』と書かれた道具屋のチラシの間をエイコは寂しげな足取りで通り抜ける。


 その時、工場の奥の扉が開きエイコと瓜二つの女性が四人の前に現れた。


「姉さん、勝手に入って来ないでくれる?」


 不機嫌が上等な服を着て歩いているようだ。高価そうなブレスレットが輝く両手を腰に当てて顔をしかめる小柄な彼女は、誰が見てもエイコの妹に違いない。


「何言っているの? OK牧場に嫁いだけれど、ここはアタシの実家じゃない」

「そうね。で、今日は何のようかしら?」


「何の用って、あなたが連絡一つくれないから、心配で様子を見聞きたんじゃない。これでも実の姉なのよ!」


「どこかの牧場から流れてくる汚染水が原因で、うちの旦那が寝たきりなのよ。姉さんにも病気がうつるかもしれないから、さっさと帰れば?」


「何て事言うの! まだ原因は究明されていないわ。第一うちの牧場は家畜の餌だって昔から何一つ変えていないし、ましてや変な水なんか垂れ流す訳ないでしょ」


 強烈な姉妹喧嘩が勃発する前に、二人の間に割って入ったシスターがおずおずと声をかける。


「あ、あのうー。ちょっといいですか?」

「何? あなた誰?」


「私はタニア、見習いシスターだよ。この国の第四王子の下で働いているの」

「だ、第四王子? で?」


「ご主人に一度会わせてもらえませんか? タニアの回復呪文で病気が治せるかもしれないから」


「なっ! そ、そんなの無理に決まっているわ。あ、あなた見習いシスターなんでしょ? 王都から派遣された専門家の調査団でも、な、治せなかったんだから!」


 何故か大声を張り上げて叫ぶエイコの妹に、今度はロビンが声をかける。


「パラケス団長と白ずくめの調査団が、ここにも来たのですか?」

「もう! あなたは誰よ。次から次へと……あっ」


 天上界の美貌を目の当たりにした彼女は、次の瞬間怒りを忘れた。にっこり微笑むサファイアのような瞳に見つめられて言葉を失う。


「パラケス団長と白ずくめの調査団が、ここへ来ましたね?」

「はい……」


「副町長も?」

「いえ。あのタヌキ親父は臆病だから、感染を怖がってここには来ていません」


 まるで催眠術に掛けられたように素直になったエイコの妹は、ロビンの質問に淀みなく答える。


「そうですか……。おや? どこからか、いい香りが」


 何かを思いついた遊撃隊の軍師が工場の奥の扉に目を向ける。印刷塗料の臭いに混じって美味しそうな匂いが漂ってきた。


 ロビンがつかつかと工場を抜けると、そこは広いダイニングルーム。つい最近までは印刷工場の従業員たちの食堂だったのだろうか。


 長いテーブルの上には、豪華な食材を用いた料理が数皿と高価なアルコールのボトルが並んでいる。


「あ、よろしければ一緒に朝食でもいかが? 主人は床に臥せっていて、誰にも会いたくないそうなの。一人で食事をするのもつまらないし」


 ロビンの甘いマスクの効果が切れたのか、やんわりと疫病患者との面会を断りながら食事を勧める。


「マイコ、あなた一体どうしたの? 朝からお酒なんて!」

「ね、姉さんには分からないのよ。アタシの気持ちなんて!」


「旦那様が病気で大変なのは良く分かるわ。だからと言って、あなたがお酒に逃げてどうするのよ!」


「うるさい、もう放っておいてよ」


 髪を振り乱して姉の言葉に耳を傾けようとしない。同じ顔をした二人が言葉を失くして見つめあう。


 若いタニアとミディアの二人も姉妹の喧嘩に口を挟めそうにない。そんな中、ただ一人イケメンのエルフがポツリと呟いた。


「グラスが二つ……ですね」


 ロビンの言葉どおりテーブルの上に並べられた絢爛な料理には、グラスだけではなくナイフやフォークや取り皿までもが、二人分セットで用意されていた。


「マイコ? あなたさっき一人で食事って言ったわよね? パパとママも既に他界しているし、従業員も全員暇を出した筈よね? 誰と食事するつもりだったの?」


「そ、それは……」


 言いよどむ妹をさらに糾弾しようとするエイコを軽く制し、ロビンが脅えるマイコの代わりにそっと答えた。


「ご主人ですね?」


「え? だって旦那様は、原因不明の疫病に苦しんでいるんじゃないの?」

「奥さん。妹さんのご主人が感染してから、彼にお会いになりました?」

 

「いいえ、王都から派遣された疫病の調査団の説明と妹から話を聞いただけです。病気がうつるからといって、旦那様とは一度でも面会させて貰えなかったわ」


「マイコさん。その両手のブレスレットですが、その派手な服に良くお似合いですよ。高額たかかったでしょう? あと、そこのお酒もビンテージワイン?」


「……っ」


 ロビンの指摘にマイコが思わず両手を後ろに隠して眼をそらす。


「お姉さんの話では、不景気と疫病のダブルパンチで印刷工場が開店休業状態だとか? 従業員を雇えなくなった割には、いいご身分ですね」


「り、臨時収入があったの。ね、寝たきりになった主人の気分転換にパーティの真似事をして、か、彼を元気付けようと思っただけよ」


「そうですか……。ではその料理を一口頂いてもよろしいですか?」

「え? ええ。どうぞ」


 最早消え入りそうな声でマイコが返事をする。


「では遠慮なく美味しそうなソーセージに、この調味料をたっぷりと付けて……」


 ロビンがイケメンに似合わず野生的にガブリかぶりつく。肉の腸詰からジューシーな肉汁がピュッと口内に溢れ出す。


「美味しいですね、さすが高級食材! エイコさんもいかがですか?」


 そう言いながら調味料が入った小皿に手早く料理を取り分けて手渡す。


「あ、ありがとう。じゃあ、頂きますわ」


「昨日、牧場でご馳走になった料理と遜色ないほど美味しいと思うのですが……」


 料理にたっぷりと調味料をまぶし、エイコが上品な箸使いで口へ運ぶ。


「もぐもぐ……。こ、この味!」


 まさか信じられないといった面持ちになった牧場主の妻が、わなわなと両肩を震わせながら手にした小皿と箸をテーブルにバンッと叩き付けた。


「マイコ! この塩麹しおこうじ、味が滅茶苦茶じゃない! あなた忘れたの? お母さんが私達二人に託してくれたお袋の味を!」


「そ、それは……」


「調味料の味を保つには、毎日毎日それは手間暇がかかるわ。でも、あなた。お母さんが亡くなってからも、ずっと塩麹を作ってきたじゃない。それなのに……」


 妹を糾弾するエイコの目に大粒の涙が浮かぶ。


 そんな姉の姿を見たマイコが何か弁解しようとした時、食堂の奥から一人の男が現れた。


「もういい。もういいんだよ、マイコ」

「あなた、人前に出てきちゃ駄目よ!」


「お義姉さん、どうか貴女の妹をこれ以上責めないでやって下さい。悪いのは全て夫の僕なんですから」


                         ――続く――

【あとがき】

 マウントパーソンの町で起きた原因不明の疫病騒動。二手に分かれた遊撃隊の一方を預かる、寝ぼすけ軍師ロビンの活躍で事件解決に光明が射す。病に倒れていたはずの男が語る真相やいかに? 一方、町役場へと向かった藤堂王子の動向は?

 次回『初めての騎馬は、匹夫之勇?⑤』乞うご期待!

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