『双子宮』
第9話です!
「お、きたかイー坊……ん、女の子?」
「あら、ごめんなさい、まだお店は開店してないの」
『双児宮』のドアを開けたコーデリアを出迎えたのは、店員らしき二人の美形の男女。
「ごめん、二人とも。お客さんじゃないんだ。ルリさんどこにいる?」
コーデリアの後ろから現れたイルミがフォローを入れる。
イルミの姿を見た二人は目をパチクリさせながら、イルミとシャミアを交互に見る。
「イー君がシャミアちゃん以外の女の子を連れてきた?」
「えっと、お、お嬢さん、イー坊……イルミとはどういった関係で?」
店員の男の方が恐る恐ると言った様子でコーデリアに質問をする。
「私はイルミのパートナー」
その答えを聞いた店員二人は同時に顔を見合わせる。
「ち、ちがっーー」
「「嘘っ!?」」
イルミが訂正をしようとするのも遅く、店員二人は思い思いの行動をする。
「なんでだよ、いー坊!? 俺でさえ、俺でさえ……。くそぉ! こんな可愛い子モノにしやがって! 俺が学生の時なんて……くぅ、何でだよイー坊!! この裏切り者が! お前も体を鍛えてばっかの恋愛興味なし人間じゃなかったのかよ! ちくしょうーー!!」
イルミの体を揺すり、余程悔しいのか、うっすら涙を浮かべる男。
「だから違うーー」
「イー君とは、いつからそんな関係なの? 全然そんな話なかったからお姉さんビックリしちゃったなぁ。綺麗な銀髪ね。ええ、可愛い。お姉ちゃんて呼んでくれても良いのよ? イー君とは家族みたいなものだから。ふふっ、あ、気が早いかしらね」
「あ、あの……」
店員の女の方も男と同じようにコーデリアに対してグイグイといく。あまりの勢いでコーデリアもタジタジしている。
「だから違うーー」
「テメエら! くっちゃべってないで仕事しやがれ!!」
「「ごめん! 母さん!」」
誰かの怒号が響くと、反射のように背筋が伸びた二人は各々の仕事場に戻りテキパキと仕事を始める。
急な怒号と二人の急変ぶりに唖然とするコーデリア。
「たく、ちょっと目を離したらこれだよ、あの馬鹿共……」
恰幅のいい女性がやれやれと言った様子で厨房らしい場所から表に出てきた。
「騒がせてごめん、ルリさん」
「いいよ別に、それでその子は?」
イルミはやっと話を聞いて貰えそうで一安心する。
「実はーー」
と、イルミはコーデリアを連れてきた経緯を全て話す。
ルリに話している途中コーデリアが、それを話していいのかと言うようにイルミの顔を見たが構わずにイルミは話しを続ける。
「なるほどね」
一通り聞いたルリは頷き
「お嬢さん、サスフィール家の娘さんみたいだけど、イルミから少し聞いているだろうが、ここに住むって事は今までアンタがやった事もないような事もやらなくちゃいけないだろうが、覚悟は出来てるかい?」
ルリは真っ直ぐコーデリアを見つめる。
「イルミの傍にいられるなら、私は何でもする」
「なんだか懐かしさを感じるね……いいだろう、おい、リディア! ルディア!」
「「え、な、なに母さん?」」
名前を呼ばれた二人の店員は自分の仕事を置いて急いでルリの元に集合する。
「今日からしばらくウチで働くコーデリアだ」
「よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げるコーデリア。
「え、ウチで働くの?」
「えーホントに! よろしくねコーデリアちゃん!」
「そこの煩いのは私の子供のリディアとルディアだよ。娘がリディアで息子がルディア。そこの双子とイルミに何でも教えて貰えばいい」
「双子……」
よく見ると髪型以外は顔のパーツがそっくりな二人。そういえば、息ピッタリであったとコーデリアは思う。
「制服はリディアのを貸してやりな、今日のキッチンはルディアが入って、ホールはリディアとイルミでコーデリアに仕事を教えてやりな。それじゃあ、さっさと開店準備を終わらせてしまいな」
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