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イルミVSレオン ①

二人が去っていくのを見送ったレオンは口を開く。


「おい、テメェ、ポーションいくつ飲んだんだ?」


「え? えっと一つだけど」


 「チッ」と何か気に障ったのか、レオンは気に食わなさそうに舌打ちをする。そして、ゴソゴソとポーチの中を探り、目当てのものを見つけるとイルミに投げ渡した。


「飲めよ、俺はすでに二つ飲んじまったからよ……平等じゃねえとゴミがゴミだって証明すんのに言い訳を作っちまう」


 要はボーナスポーションによるステータス上昇による有利を無くし戦いたいという意味であった。


 イルミは少し考えた後に、言われた通りに受け取ったポーションを飲みほした。

HPバーは初めから満タンだったため見た目に変化はないが、ステータスに影響を与えている様であった。


「じゃあ、そろそろいいか? 時間が勿体ねえからよ」


 ポーションを飲みほしたイルミを見て、そう言ってレオンはイルミに剣を向ける。


「いいよ、やろうかレオン」


 シャミアとレオンが食堂で対峙した時のような口数はない。


 あれだけ悪態を吐いていたレオンだが二人きりになると意外と呆気なく戦闘態勢に入る。煽り合うにも、それなりの関係性というのが必要であるようであった。


 イルミも短剣を右手に持ち、腰を低く落とし構え、レオンを見据える。


「えっ」


 しかし、見据えた先、レオンのとった行動に目を見張ってしまう。


――シル・フィード!?


 レオンの持つ剣の周囲に風が纏わりついている。食堂でのシャミアとの模擬戦で未遂に終わったレオンのスキル。それを戦闘開始直後から【Lv.1】の雑魚と呼んでいた相手に使用したのだった。


「何を驚いてやがる!」


 レオンが前に出る。轟々と風の音を唸らせた剣をイルミに向かい容赦なく振り下ろす。


 すかさず持っていた短剣でレオンの剣をイルミは弾く。


「ぐっ」


 しかし、防いだはずのイルミの頬がパックリと切れ、血が流れ出る。ほんの少しだけイルミのHPゲージを減らす。


――風の刃……!


【武器】関連の技能スキルである【属性付与】、これは魔力の強さ関係なしに特定の素精霊を扱う事が出来る様になり、持っている武器に付与する事が出来るスキル。扱える素精霊はその人物によって変わり、レオンは風を扱う事が出来るようであった。


 そのスキルによって剣に纏わせているレオンの風はガードをすり抜ける第二の刃を形成し攻撃する。


 しかも、レオンの使う【シル・フィード】はそれだけではない。


――速っ


 レオンの剣は加速していく。剣の重みを全く感じさせないレオンの剣技。それは【シル・フィード】によって纏った風を操り剣速を上げているのであった。


 イルミは向かってくる剣までは躱す事が出来ても、追加の風の刃までは全てを躱す事が出来ない。


 ジリジリとイルミのHPを減らしていく。


「なぁ! このままで終わりか!? 【LV.1】!!」


 レオンは更にイルミへと向かって行く。


 一部の隙もなく、嘲る事なく。


 それはイルミにとって今大会初めての事であった。


【Lv.1】のイルミに対して何の油断も躊躇もなく初めから全力で戦う相手というのは。


 それも、普段あれだけ見下した態度を見せていたレオンからの全力。それを受けたイルミは明らかな動揺を見せるのであった。

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