10人目の末路
第40話です!
「おいおい、何でイルミとコーデリアの奴がいるんだよ? なんだダリル達はやられたのか?」
二人が通り過ぎていくまで息を潜めて見ていたのは、エリア内に残るように指示されたダリルの仲間の一人ようであった。
「くそぉ、俺だけ楽して功績を得ようと思ったのになぁ……。どうっすっかなこれから。俺一人じゃコーデリアに勝てる訳もないし、そもそも、こんなイベント後半まで残ったチームの相手が出来る訳もない……いっそ棄権してしまうか? いやでも、流石にそれはダリル達に申し訳ないか……?」
など、独り言をぶつぶつと呟いている。
「なんだコイツ?」
「うわぁぁ!?」
急に背後に現れた男子生徒に驚きの声を上げるダリルの仲間。
「もう、わざわざ、そんなの相手にしないでよルーフ」
すると更に背後からルーフと呼ばれた男子生徒のペアの生徒であろう女子生徒が現れた。
「いや、でも主、こんな所に一人って、かなり怪しくないか?」
「ただ隠れていただけでしょ。姑息にね。あと、ここでは主って呼ばない約束でしょ」
「そうだった。ごめん、ミーシャ。それでコイツどうしよ?」
ルーフは男子生徒を指さしミーシャと呼んだ生徒に指示を仰ぐ。
「そうね……変に怪しまれて今日の邪魔になっても嫌だし……気絶して貰おうかしら。この学校ならちょっとやり過ぎたくらいで済むでしょ」
「わかった、ある……ミーシャ」
「へ、え、なに?」と、状況が理解出来ていない男子生徒は困惑している。
「なぁ、お前はヴォルフをどれだけ殺した?」
「へ、何? ヴォルフ?」
ヴォルフと言うのは狼のような見た目をした魔物の一種であり、ヴォルフ種の中で一番低ランクに位置する『ヴォルフ』であれば、【Lv.15】程で倒せる強さなので、冒険者となって慣れてきた頃に腕試しとして戦うケースも多い。
「お、覚えてねえよそんなの。何匹も倒してるんだから……」
「なぁ主、やっぱり殺していいかコイツ?」
「駄目よ、まだ目立つ訳にいかないんだから。処理が面倒でしょ? あと、ミーシャって呼びなさい?」
「全部食うから。好き嫌いしない。だからお願いミーシャ」
「我儘言わないの……でも、ちょっと喋り過ぎたかしら。殺すのは駄目だけど半殺しにして二度と冒険者を名乗れないくらいの恐怖とトラウマを植え付けましょ」
「わかった、それで我慢するよ主」
「ミーシャだって」
物騒なやり取りが目の前でされている男子生徒。何がなんだかよく分からないが窮地に立たされているのは分かった。
「何だよ! 何なんだよお前ら!?」
急いで逃げようとする男子生徒。足の速さには自信があった。もし誰かに見つかっても逃げ切れるように、と10人の中から一人だけ別行動する役に選ばれたのだから――しかし
「逃げるなよ、人間」
「――は?」
後ろにいたはずの男が目の前にいる。背を向けて走ったはずなのに、ルーフが正面に立っていたのだった。
「何だってんだ! どうなってんだよ!」
完全に怯えた男子生徒はもう武器も取れずに震え上がる。しかし、そんな事は関係なくルーフはゆっくりと近く。
「ぎゃあぁぁぁ!」と、男子生徒の声が一度だけ森に響くのであった。
「あれ、ポーションの色変わってる」
イルミの言う通り、彼が持つボーナスポーションの色が変化していた。ダリルを倒した時点では色が変わっていなかったため、その変化はダリルの相方がやられたという事を示していた。
「結局、失格になったみたいだね」
もう3度目の花火が上がり、かなりエリアも狭まっている。隠れられずに見つかってしまったか、もしくは、作戦が終わる時間になったらリタイアするように言われていたのかもと考えるイルミ。
「この後はどうするの? イルミ?」
「もう何もないかな、このまま次のエリア内まで進もう。後はもう成る様にしかならないと思うし」
エリアも収縮し、煮詰まって来た状況。ここからは、これまで倒してきた敵の数やポーションがモノを言い、ペアの実力が試される。
「残りは何チームかな」
「どうだろ? ここまで戦える場が狭くなったら、戦うしかなくなってかなり数が減ると思うけど。そもそも、ダリル君達だけでも5チームいたから、この時間だともうほとんど残ってないかも」
25組参加していて、イルミ達が遭遇したチームだけでも7組は失格となっている。イルミ達はイレギュラーであるとしても、他のチーム同士も戦っていると考えれば、当然数も残り少なくなってくる事だろう。
「うん、ここまで来たら早めにエリアの中心まで行こうか。また変に戦闘して時間が無くなっても嫌だから……それに――きっと最終エリアで待っていると思うから」
とイルミが思い出すのは幼馴染の顔。きっとこれがこのイベントの最終局面だとイルミは考える。
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