ダリルとの一騎打ち
第37話です!
動揺して叫ぶダリルを横目にイルミはコーデリアに合流する。
「ごめんリア、もっと早く出てきても良かったかも」
「大丈夫、私一人でも倒せた」
どうも話が嚙み合っていないように聞こえる会話であった。ただ、コーデリアの発言は強がりには到底聞こえない最強に相応しい戦いをしていたというのは確かであった。
「うん、そうかもね」
と、コーデリアの事を肯定するイルミだったが「でも」と付け加えるのだった。
「それだと君達の思う壺なんだと思う。そうでしょダリル君?」
ダリルはその問いかけに対して苦虫を嚙み潰したような表情を見せる。
「どういう事なの?」
「今は説明する時間がないかな、急いで二人を倒す事に専念したい」
「分かった」
素直に言う事を聞いたコーデリア、ダリルとヴァ―リの二人に大剣を構える。
「ポンの魔法が直撃したのはこの目で確かめた……それなのにどうしてだ? どうして、お前のHPはゼロになってないんだよ? なんで【Lv.1】のお前が耐えられるんだよ!?」
イルミのHPバーは無傷。それは、ポーションで回復したというのはダリルにも予想はつく。しかし、だ。
そもそもの話だ。【Lv.1】もイルミがそれよりもずっとレベルの高いはずのポンの魔法攻撃を耐えた道理がダリルには分からなかった。
それは当たり前の感覚であり、正当な【Lv.1】の人間に対する評価であった。
ダリルにとって不幸であったのは相手が――イルミ・シンドレアだった事であった。
「その説明をする暇もない。しいて言うなら――【炎耐性】があったからかも」
実際は耐えられるだけのステータスは十分にあったからだが、イルミはわざとそう答えた。
「意味が分かんないんだよ!」
逆上したダリルがイルミに向かって刀を振りかざして向かっていく。その動きにイルミも答え、一騎打ちの構えとなる。
短剣を構えたイルミは真っ直ぐダリルの元に駆け寄る――半分程スピードに余力を残しながら。
大したスピードはないと判断したダリルはイルミの仕掛けた駆け引きに乗ってしまう。
近づくイルミに合わせて刀を振るうダリルだが、その刹那にイルミは自分のスピードを一気にトップギアへと変えた。
――消えっ
そう思った時にはダリルの腹部に鈍く思い痛みが奔る。消えたと錯覚させる程の急激な緩急にダリルは付いて行く事が出来ない。
「ぐッ!?」
ダリルのHPバーが4分の1程削られる。
何が起こったのか分からないダリルは混乱しながらもイルミを再び視界に捉えると、攻撃を加えようとする。
しかし、イルミはその攻撃を軽々と躱し、すぐさま追撃を加える。
――なんだ?
攻撃が当たらない。
――どういう事だ?
返しの攻撃で徐々に減っていく自分のHP。
――何が起ってるんだよ!?
【Lv.1】を相手に全く歯が立たないという現実。
「シンドレアァァァ!!」
ダリルの気持ちが乗った渾身の一撃もイルミに躱されてしまう。そして
「ふっ」
と、カウンターで上半身を切り刻むように短剣を振るう。その一撃でダリルに残った少量のHPをイルミは削りきるのであった。
ゼロになったHPを確認し失格となったダリルは膝から崩れ落ちる。
「うそ……だろ……」
唖然とした様子のダリルはまだ現実を受け入れる事が出来ていない様子であった。
結局、ダリルの攻撃を一撃も食らう事がなく戦いを終えたイルミ。しかし、それは考えてみれば当然の事であった。
イルミが毎朝、戦っている相手は――【武神】であるルディアなのだ。
状況が飲み込めず混乱し、逆上した事で冷静さを欠いたダリルの攻撃を躱す事などイルミに取っては造作もない事であった。
「イルミ」
ダリルとの戦いが終わった事を確認したコーデリアがイルミに近寄ってくる。どうやら、コーデリアとヴァ―リの戦闘はイルミとダリルよりも更に早く終わっていたようであった。
先程はコーデリアの足止めに成功したヴァ―リであったが、純粋な1対1でコーデリアに敵う訳もなく、一瞬で倒されてしまったようであった。
「急ごうリア、時間がない!」
「時間?」
「エリアの収縮時間だよ! もう残り少ない!」
「ん、分かった。急ごう」
焦っているイルミに対して、随分と落ち着いた様子のコーデリア。
負けたダリル達を置いて、イルミ達は次のエリア内へと向かって走り出すのであった。
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