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模擬戦 シャミアVSレオン

第3話です!

「レオンとシャミアが模擬戦だ!」


「おい! 早くをテーブルどけろ!」


「シャミアちゃん! 頑張って!」


「レオン! 男の意地見せろよ!」


 などと騒ぎ立てながら食堂にいた生徒達が野次馬として続々とシャミアとレオンの周りを囲むように集まってくる。


「なんでウチの学校はこうも血の気が多いやつが多いかな……」


「色んな国の騎士さん貴族さんも沢山おる学校やけど、結局みんな戦い好きの戦闘民族っちゅう事やろな。ていうか、なんや偉い他人事に言うてはるけど、どうせまた君が原因やないの? イルミ君?」


 他の生徒達とは少し違う話し方をしながら、細い目を緩ませ、心底愉快そうにこの騒動を眺めている表情を浮かべた女生徒がイルミに話しかけた。


「どっからわいてきた、ネリル」


「そんな邪険に扱わんでもええのに。騒ぎの匂いは金の匂いや、学年の超優秀な生徒同士の模擬戦なんてええ匂いするに決まってるやん。ウチは儲かるならどこにでも現れるで」


「さすが西方の大商人のご令嬢様で」


「うっさいわ、ご令嬢とかいうな。まぁ、さて置きや。イルミ君はどっちに賭けるん?」


 ネリルの視線の先、野次馬達同士で、どちらが勝つかの賭け事が始まっていたようであった。


「ちょっと情報提供してえな。君なら聞いてるやろ? 最新のシャミアちゃんの【Lv】と【ステータス】」


 ネリルはどうやらそれが目的でイルミに声を掛けたようであった。


「というか、商人がギャンブルで金を稼ぐってどうなんだ?」


「何を言うてんねん。商人がこの世で一番のギャンブラーやっちゅうねん。何かに投資して本当に売れるかなんて、売るその時まで分からんのやからな。極端な話、急な百鬼夜行みたいな大災害で大量の商品がいかれてまうなんてよく聞く話やからな」


「それは商売の話で、こんなただのギャンブルとは関係ないんじゃないか?」


「ホンマにアホやなイルミ君は。ウチが何の為に君に話しかけたと思ってるん? 商売もこの賭け事も同じ、要は情報戦なんよ。百鬼夜行が事前に起こりそうって聞いてたら避ける事も出来るし、何より武器が売れるのが分かるから仕入れも変わる。シャミアちゃんの【Lv】と【ステータス】が分かれば、より勝率の高い方に賭けられる。その分、勝つ可能性が高まる。コイントスで勝ち負け決めるんやないんやから、頭使わな……って、ああ!?」


 話の途中でネリルの叫び声。投票終了のサインが出ている。シャミア、レオン、両者向き合っている。そろそろ始まると言うことで、賭け事を仕切っていた人間が早々に投票を終わらせてしまったようだった。


「うぅ……イルミ君のあほう……。はよ情報教えてくれんから、投票終わってしもうたやんけ……」


「え、俺のせいかよ……えっと、悪かったよ」


 ネリルのあまりの落ち込みようにイルミはつい謝ってしまう。


「はぁ……まぁどうせ今回はかなり五分五分の予想やったし。シャミアちゃんの情報聞いた所で、そない予想の確率が変わる事も無いし、勝てる確証は無かったからええんやけど……」


 いいと言っておきながらもネリルは参加できない事に落ち込んでいる様子を見せる。商人についてあれこれ話していたが、単純にギャンブルが好きな性格のようであった。


「参加出来へんのは残念やったけど、情報だけは貰っておこかな。二人の試合見ながらゆっくり聞かせてや、イルミ君」


「それは構わないけど」


 と、この場全員の注目の先、シャミアとレオンに目を向ける。


「おい準備はできたかよ、ゴリラ女」


 と握った木製の剣をシャミアに向けてレオンが言う。 


「あら、今なら逃げてもいいのよ、泣き虫ライオン」


 グローブを手に嵌めたシャミアが拳を握り、ファイティングポーズをとる。


 悪態を吐きながらもお互いそれが準備完了の合図と受け取ったのか二人は同時に言う。


「「ヴィジュアライズライフ!」」


 そう唱えると、頭の上に何かゲージのようなものがし出現した。


「ホンマにいつ見ても訳の分からん技術やな。本人の実力やらステータスやらを演算して擬似的に体力ゲージを映し出して戦えるようにするなんて。色んな魔法やスキルが複雑に絡み合ってるみたいやけど、色んな国を巡ってきたけど、あんなもん見たのこの学校が初めてやわ。流石、かのシンドレア学院や。アンタのオトン様さまってとこか」


「…………」


 イルミは何も答えない。


「自分もウチの家のこと弄ってきた癖に自分のことになったらダンマリかいな。ええけど、お、始まるで」


 シャミアは半身状態となり拳を胸の辺りで構えたまま、つま先立ちでトントンと軽くステップを踏む。


 向かってレオンは剣を両手で握り中段に構える。


 両者睨み合ったままお互いの出方を伺っているようで合った。そしてーー


「ふっ!」


 先に仕掛けたのはシャミアだった。拳の届く位置まで一瞬で潜り込み、拳をレオンに向けて撃ち抜く。


 それを姿勢で避けるレオンだが、シャミアの攻撃は止まない。次々に繰り出される拳。それを避けたり、剣で弾いたりして、何とかやり過ごすレオンだが、剣のリーチを活かせる間合いを取らせないシャミアの猛攻に防戦一方で苦しんでいる様子であった。


「しっかし、シャミアちゃんの拳が空を切る音、恐ろしいな……あんなの女の子が出してもいい音じゃないで」


 レオンが上手く避けているお陰で体力ゲージに変化はないが、シャミアの拳は一振りごとにブオンと空気を揺らす音が聞こえる。当たらずとも十分にその威力が想像できる。


「それでいくつやったん? シャミアちゃんの『力』は?」


「110越え」


「うわぁ……」


 他に言葉が出なかったのかネリルからドン引きの声が漏れる。


「後は『魔』が絶望的に低くて少しだけ『速』が高い。残りの『耐』と『器』がレベルに対してちょっと低いくらいだったと思う」


「『魔』が絶望的なんは相変わらずやな……まぁシャミアちゃん、攻撃に全振りの【職業】と【武器】やからな。【武闘家】で【拳】。そんなステータスになるのも納得やわ。あれだけ突き抜けてたら短所補うよりも長所伸ばすのは正解やろな」


「短所が絶望すぎて長所を伸ばすしかないとも言えるけどな」


「ははっ、君が言うと説得力がちゃうなぁ」


 少し皮肉混じりにねネリルは言う。イルミはそれに反応を見せない。


「またダンマリ」


 そんな二人の会話の間にもシャミアとレオンの勝負は続く。


「いつまでも守ってないで攻めたらどう? 攻める勇気があればの話だけど」


「全員がお前みたいな脳筋だと思うな! ゴリラ女!」


 レオンは何度も経験していた。彼女の攻撃は一撃一撃が必殺。まともに喰らってはいけない事を。


「それじゃあいつまで経っても勝てないでしょ!!」


 と、レオン自身ではなく剣に狙いをつけ、大きく跳ね上げるように左手でぶん殴る。


「しまっーー」


 意表をつかれ、姿勢が崩れるレオン。


 作り出した作り出したその一瞬の隙、シャミア右拳を大きく振りかぶり溜めを作った。


 その一瞬の溜めは姿勢を崩したレオンが剣でその拳をガードする為の猶予を与える。


――しかし


「んなラァ!!」


 力に任せの一撃がガードを貫通して、受けた衝撃でレオンは宙に浮き吹き飛んだ。囲んでいた生徒達は飛んでくるレオンを慌てて避ける。レオンは受け身も取れず転がり、その先にある模擬戦の為に退かされたテーブルや椅子を積んだ場所に激突する。崩れた家具でレオンは埋まり見えなくなる。


「うわぁ、よー飛ぶわ……ウチ絶対シャミアちゃんに喧嘩売らんとこ。損する売買ほど無駄なもんないわ」


ネリルにとっては喧嘩も銭勘定と言うことらしかった。


「じゃあ、得があれば喧嘩するのか?」


「せやな。ま、商売が本業になるとはいえ、ウチも冒険職希望の身や、戦う事だってあるやろ。シャミアちゃんクラスの相手に喧嘩を売って得られるメリットなんて想像もつかへんけどな」


「自分の事を低く言いやがって。お前も学年じゃかなり優秀な部類の癖に猫被ってんじゃねえよ」


「いやいや、君らに比べたらウチなんて」


 君らーーその中にはシャミアやレオンだけではなくイルミも含まれている言い方であった。


「……ぐっ」


 と、シャミアの攻撃で吹き飛ばされ埋もれていたレオンがテーブルや椅子をかき分け現れる。先ほどの一撃で体力ゲージは半分まで減っており、緑だった色は黄色に変化している。


「流石にレオン君も優秀な生徒やなぁ。ガードしてたとはいえ、あれを喰らって半分も体力残してるなんて」


「まぁ、普通の生徒なら勝負あっただろうな」


 そもそも、半端な実力の生徒であれば、最初のラッシュを受け切る事も出来ないだろうとイルミは思う。


「あらあら、そのまま倒れたフリをしてたら、これ以上痛い思いをせずに済んだのに」


「そんなダサいマネ死んでもするかよ。たった一撃当てただけで、いい気になるなよ」


「一撃も当てられてない奴に言われても、負け犬が鳴いてるようにしか聞こえないわよ」


「まだ負けてねえよ」


「そうね、負けるのはこれからよね!」


 と、再びシャミアが間合いを詰めようと仕掛ける。


「何度も同じ手が通用するか!」


 それを読んでいたのか、レオンは詰めに走り出したシャミアに合わせて剣を薙ぐ。思わぬカウンターだったがシャミアはそれに反応して紙一重で交わす。しかし、その交わす方向を読んでいたのかレオンはすぐに距離を詰め、剣を振り追撃する。それを拳で払いのけたが、レオンはさらに蹴りを飛ばしシャミアの腹部に直撃し、体力ゲージを削る。


「上手い」


 イルミは今のやり取りを見てつい言葉を溢してしまう。


「いったぁ……。ちょっと、女の子を蹴るなんて男としてどうなの?」


「入学したていの頃に初めて会った時からお前を女と思った事は一度もねえ!」


「何それ! 酷い!」


 今度はレオンから仕掛ける。拳が届かない絶妙な距離を保ち、常に優位性を維持しながら戦っている。


「そういや、レオンの情報は知ってるのか?」


「当然、そこは抜かりないで。シャミアちゃんは君に聞いたら分かるやろうから、後回してたけど、レオン君の方はバッチリや。まぁ簡単に言えば全体的にバランスがいいって言うのが感想やな。職業的に魔法使うタイプやないから、シャミアちゃん程ではないけど『魔』が少し低いって感じ。レベルも22で、ステータスも他生徒に比べてかなり高水準、彼もシャミアちゃんに劣らずの学年トップクラス実力者や」


「……それに加えて戦闘技術もかなり高い」


 先ほどと完全に立場が逆になったシャミアとレオンの戦いを見てイルミは言う。


 口だけではない。イルミに悪態をつき、シャミアに小悪党呼ばわりされているレオンだが、イルミは彼の実力を認めているようである。血の気の多い連中が多い中で取り巻きを作り、それを率いると言うのは彼にそれだけの力があるからに他ならなかった。


「レベル社会、ステータス社会って言われてる、この冒険職の界隈やけど、技術とか知識は自分で身につけるしかないからなぁ。『器』のステータスだってあくまで補正程度やし、それはどのステータスにも言えるんやけど。それをホンマに理解してる奴は一握りやろうけどな」


 と、「せやろ?」と確認を取るかのように、意味ありげにイルミの方に視線を向ける。


「シャミアも力任せな戦い方を変えないとだな」


 その視線に気付いてないのか、気付いて無視したのか、どちらにせよ話を続けるイルミ。


「でも、ああいう真っ直ぐな所があの子魅力やないの?」


「魅力かはさて置き、あのままじゃいつか。そもそも自分より高いステータスの相手にした時どうする事も出来ない」


「幼馴染に対してエラい厳しいんやなイルミ君は」


「厳しくない、事実だから」


「それが厳しい言うてるんよ……」


 実際、模擬戦の試合展開はかなり一方的になっていた。シャミアの体力ゲージはジリジリと減っており、遂にはレオンと並ぶ程に減っていた。


 シャミアのように一撃に重みはない。しかし、要所要所、堅実な一撃を確実に当てシャミアの体力をジワジワと削っている。戦いの様子だけを見れば、レオンの方がシャミアよりも一枚上手に映る。実際、あの強烈な一撃を貰うまでレオンにシャミアの攻撃は擦りもしていなかった。戦闘技術に圧倒的な差があるようだった。


 だが、その差をシャミアは覆す。


「あぁもう! 鬱陶しいっ!」


 振られた剣の攻撃を避けようとせず、シャミアは左腕を使いそれを受け止める。受けた痛みに表情を歪ませる。生身の肉体へのヒット、当然、体力ゲージは減る、が、肉を切らせたおかげで右手が空き、ブン殴る為の準備が整う。


「くあっ!?」


 放たれる右拳に何とか反応して体を捩って何とか避けるレオンだが、肩に攻撃がかすめ、体力ゲージを削る。かすめただけの一撃、しかし、体力ゲージの減りは、まともに受けたはずのシャミアと同じくらい減っている。


 体勢を崩したレオンは一時的にシャミアから距離を取る。


「なぁイルミ君、やっぱあの子、何があっても力技で解決出来そうやない?」


「うーん……まぁ……」


 あまりに無茶な戦い方にイルミはしっかりと否定が出来なかった。


「この脳筋やろうが! もっとスマートに戦えねえのかよ!」


「あんたの戦い方がイヤらしいのよ、それでも男なの?」


 距離を取る度に口喧嘩。常に争っていないと気が済まないようである。


「はぁ、全くさっさとしないと昼休みが終わっちゃうわ。次で終わらせましょうよレオン?」


「……あぁ、そうだな」


 次で終わらせようというシャミアの提案。その言葉の意図をレオンはき汲み取ったようであった。

またそのやり取りを聞いてイルミも二人がこれから何をしようとしているか理解してしまう。


「おい、シャミア。授業外の模擬戦でのスキル使用は禁止だぞ」


「大丈夫、バレなきゃいいのよ」


「外野の雑魚は黙ってろよ」


 「はぁ……」とイルミはため息をついて止めるのを諦める。当事者だったはずのイルミは二人の喧嘩から完全に蚊帳の外に放り出されてしまったようである。


「なんやあの二人スキルまで使おうとしてんのかいな。熱くなり過ぎちゃうか? 止めんでええの?」


「止まらないだろ、もう」


 諦めたように二人へと視線を向ける。一度は止めようとしたという事で、「元」当事者としての責務は果たした事にして、二人の戦いの結末を他人事で見届けようとイルミは決める。


――ブレイズ・ナックル


 シャミアがスキル名を叫びながら両拳を胸の辺りで合致させると、合わせた拳から火花が飛び散る。その拳を勢い良く振り下ろすと、赤色の光が拳の軌道に合わせ線を描く。再びファイティングポーズを取るシャミアの拳は真っ赤に燃えていた。


「さあ、あんたも来なさいよレオン」


 ニヤリと挑戦的な笑みを浮かべるシャミア。それに無言で反応し、レオンも自分の剣を中段に構えスキル名を言う。


――シル・フィード


 風の音が聞こえる。レオンの持つ剣を中心に風が巻き起こっている。その剣を軽くレオンが振ると、ビョウっと強い風が吹く音が聞こえる。レオンの近くにいた女生徒達はスカートが捲れそうになり、必死にそれを抑える。


「イヤらしい風ね。アンタにピッタリ」


「い、今のはワザとじゃねえよ!」


 珍しくレオンが取り乱す。女子のスカートを事故的に捲ってしまった事に対して年頃の男子生徒らしく照れているようであった。


「決着つけるんじゃなかったのかよ?」


「ええ、そうね。そうだったわね。そういう事にして仕方なくスカート捲りの話から逸らしてあげるわ」


「ホントにお前は嫌な女だよ……」


 静かな時間が流れる。次の一瞬をその場の全員が見逃さないように見つめる。


 そして、息を合わせたかのように、心が同調したこのように、最後は二人同時に動き出した。


 振りかぶった拳と振り上げた剣が交差する、その直前――


「おい!! お前ら何をしてる!!」


 低く図太い声が食堂に響かせ、二人の攻撃を制止させる。


 ゆっくりと声の主の方に視線を向ける、そこには屈強な体つきをした強面の男が厳しい顔をして立っている。


「お、オリハル」


 その男の名前を呼んだシャミアの額からは尋常じゃない量の冷や汗が流れていた。


「オリハル?」


 オリハルと呼ばれた男はシャミアをジロリと睨みつける。


「ひっ、いえ、ジーク先生」


 睨まれたシャミアは慌てて訂正をする。男の本名はジークというらしかった。


「シャミア、その拳は何だ?」


 ジークは燃え盛っているシャミアの拳を指摘する。


「あ、こ、これはですね」


 慌ててスキルを解除したが、もう遅い。


「お前もだレオン」


 レオンの方を見ると、シャミアと全く同じく大量の冷や汗をかいている。先程まで頼もしく感じた、剣に纏った風の音が虚しく響く。


「授業外での模擬戦のスキル使用は禁止だと何度も言ってるはずだよな? お前ら?」


 ジークの口振りからするに、二人はどうやら常習犯らしい。


「校則違反者は補習。お前ら二人とも放課後生徒指導室まで来い」


「「ごめんさい! 勘弁してください!?」」


 仲良くハモるシャミアとレオン。どうやら常習犯のらしい二人は、補習がどれだけ恐ろしいものかを知っているらしかった。


「はぁ……嫌なら違反しなければいいだろうお前達……入学してから何度目だと思ってる」


 額に手をやり困ったように言葉を溢すジーク。


「とにかく、お前ら二人とも放課後補習だ。ちゃんと反省しろーーそれと」


 辺りを見ますジーク。そして、野次馬達の中にお目当ての人物を見つける。


「イルミ、シンドレア学長がお前をお呼びだ。急いで向かってくれ」


「え、おや……学長が?」


「大事な話があるそうだ。俺はもう一人呼ばないといけない生徒がいるから先に向かっていてくれ」


「はい、分かりました……」


 どうやらジークが食堂に足を運んだのはどうやらイルミを探しに来たからのようであった。ジトリとイルミを睨むシャミア。自分が補習になった事をイルミせいにしているらしい。


「どうしたイルミ?」


 その場を離れないイルミにジークが急かすように言う。叱られているのを自分のせいにされている事に不満を持ちつつも、結局、何も言えずにジークの言われるがまま、イルミはその場を後にした。


「さて、お前ら」


 学長室に向かったイルミを見届けたジークは再びシャミアとレオンに向き直る。


「「は、はい」」


 再び自分達に向いとこにビクつく二人。


「しっかり後片付けをしておくように。午後の授業に間に合うようにな」


 二人が周りを見ると、あれ程騒いでいた野次馬達の見る影もなく、そこには無造作に退けられた食堂のテーブルや椅子が散乱していたのだった。


読んで頂きありがとうございます!毎日21時に投稿するのでよければブックマークをおして頂けたら嬉しいです!

またYouTubeの『熱き漢たかの熱唱熱遊Ch』にてゲーム配信をしているのでよかったら遊びに来てください!

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