ルール説明
第29話です!
天気は快晴。タッグマッチのイベントに参加を申し込んだ生徒達はシンドレア学院領地内にある演習用の森の近くまで集められていた。
集められた生徒は25組の50人。
イルミが周囲を見回すと、シャミアとレオンの姿をまず捉えた。この前のような興奮状態にはないようで、落ち着いている様子にイルミは少し安心する。
他にもマリアの姿が見え、その隣にいる男子生徒がザイツなのだろうと予測する。ザイツの目つきは悪く、というか、クマが酷いせいか、眠たそうというか、生気のない死んだような目をしている。
あまりやる気のようなものは感じないが、ネリルが言うにはシャミア達に並ぶ程の実力者だという、それにマリアのサポートが入るとなれば、強敵になる事は間違いないように思えた。
学校内での人間関係が薄いイルミであったが、もう一人だけ知っている顔を見つける。ダリルだった。
結局、あの日以来、ダリルからの接触もなかった。何かを企んでいるのは確かだったので、一応、ネリルにも聞いてみたが「有料やで」と言われたので何も聞かない事にした。本当に何でも知っている奴であった。
勝ちに行くためにはお金を払ってでも聞いておくべきだったと思ったが、それはそれで、ズルしているような気持ちになるイルミ。ダリルの一泡吹かしたいという言葉の雰囲気から、ある程度卑怯な事をする予想は出来るが、ルールからあまりに逸脱した行為はないとイルミは判断した。
集合した生徒達は思い思いに好き勝手話しており、50人の喧騒がその場を占めていた。
「静かに!」
と、ざわつく生徒達をたった一喝で全員を条件反射的に黙らせたのはオリハルこと堅物教師ジークであった。
静かになった事を確認してジークは話を始める。
「掲示板で確認して貰ったと思うが、一応ここでもルールを説明させて貰う」
そう言うと、ジークは懐に閉まっていたメモ帳を取り出し一瞥する。
「今回のイベントは、タッグマッチの模擬戦型バトルロワイアルだ。相手の攻撃を食らってHPバーがゼロになった時点で失格とする。味方のHPが尽きても、もう片方が生き残っていればイベントの続行は出来るが、HPバーが尽きた方は失格、再度復活は出来ないものとする」
オーソドックスなバトロワ形式の模擬戦であるように思える。
「一定時間が経つ事に森全体に聞こえるようにこの花火を打つ」
そう言うと、後ろで既に準備していたのか、ボッという音と共に何かが打ちあがり、大空で轟音を鳴らしながら爆散する。
「これが鳴ったらお前らの地図に書いてある①の円から順番に立ち入り禁止エリアにしていく。禁止エリアに居たものは当然失格。要は時間短縮のためだ。それ程広くない森と言っても、少人数になれば見つけるのも困難だろう。まして隠れる奴も出てくれば、余計に見つからないだろうからそれに対しての配慮だ」
集合した時に配られた地図を開くイルミ。森の全体像と①~⑤の数字と円が描かれてあり、数字が大きくなるにつれて円の範囲は狭まり、最後の円である⑤は隠れる余地のない程、円が縮まっていた。
地図にしては抽象的であったが、この地図を見ながら毎回演習をしているシンドレア学院の生徒、その中でももう三年目になった彼らが現在いる場所を誤って失格になる事もないだろう。
「そして最後だが、相手のペアを倒した時のボーナスを用意してある。相手のペアを全滅させた場合、支給された特別なポーションの色が変わるからそれを飲んでくれ。HPバーが全回復して、このイベントの間だけHPバーに対するダメージが上がる。もし、ペアの片方を倒して、別のペアにもう片方が倒された場合は、最後に攻撃を当て倒した方のポーションの色が変わるようになっている。その場合のポーションはどっちが飲んでもいいものとする」
つまり相手を倒せば倒す程、最後は有利になるという事であった。生徒達が積極的に戦闘に参加できるようにする対策であろう。
「ルール説明は以上、怪我をするなとは言わん、大怪我のないように精一杯やってくれ」
と、ジークは締める。
「じゃあ、次に保険医のメル先生からのお話です」
そう言うと、ジークはススッと場を空ける。すると、背丈に合わない白衣を地面に引きずりながら、とても小さく幼い顔の女教師が登場した。
「ん、んん、あー君達、とりあえず死なない限り私が全部どうにかしてやる。だから全力でやりあって来い。以上」
と、ジークが言った事を無視するかのように大怪我すらも許容したメル。
「あと、そのポーションの調合めちゃくちゃ面倒なんだからありがたく飲むように!」
と、ぶかぶかの袖をバサッと振り下ろす。多分、生徒に向かって指を指しているのであろうが、その肝心の指が見えない。
「かわいい」とか「癒されるよねー」と、メルを見てヒソヒソと一部の女子が盛り上がっている。
「メル先生って俺の錬金の師匠なんだよね」
「そうなの?」
「【万能薬】って【錬金】に【僧侶】系の職業や【妖術師】系みたいな職業を極めた人が成れる超特殊な職業を持ってるんだ。回復アイテムの錬成に置いてメル先生に並ぶモノがいないと言われている程だって」
流石、レイヴァンが集めた選りすぐりの人材で構成されたシンドレア学院の先生であるとコーデリアは思う。自分の担任や、馴染みのある先生の経歴であれば少しは知っていたが、保険医がそれ程すごい人物であるとは知らなかった。
「ちなみにメル先生。俺の親父よりもずっと年上なんだよね……」
「え……」
あまりの驚きに言葉にならないコーデリア。
「じゃあ私の祖母より――」
「それじゃあ、地図に書かれたポイントに移動してくれ、始まりの合図前にそのポイントにいなくても失格になるから気を付けるように、それじゃあペア番号1番から順番に移動してくれ」
そしてジークが番号を呼んだ生徒達から順々に森へと入っていくのであった。
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