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【妖術師】マリア

第25話です!

「なぁシャミア、話を聞いてくれよ」


「…………」


「おいって……」


「…………」


 シンドレア学院の教室。授業と授業の合間に隣の席に座っているシャミアに果敢に話しかけるイルミだが、全く相手にされない。シャミアもシャミアで頑なにイルミと話す気はないらしい。


「おい、そんな奴ほっといて、次の授業の教室に行こうぜシャミア」


「そうねレオン」


「あ、おい――」


 と、レオンの元に行こうとするシャミアを止めようとするが、ギッと圧のある目で睨みつけられその手を引っ込めてしまうイルミ。


 シャミアの奥にいるレオンがその様子を見て何故か勝ち誇ったような顔でイルミの事を見ている。


「なんなんだよ、もう……」


 取り付く島もないシャミア。事情を説明して、今の状況を解消したいイルミだったが中々叶わない。


「はぁ、どうしたらいいかな」


 解決の糸口が見えないイルミ。喧嘩は今まで何度もして来たが、基本は殴り合いをするかイルミが

一方的に殴られて解決、という事が多かった。今回のように一方的に避けられる事がなかったためイルミは困惑していた。


「グランデさんと喧嘩したのですか? シンドレア君?」


「ん? あぁ、マリアさん」


 フワフワしているピンク色の髪を揺らして、心配そうにイルミに話しかけるマリアと呼ばれた女生徒。


「いつもあんなに仲が良ろしいのに、昨日からお話になられてないようでおられるので少し心配で」


 どうやらイルミとシャミアの仲を気にかけてくれているらしく、彼女の人柄の良さが窺い知れる。

そもそも、この学院ではほとんどイルミの事を【Lv.1】であり、親の七光りで入学したと偏見を持ち嫌悪する生徒が多い中、イルミに何の偏見も持たずに関わる時点で人の良さが分かる。


「誤解が解けないというか、すれ違っているというか。まぁ、ちょっとね」


「ちょっとなんて事はないのでございませんか? お二人とは一年生の頃から同じクラスでしたが、今までこれ程仲違いされた事はなかったと存じますが」


 イルミ達の学校は入学して最初にクラス分けがされる。3クラスにランダムで振り分けられ、イルミとシャミアが一緒になったのも偶然であったと、されている。実際はある程度、教師陣が実力や人間関係を考慮していると言われているが実際の所は生徒達の知るところではなかった。


「うん、まぁそうかも。でも心配する事ないよ。今度のイベントが終わる頃にはまた元に戻ってるよ」


「イベントまでまだ2週間もありますのに、本当に大丈夫なのでしょうか?」


「でも、いい機会なのかも。たまには別々に行動するのも悪くない気もしてきた」


 少し強がり交じりのセリフではあったが、半分くらいはマリアと話していて本気でそう感じていたイルミ。


 三年目となる学校生活。たった二日の間、喧嘩をして話さなかったくらいで心配される程、一緒に居る事が多かったという事にふと思い至った。


「そんなものでしょうか。私は通常授業の間、ザイツ様と一緒に居られないのはとても苦痛でございますので、イルミ君もてっきりそうなのかと」


 ザイツと主従関係であるマリアは彼にのみ様を付けている。そして、とても慕っているようであった。


「いや、俺はそこまでは……。そういえば、マリアさんもザイツさんと今回のイベントに出るらしいね」


 昨日、ネリルから得た情報を話題にするイルミ。


「はい、ザイツ様はこういったイベント事にはいつも興味がないのですが、何故か今回は出る気になったらしく」


「どうしてかは聞いてないの?」


「私はザイツ様の従者ですので。あの方が仰る事に私は従うだけです」


 主人に対して忠誠心が強い従者であった。


「ところでシンドレア君、何故、ザイツ様と私が出場する事をしっておられるのですか? 出場する事は私にしか言っていないはずなのですが」


「え、」


「え?」


 思わぬ事態に少し取り乱すイルミ。しかし、冷静になって自分は悪くないと思いマリアに説明する。


「いや、知り合いに聞いたんだけど、じゃあ何で知ってたんだろアイツ?」


「ザイツ様も秘密にしている訳ではなかったので、どこかで漏れていたのでしょうか。それでも、知られていたというのは驚きですが」


 驚いたという点ではイルミも全く同じだった。本当にあの商人兼情報屋はどうやってネタを仕入れているのだろうか。


「まぁ、もし相対した時はよろしくね」


「その時は是非よろしくお願いいたします。ただ私は【妖術師】なのでザイツ様が勝てるように全力でサポートするのみで戦う事は出来ないのですが」


 サポート役に特化した【妖術師】。誰かとチームを組む事でその本来の力が発揮される。ザイツのお抱えであるマリアとの相性はかなり良いようであった。


「手加減は一切出来ませんのでお気を付けを」


 と、自信たっぷりに言うマリア。自分で戦う事が出来ないマリアのその自信はそのまま主人に対する信頼の表れであった。


「さて、シンドレア君、授業に遅れてしまいます。そろそろ参りましょう?」


 時計をみるとギリギリの時間である事に気付きイルミは急いで準備をするのであった。


読んで頂きありがとうございます!毎日21時に投稿しているのでブックマークを押して頂けると嬉しいです!またYouTube『熱き漢たかの熱唱熱遊ch』にてゲーム実況をしていますのでもし興味があれば遊びに来てください!

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