登校
第14話です！
コーデリアとイルミは一緒に登校していた。
昨日の夜は皿が洗い終わった後に、シャワーなどのある程度の寝支度をした後にイルミとコーデリアはリディアの魔法の授業を受けた。初参加であったコーデリアは魔法の基礎の基礎から学んでいた。
授業で魔法の基礎は知っていたため復習のようなものであったが、リディアの教え方は上手く、知っていると思っていた事をより深くまで教えられ、自分の無知を痛感するコーデリアであった。
魔法を使う職業ではないコーデリアだが、真面目にリディアの魔法講座に取り組んでいた。そして、その横ではイルミがもっと高度であろう講義を受けているのを見ていた。そこまで行くと専門としていないコーデリアにはサッパリであった。
魔法は知識であり、世界の目に見えない微小の素精霊と呼ばれる存在を魔力で操作する力である。この素精霊は大量の種類が存在しており、それぞれに固有の特徴を宿している。また素精霊達は好む場所も違い、水の中に多かったり、火の中に多かったりなど、特徴や存在する場所を理解し魔力で素精霊を操作し扱うのが魔法であった。
ただ全ての素精霊の特徴を把握し魔法を扱うのはほぼ不可能であると言われており、魔法を使う大多数の人間は自分の扱える得意な素精霊を決め、そこを突き詰めるという事が多い。
しかし、【魔精】であるリディアはほぼ全ての素精霊の特徴を理解していると言っても過言ではなく、特徴の違う素精霊同士を掛け合わせて全く違う素精霊を生み出す事が出来るのだが、リディアはその組み合わせを把握し、使いたい魔法に必要な素精霊がいない所でもそこにある素精霊を組み合わせて好きな魔法を扱う事が出来るのであった。
通常の人間は杖や魔導書と言った、魔法を使うための武器や道具に自分の得意な素精霊を宿す事で好きな場所で魔法を扱えるようにするのであった。
また他のステータスと違い『魔』のステータスは扱える魔力とほぼ同義であり、『魔』のステータスが高い程、強い魔法を扱う事が出来る。レベルアップによって上がるステータスがバラバラなため、世間では魔法は才能が全てと言われる事も多かった。
コーデリアは昨晩、リディアの講義の初めに話してくれた「どんな職業であっても『魔』を使わない事は勿体無い」と言う言葉にコーデリアは一理あると感じていた。
せっかくレベルアップで振り分けられて上がった『魔』を全く使わない死にステータスにするのは確かに勿体無いかもと思うコーデリア。しかし、昨日の講義だけで魔法が使えるようになる訳もなく、これから先、魔法を使えるようになる時間を考えると途方もない。
と思うが、今、自分の横で歩いている同じ歳の男の子を見るとそんな考えですら甘いのだろうと感じる。
今朝、イルミと一緒に参加したルディアとの朝の特訓を思い出しながらコーデリアは思う。
そして、イルミの事を思い出すのと一緒に特訓中のルディアの事を思い出す身震いをする。
簡単に言葉で表すならルディアに「恐怖」を感じたコーデリア。
特訓中は怒鳴るわけでもなく、終始楽しそうに笑いながら組み手をするルディアだったが、コーデリアにとって自分と同じ生物を相手しているとは思えない程の実力の差を感じた。
自分でそう思った事はなかったが、学院始まって以来の天才と眼前にいる天才を差し置いて言われている事に多少の恥ずかしさを感じる程であった。
しかし、ルディアの教えは実践的であり、為になる事が多い。リディアの魔法講義はサッパリであったが、本職である体を使った特訓はコーデリアが培ってきた経験に刺激を与えた。
「イルミが寮じゃなくて、『双児宮』にいる理由が分かった」
「そうでしょ？」
ちょっと得意そうなイルミ。
あまりに上質な勉強と特訓を受ける事が出来る。あの場所は、あの冒険職専門のシンドレア学院よりずっと強くしてくれそうであった。そして何よりーー
「ルディ兄との特訓後のルリさんの朝御飯は最高だからね」
これに関してはコーデリアでさえ心の中で両手を挙げての賛同する程であった。
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