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【加護】

第13話です!

 バイトも終わり、賄いを食べ終わったコーデリアは満足した様子でお腹をさする。


 ハッキリ言ってイルミの料理の腕はプロ並みであるとコーデリアは感じる。上流階級に属するコーデリアの家にはお抱えのシェフがいるのだが、それに勝るとも劣らない料理の腕だと評価する程であった。


「あ、皿は私が洗う」


 全員が賄いを食べ終えたのを見て、食器を片付け始めるイルミに流石に何の手伝いもしないのは申し訳ないと思ったのかコーデリアは皿洗いを申し出る。


「じゃあ、一緒に洗おっか」


 と言って、食器を厨房までイルミが持っていくので、自分に全て任せて欲しいと思ってコーデリアだが、仕方なく後からついていく。すると、シンクには開店している積まれた食器達が溜まっていた。


 この食器を全て洗うまでがイルミの仕事らしい。普段、皿洗いなどしないコーデリアにとって、この量を一人で終わらせるにはかなり時間が掛かったに違いなかった。それを踏まえての二人で洗おうと言うイルミの提案だったのかもしれない。


 流れ作業的に食器やグラスを洗っていく二人。


「イルミはどうしてここで働いてるの?」


「ん? いや、俺が物心ついた時からここに預けられてるんだよ。俺の親父があれだから」


 あれ、と言うのは学長であったり、国の英雄であったりで忙しいという意味だとコーデリアは察する。


「ルリさん、今は酒場の店主をやってるんだけど、昔は冒険者だったんだ。親父と肩並べるくらいの、それで」


「そうなの?」


 確かにあの凄みは只者ではない何かを感じていたコーデリア。


「親父の昔馴染って事でルリさんの元で働きながら生活をしてるんだ」


「シンドレア学院には寮があるのに、今もここに住んでるのは?」


 学院には寮があり、ほとんどの生徒はそこに住み暮らしている。わざわざ父親の昔馴染にお世話にならずとも、生活することは出来るはずであった。


「ここは何かと便利なんだ」


「便利?」


「この店って結構な人気店だから色んなお客さんが来るんだよね。さっき見たいに【建築士】の熟練度が高い人に出会えたみたいに、今までにも色んな職業や技術の熟練度が高い人に出会って教えて貰ってるんだ」


 熟練度は教える相手がいれば更に効率よく上がると言われている。熟練度に関しては明確な値が無いためあくまで言われているとしか言えないのだが、実際に熟練度が高い人に教わる方がボーナスの獲得が早かった。


 イルミは人が集まる酒場という場所を利用して熟練度の高い人を探しているのであった。


「学校だと冒険職の人以外に会う事なんて滅多にない」


 冒険職を専門とする学校だ。冒険職関連の職業の熟練度が高い人間がいても、それ以外の職業を持つ人間は滅多にいない。


「そう、学校の寮にいると俺にとっては何かと都合が悪いんだ、それにここにはーー」


「ねぇ、イー君、イー君! 今日も後で部屋に来て勉強するでしょ? あ、コーデリアちゃんも一緒にどう? あっ初めての仕事だったから疲れてるかな? というか職業が【騎士】だったらあんまり必要ないかも」


 話に割り込んで厨房に入ってきたのはリディアであった。


「勉強? 私には必要ないの?」


 シンドレア学院にも座学があり、良い成績を残すには勉強も必要がある。勉強の必要がないと言う事はないはずだとコーデリアは思う。


「あ、違うの、学校でするような勉強じゃなくて、【魔法】の勉強だからコーデリアちゃんにはもしかたら必要ないかなって、全然、仲間外れにしてるとかではないんだよ?」


「魔法?」


 閉め出された客の足を凍らせていたことを思い出す。


「リディ姉の職業は【魔精】なんだ」


「……嘘?」


 コーデリアが信じられないのも無理はない。【魔精】という冒険職はレイヴァンの持つ【勇者】に匹敵する程、獲得が困難で、特別な職業であった為だった。


 全ての魔導を極めた者がなれるという【魔精】。イルミの教育者としてこれ以上の人材はいなかった。


「そして俺が【武神】なんだよな」


 と、呼んでもないのに急に現れたのは今度はルディアであった。


「……嘘?」


 同じ反応を見せるコーデリア。【武神】も【魔精】と同じ獲得が困難で特別な職業であるためだ。


「ちょっとルディア、自慢しにわざわざ来ないでよ」


「いいだろ別に、俺だけ仲間外れは寂しいんだよ」


 軽い言い合いをしている二人を見て、コーデリアは口にする。


「何者なの二人は?」


 【魔精】と【武神】の二人が何故酒場なんかで働いているのかが不思議であった。


「今はただの酒場の店員よ」


「昔は双子の天才ってチヤホヤされてたんだけどな」


「二人もシンドレア学院出身なんだよ。リアが入学するまで二人が学院始まって以来の天才って呼ばれてたんだよ」


「「え、私(俺)らコーデリアちゃんに負けてるの?」」


 自慢混じりに昔話を披露していたが、過去の栄光となっている事に驚きを見せる二人。


「えー嘘? 今後半世紀は私らに並ぶ天才は現れないって言われてたのにー」


 世代が変わって次世代の天才として双子と同じようにコーデリアがもてはやされているだけだろうが。


「何者なんだコーデリアちゃん?」


「サスフィール家の娘だよ。二人と同じ加護持ちの優等生だよ」


 コーデリアの代わりにイルミが端的に伝える。


「サスフィールって言ったら、母さんとイルミの父さんと一緒にパーティを組んでた人じゃないか」


「加護持ちってコーデリアちゃんは何の加護を持ってるの?」


「【女神の加護】」


 顔を見合わせる二人


「「え、超激レアな加護じゃん」」


「二人も同じくらいレアな加護を持ってるでしょ」


 息を合わせて驚く二人に加護を持ってないイルミが突っ込む。


「二人は、何の加護持ってるの?」


「俺は【武神の加護】」


「私は【魔精の加護】」


「なるべくしてなったのね、二人は」


 加護とは先天性の個人が持つ性質で、例えばコーデリアの【女神の加護】は魔物を倒した時に得られるエクスが通常よりも多く還元される性質を持っている。ルディアの【武神の加護】は武器の【技術ステータス】の熟練度が多く得られ、リディアの【魔精の加護】は『魔』のステータスに補正がかかり、特定の【職業ステータス】の熟練度が多く貰えるといった性質がある。


 加護は誰もが持っている訳ではなく、遺伝される物もあれば、神の贈り物のように生まれた時に授かる事もある。3人の加護は遺伝ではなく、偶然生まれつきで発現する加護に属する。


「イルミのレベルが上がらないのも加護のせい?」


 イルミは「んー」と言ってから考えるように沈黙する。


「親父と一部の人しか知らないんだけど、秘密にできるリア?」


「教えて大丈夫なのイー君?」


 どうやらリディア達はイルミの秘密を知っているようであった。


「親父も信用して俺とリアと組ませたんだと思うし、大丈夫のはず」


「誰にも言わない、だから聞かせて欲しい」


 皿洗いの手を一旦止めてコーデリアはイルミに聞く。興味が尽きないといった様子であった。


「俺のは【魔王の加護】」


 イルミは皿を洗う手を止めない。何でもないように淡々と話す。


「親父が魔王を倒したおかげで俺についた呪いのような加護だよ」


読んで頂きありがとうございます!毎日21時に投稿しているのでブックマークを押して頂けると嬉しいです!またYouTube『熱き漢たかの熱唱熱遊ch』にてゲーム実況をしていますので良ければ遊びに来てください!

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