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土下座から始まる異世界放浪  作者: 榊葉梓
ダンジョン都市カサンラカ
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第18話 燈由、奴隷を買う

 ゴミとトイレ事情を改善するべく私はスライム50匹捕獲を冒険者ギルドに依頼をした。実はスライムは雑食性なのだ。汚物もゴミも食べてしまうので、トイレとゴミ置き場にスライムを放逐しようと思った。

 ギルド職員には何故そんな依頼を?と不思議そうな表情(かお)をされたが、報奨金を銀貨8枚に設定したら驚かれた。でもね、殺さずに生け捕りするのって案外難しいと思うんだよね。

 それとは別に店を開くにしても従業員がいないので、人を雇おうか考えたが、私のスキルのリスクがあるので奴隷を買う事に決めた。商業ギルドでダンジョン産の宝石を卸す時に奴隷商人への紹介を書いて貰ったのだ。因みにダンジョン産の宝石は高く買い取って貰えた。買い叩いたら今後取引しない事とゲーム時代に貯め込んだ宝石を出したら此方の言う事を聞いてくれたのだ。

 「すみません、商業ギルドマスターのアンソンさんからの紹介できました。」

 店員に紹介状を渡すと

 「ヒヨリ様、いらっしゃいませ。奥へご案内致します。」

とても丁寧に対応してくれた。そうだよね、ダンジョン踏破でランクもSへと昇格したし、収入もある冒険者として一躍有名になったからね。

 案内された応接室のソファーに腰掛ける。

 「奴隷商アップグルントの会長をしているハーミットと申します。どうぞ良しなに。奴隷にご要望などはありますか?」

 20代後半のイケメンに見惚れてしまった。いかん、いかん。

 「読み書き算術が出来る者が良いな。あと礼儀作法が完璧な元貴族の男女が欲しいです。こちらで直接確認するのは可能か?」

 鑑定して美味しいスキルを持っている者を購入したい。

 「読み書き算術が出来る者になると限られてきますし、元貴族であれば金額が高くなりますよ?」

 「その辺は大丈夫だ。それで直接見せて貰うことは出来るか?」

 「ええ、可能です。それではこちらに。」

 ハーミットに連れられ私はこの建物の最奥に案内された。鉄格子の部屋に数人ずつ人や獣人が入れられていた。部屋にはトイレも完備さているようで、酷い扱いを受けているわけではないようだ。

 「随分と待遇が良いな。奴隷には暗いイメージがあったんだが…」

 正直な私の感想に

 「他国と違いアシュヴィッタ王国では奴隷にも人権がありますからね。奴隷と交わした契約を不履行した場合は、罰が課せられます。虐待したら逮捕もありえますよ。例外は犯罪奴隷ぐらいですね。」

この国の奴隷事情を教えてくれた。

 一人、ひとりステータスを確認していく。目ぼしい人には手帳に書き込みする。家族で奴隷落ちになった者達は家族での買取を強く希望していた。

 「次は元貴族の奴隷を案内します。男部屋と女部屋があります。先ずは女部屋から紹介をしましょう。」

 案内されたのは鉄格子の部屋ではなく、普通の部屋だった。元貴族というだけあって待遇が良いのか?

 部屋の中には女が3人居た。入室した私を見て彼女達は彼に言われるまでもなく整列してみせた。

 「右からエマ、イザベラ、ソフィアです。さあ、エマから自己紹介をしなさい。」

 エマと呼ばれた女性は年齢にして15歳後半の少女だ。

 「エマと申します。特技は刺繍とバイオリンです。お母様の治療費が払えず借金奴隷となりました。家族と一緒に見受けをお願いします。」

 消極的な自己紹介をする少女は諦めの色を見せていた。顔の造作は普通なので、特別可愛いというわけではない。それでも並列思考のスキルがあった。私でも取得してないのに!きっと頭が良いのだろう。

 「(わたくし)はイザベラ。これでもアカデミーを主席で卒業しましたのよ。ここの誰よりも美貌と教養があると自負しているわ。貴女、とても貧相だわ。(わたくし)を買って良いのは、(わたくし)を大切にし何不自由なく生活させる者だけなのよ。」

 云々閑雲と文句が続いたので聞き流した。無いわ。アカデミーを主席とあったけど、大したスキルも所持していないので却下だな。頭も悪そうだし、労働を嫌った上に散財しそうなタイプだ。しかもステータスで年齢を確認したら20代前半だった。この性格だと離縁されてそうだな。

 「(わたくし)はソフィアと申します。両親の借金のカタとして娼婦奴隷になる予定です。借金のカタになるまでは宮廷で薬師として活躍していました。ポーションや他の薬を調合することが出来ます。」

 彼女の言葉を得てスキルを確認すると完全記憶と薬師のスキルがあった。知力も高く、身の(こな)しから気品を伺える。年は29歳とこの世界では行き遅れの部類だが独身の上に借金のカタになったとは、親族に問題があったのだろう。彼女には化粧水などを作って貰うのも良いかもしれない。

 「じゃあ、次は男を紹介しましょう。」

 男部屋に案内され、2人の男が居た。どちらも見目麗しい男達である。が、舐め回すような、値踏みすりょうな視線に辟易して

 「こいつらは買う気がないから紹介は不要だ。買いたい奴隷も見つかったし、商談の手続きをしよう。」

応接室に戻ると意思表示をした。男達のプライドが傷付いたのか凄い表情(かお)で私を睨んでいるが、知らん。

 応接室に戻って、私は買いたい奴隷達の名前を告げる。

 商会が潰れて借金を負ったハミルトン一家。夫のルイス(42)、妻のエリー(35)、娘のアイラ(15)、長男のハリー(17)、次男のジャック(16)の5人家族。

 病気の妻の治療費が支払えなくなって奴隷落ちしたテイラー一家。夫のイヴァン(51)、妻のアリア(48)、長女のスカーレット(24)、次女のルーナ(23)、三女のグレイス(18)、長男のリオ(15)の6人家族。

 元冒険者で依頼失敗のために借金奴隷になった活劇剣士(スワッシュバックラー)のアーサー(32)、銃士(シューター)のエレン(21)、剣士(セイバー)のクロエ(22)、妖術師(ソーサレス)のアン(19)、魔物使い(テイマー)のフィンレー(21)、僧侶(アポストル)のベラ(28)の6名。

 そして元貴族令嬢のエマ(14)とその家族である父ライリー・ピーターソン(34)、弟ラッセル(13)ソフィア・ホワイト(29)の4人。

 ありがとう、ありがとうとお礼を述べる彼等に契約内容を擦り合わせをした。契約内容は私のスキル及び店舗に関する全て事を秘密厳守にすること。契約を破れば死亡する旨を契約書に盛り込んだ。

 報酬は一月辺り、ハミルトン一家とテイラー一家が金貨2枚、元Bランク冒険者のチーム誓約(アイト)のメンバーはそれぞれ金貨3枚、ピーターソン一家とソフィアには読み書き算術を教えたり、礼儀作法を教えたりするので一人当たり金貨5枚を支払う契約とした。この金額は破格だという。ハーミットからは金貨1枚でも多いと言われたほどだ。

 因みに借金返済は当人が死んでも子供や孫達にも返済義務が引継ぎされるらしい。鬼だな。

 合計の金額が白金貨1枚と金貨23枚だった。美味しいスキルも取得している人物を買い占めたのでこの値段であれば安いものだ。

 「では、家に帰ろうか。」

 契約と支払いを済ませた私は奴隷を引き連れて購入した自宅へと戻るのであった。

 購入した奴隷とは別に犯罪奴隷に落とさたれ夜(ノーチェ)の斧使いのヨハン(29)、戦士(ウォリアー)のクリント(33)、探検家(エクスプローラ)のハーミー(41)、盗賊(カットパース)のセオドア(22)、魔術師(アデプト)のオリビア(26)の計5名は、冒険者ギルドから隷属の首輪を着けて引き渡されている。一番反抗的だったヨハンを繰り返し半殺しにして心を挫いた上で引き取った。メンバーはヨハンを相当恨んでいるらしいが、殺し合い不可と言い渡したので、チマチマと嫌がらせをされているそうだ。


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