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過去の女
目を閉じると
傷口がポッカリと開いている
彼女は誰も傷つけたくないと言う
彼女は走り去って
おれはそのまま取り残された
おれはそれから
努めて楽しむようにした
傷口をふさぐために…
今は何も言うことはないけれど
傷口は今でもふさがらない
過去…現在…未来…
おれには何が残されているのか
彼女は答えを知っていたはずだけど
その彼女も
もういない
目を閉じると
幻がくっきりと見える
彼女は誰も傷つけたくなかったはず
彼女は飛び去って
おれはそのまま取り残された
おれはそれから
なるべく楽しむようにした
傷口を癒やすために
今では何も言えないけれど
傷口は今でも痛むんだ