第1話 転校
こんばんは。新作の小説ができました。題は「俺は典型的な日本人が好きけど?」です。
良かったら読んでみてください。
俺はモテない。
勉成は頭が良いが、容姿はイマイチ。
世の中は頭の良さより容姿の方が重視される。
くそこの世界を破壊してやる!
勉強しすぎて、頭にネジでも取れたかな?
そのおかげでクラスの人から遠ざけられて、孤独になっている。
集団にいる俺より孤独の俺の方がかっこいいじゃないか?
もうええ!
良い成績を取って、良い大学に行って、良い会社に入って、安定した生活を手に入ってやる!
俺は窓の近くに座っているので、窓の外をボーっと眺める。
ふわふわ綿飴みたいな雲がゆっくりと流れている。
あの雲を見ると不思議けど、時間の流れも遅く感じる。
俺にとっては心地がいい。
自分の世界でひっそりと楽しんでいる間にガラリとドアを開ける音がした。
先生が来るのでクラスの人が起立する。
ドアから出てきたのは先生だけなく、外国人も出てきた。
ロングで金髪、瞳はまるで空のように青くて、体のスタイルもすごくいい。
「わぁぁぁ!」や「うぉぉぉ!」など声を上げた。
先生がパンパンと手を叩いて、騒いだクラスの人を静かにさせた。
「さて、自己紹介してくれ。」
「はい。私の名前はヘレです。00高校から転校してきました。仲良くしたいです。よろしくお願いします。」
行儀良くぺこりと礼をした。
自己紹介が終わった彼女を見て、先生の口を開けた。
「ヘレさんの席は彼の隣に座って。」
「ええ!」
しまった。本音をぼろっと漏れて、声を出してしまった。
「おいこら。口を慎め。」
「すみません…。」
体を縮ませて、謝罪した。
「大きな声を出したのは勉成くんだ。勉成くんの隣に席が空いてるよな。そこだ。」
「わかりました。」
先生に言われた通りに彼のところにスタスタと歩いて行った。
椅子を引いて、スッと座った。
ちらりと横目に彼を見て、可愛いらしいな表情を作った。
「よろしくね。」
「あ、ああよろしくな。」
・・・・・・
休憩時間になると、ヘレのところに集まった。
女性だけなく、男性も。
「わああヘレちゃんの肌って綺麗だね。」
「どこから来た?」
ポンポンと次々から質問を投げてきた。
「日本よ。父はデンマーク人、母は日本人。」
「わぁぁぁハーフね!」
「家族の写真を見せて!」
どうやらクラスの人はヘレのことに興味を持っている。
ヘレはハーフだから、好奇心を持って質問するのは良いこと。
けど、俺の近くで騒いでいる。
うるさい、向こうどっかで話せ!
騒ぎは収まらないらしいので、仕方なくトイレに行こうか。
ガタンと席から立って、教室から出て行った。
クラスの人から質問されている間にチラッと図書館に向かって歩く彼の背中を見て、
『ふーん、彼か。なんか面白そう』と心の中で呟いた。
・・・・・・
授業が始まる1分前に教室に戻ってきた。
自分の席に豪快に座った。
次の授業は数学か。
引き出しに数学の教科書を探そうとしたら
「ねぇ」
誰かに呼ばれたかと気づいて、視線が引き出しから呼ばれたところに移動した。
呼ばれたのはヘレだった。
「何?」
「さっきさ、祐希くんから告白された。」
祐希はイケメンだ。クラスの人に告白されるくらいモテてる。
うむ、それは納得する。
まあ俺に関係ないので、祐希と幸せになりな。
「そか、良かったな。幸せになりな。」
「いや、断った。」
けろっと平気そうに言っている。
後ろに祐希がいるのに全然気にしてない。
ヘレは神経が太いかな?
このことはどうでもいいけど、なんで断る?
祐希はイケメン、振るのはもったいないと思うけど?
疑問があったのでヘレに質問した。
「はあ、なんで断るの?もったいないじゃねぇ?」
可愛い顔から右の頬だけ膨らませて、機嫌の悪い顔になった。
「確かに祐希はイケメンけど、チャラそう。女なら誰でもいいように見えるから。こういう人は嫌い。」
むむむ、ヘレはただの人ではない!
自分自身の容姿が良いだけなく、人の本質を見抜く観察力を持っている。
「そうか。」
「私は好きな人がいるよ。」
「へぇー」
俺が好きな人は誰?と聞いていないのに勝手に話を進んだ。
「私の好きな人はこの教室にいるよ。」
ほほう、ん?この教室?
ヘレが惚れた人がいるの?
誰なの?
「将?」
「ううん。違う。」
「まあ俺に関係ないので失礼します。俺ではなく友達に話してください。」
ヘレの話から逸らすために無理やり話を終わらせようとした。
しかし、話は止まらなかった。
「目の前よ。」
「は?ふざけはやめて。次の授業が始まるよ。」
最後の切札を出した。
「本気よ。」
チラッと彼女を横目に見るとどうやら本気の目だそうだ。
フーと小さなため息を吐いた。
「俺、ハーフ嫌い。典型的の日本人好き。」
ヘレは告白していないのに一気に青ざめた。
ははは愉快だ。
失望した顔を見たかった。
ざまぁ〜!
世の中は可愛い顔して惚れさせて、あとで金をとる。
だから俺は可愛い顔を見せてもらっても簡単に騙されるつもりか!
「いや!諦めない!」
ブンブンと横を振った。
俺が思ったことと違って、ヘレは諦めが悪い。
いっそ諦めばええのに。
「なんで俺なの?俺はイケメンではない、ただのガリ勉だ。」
そう、俺は取り柄は勉強しかない。
つまらない人間だ。
俺のことを好きになってもいつか必ず冷める。
「え?勉強できてかっこいいけど?祐希のようにイケメンではないけど、少し整った顔だから普通にカッコ良いよ。」
うわぁそれは人を騙すためにどんな手でも人を褒める。
簡単に罠に引っかからないように注意しなければいけない。
「あっそ…」
愛想ない言葉を投げた。
「あなたに振り向かせてもらえるように頑張るよ。覚悟してね♡」
突然、不気味な笑顔を作って、俺に見せた。
ゾッと寒気に襲われて、肌が鳥肌になった。
「ふん!勝手にしろ!」
「今から数学の授業、始まるぞ。50ページを開いて。」
あわわと慌てて引き出しの中から数学の教科書を取り出して、
指示されたどおりにページを開いて、机の上に置いた。
しかし、先生の話がまったく俺の脳が受け取らない。
原因は…ヘレだ!
ヘレのせいで俺のリズムをめちゃくちゃにさせた。
ハーフのヘレが勉成の事好きけど、勉成は典型型な日本人が好きだよね。
勉成がヘレを振ったが、ヘレは諦めてない。
次はヘレがどんなアプローチするだろう?次の話を楽しみにしてください。