第七話 魔獣 SIDEジン
第七話です。
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やつとのおしゃべりに夢中になっていて、風によって、獣の臭いが運ばれてくるまでそいつの接近に気づけなかった。
「ブレイド」
咄嗟にブレイドの名前を呼び、その細い肩を掴んで共に倒れこむのが精一杯だった。
ブレイドが俺に何かを言っている。
多分痛いとかそういうことだったと思う。......しかし、俺はその言葉に後ろを見ろと伝えるだけがやっとだった。
それほどまでにブレイドの後ろ、さっきまで俺らが座っていたモノの残骸の上にいるやつから気をそらすことが許されなかった。
闇に溶け込む黒いからだに異常なまでに発達した四つ足、そしてこちらを見つめる1つだけの紅い眼、こちらを食らいつくさんとする上に尖った牙が2本。
自然に生まれるはずがない生き物。
確か、親父が前に言っていた.......
「いいか、ジンこの世界には普通の生き物とは違うやつが2つあるんだ。1つが空気の中にある魔素から作られた魔物。そしてもう1つが生き物が魔素をたくさん吸って変化した魔獣。この2つがあるんだ。」
「ふーん。なぁ親父、魔物と魔獣ってどっちが強いんだ。」
「そうだなー、たまにとんでもなく強い魔物もいるけど、基本は元の生物の力を持つ魔獣の方が強いな。」
......そうだ、おそらくあれは魔獣
「ジ......ジン。」
ブレイドが不安そうに俺に言葉を紡ぐ。
おそらくあれが何かの疑問も含まれているのだと思い、答えを返す。
「詳しいことはあとだが、簡単に言うとこいつは魔素を取り入れた獣......魔獣だ。」