第三十八話 祈り ジンStory
ミラージュ達と話が終わり、ティアに会うために宿屋に向かうと宿屋の入り口にティアが立っていた。
ティアは俺に気がつくと手を振ってきたので、小走りで彼女に近づく。
「ジン、おはよう。」
「おはよう。ティア。ところでどうして入り口に?」
「なんか、ジンが来てくれる気がしたの。」
そういうとティアはくすりと笑った。
「そしたら本当に来てくれたの。」
「そうか。折角だしどっか出掛けるか。」
「そうね。ジンは行きたいところある?」
「そうだな、またコーヒーを飲みに行かないか?」
「ええ。」
そうして二人で以前行った店へと向かう。
「そういえば、今日は何をしてたの?」
「何もしてないよ。ただ一人でいるのもつまらなかったからティアに会いたくなっただけだ。」
「そっか。」
心の中でティアに謝る。
俺は彼女に言っていない。彼女のために人を殺していること。彼女を守る為だけに存在していることを......。
もし、君がそれらを知ってしまったら君は悲しむのかな。それとも......
「...ン、ジン!!」
少し物思いにふけっているとティアの顔がすぐ近くにあった。
「ジン!!やっとこっち見てくれた。さっきからずっと呼んでるのに......どうかしたの?」
「あぁ、ごめん。ちょっと考え事してた。」
「そっかー。それならいいの。でも、本当は具合が悪いとかだったらちゃんと言ってね。」
「分かってるよ。ティアが心配するようなことはない。」
「なら良かった。お店に着いたし早く入りましょう。」
「そうだね。」
「やっぱり苦い。」
ティアはコーヒーを一口飲むと顔を歪める。
「だったら他のにすれば良かったろ。コーヒー以外にもあるんだから。」
「折角だからコーヒーにしたかったの。ジンは大丈夫なの?」
「俺は好きだな。他にはない苦さでいいよ。」
「ふーん。じゃあ、私のもあげる。甘いの飲む」
そういうとティアは俺の方へとコーヒーを置き、店員を呼び出すとイチゴと呼ばれる酸味と甘味のある果実を使った飲み物を注文した。
ティアに貰ったコーヒを近くに動かし、飲み物をそわそわと待つティアと話を続ける。
二人でしばらく話をしていると、ティアが少し考えたそぶりを見せると口を開く。
「ジン、明日って時間大丈夫?」
「明日か......ごめん。明日は無理だ。」
「......そっか。」
「明日なんかあるのか?」
「えっと......その......ほんとはね。今日入り口にいたのは嫌な予感がしたからなんだよね。」
「嫌な予感って?」
「ジンにもう会えないような、そんな予感。」
ティアの言葉に心が乱される。俺がティアと会えない。そんなことはあり得ない。
「そんなことあるわけがないだろ。俺はティアの側にずっといるよ。」
「う、うん。そうだよね。ごめんね。変なこと言って。」
それから二人の間で気まずい空気が流れ、そのまま店の営業時間が終わり、店から出ることとなった。
気がつけば辺りは暗くなっていた。
俺とティアは二人で言葉なく帰り道を歩いていた。
ティアの言った言葉が何度も頭のなかで繰り返される。会えなくなる。もしかしたらそんなことがあり得るのかもしれない。明日俺は今まで戦った奴等とは比べ物にならないくらいの敵と戦うのだろう。果たして俺はティアの元に帰ることが出来るのだろうか。
何よりも大事な彼女の元へ......
宿へとたどり着く。
部屋へとティアを送り、俺は刃を振るために外へと出ようとするとティアが声をかけてきた。
「......ジン。ずっと一緒にいられるよね。」
「当たり前だろ。ずっと一緒にいるよ。」
「うん。」
少し安心したようにティアは部屋へともどる。
俺は外で刃を振りながら祈る。
どうか、彼女といつまでもいられることを......
すいません。大分遅くなりました。新作考えてました。
三十八話です。
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