第三十七話 普通の生活 ブレイドStory
ツヴァイと名乗った少女を連れて、僕は屋敷から立ち去り少年の待っているところへと戻った。
「戻ったよ。」
僕が声を出すと物陰から恐る恐る少年が出てきた。少年はツヴァイを見ると不安そうな顔から一転して笑顔で駆け寄ってきた。
「ツー!!大丈夫だった?あいつらに変なことされなかったか?」
「・・・・・・アイン?」
アインと呼ばれた少年はツヴァイの手を取りながら僕の方へと顔を向けた。
「にいちゃん!!ツーを助けてくれてありがとう。ほら、ツーもにいちゃんにお礼いいなよ。」
「・・・・・・ありがとう。」
「助けるって約束したからね。」
僕らがそこで話していると後ろから声をかけられる。
「ブレイド、ここにいたのか。探したぞ。」
振り向くとそこにいたのはズボンにシャツと到底王族とは思えないほどの軽装をしたアメリア様だった。
「あ、アメリア様。どうなさったのですか?」
「どうしたもこうも、宿屋で言伝を預かってたから私にも協力できるかもと探していたのさ。まあ、どうやら必要はなかったみたいだけどね。」
「何を言っているのですか。アメリア様にそんなことさせるわけがございません。それよりウエンディ様はどうなされたのですか。」
「彼女なら先に王国に向かったよ。父上にも話があるみたいでね。」
僕とアメリア様が話し込んでいるとアインが僕の袖をちょっと引っ張る。僕がそれに反応して彼の方をみるとアメリア様もそれに続いた。
「おっと、挨拶が遅れたね。私の名前はアメリア。ブレイドの友人だよ。」
その言葉に思わずアメリア様の方を見る。アメリア様と友人だなんて恐れ多い。僕の目線に気が付いたのかアメリア様が小声こっちの方が安心するだろうとささやく。確かにその通りだった。
アメリア様の言葉にアインがおずおずと口を開く。
「はじめまして・・・ボクはアイン・・・です。こっちはツヴァイです。」
「そうか。アインにツヴァイだねよろしく。」
それからしばらくして僕たちはアインとツヴァイを連れて街へと向かった。
最初は不安そうなふたりだったけど今ではもうアメリア様に打ち解けたらしく積極的に話をしていた。
「ねえちゃん、あれはなに!?」
「あれはケイテと呼ばれる小麦で作った甘いお菓子さ。」
「ケイテかー、ツーは知ってる?」
「・・・・・・知らない。」
「そうか。少し待っててね。」
そういうとアメリア様は店へと向かいケイテを四つ買って戻ってきた。
「食べてごらん。」
「えっ・・・・・・いいの?」
「もちろん。遠慮をする必要はないさ。ほら、ブレイドを見てごらん。もう食べているよ。」
アメリア様がこちらに視線を送る。僕は慌ててケイテを食べる。前に騎士団の先輩が買ってきてくれたけどやはり甘い。
「じゃ・・・じゃあ。いただきます。」
アインとツヴァイはおずおずとケイテを口に入れる。最初は遠慮がちだったけど、一口食べると二人ともすごい勢いでケイテを食べていた。
「ねえちゃん!!これすごい美味しかった!!ありがとう!1」
「・・・・・・甘かった!」
「それはよかった。ほかにも気になる物はあるかい?」
「・・・・・・だ、大丈夫!」
「・・・・・・大丈夫です。」
「本当かい。それなら、私はここが気になったから行こうか。」
「・・・・・・あっ」
そうしてアメリア様が向かったのはツヴァイがちらちら見ていた子供向けの雑貨屋だった。
「・・・・・・わぁ」
店内に入るとツヴァイは思わずといった感じに商品を見ながらふらふらと奥へ進んでいく。
アメリア様はそれを楽し気に見つめながら後に続く。アメリア様を追いかけようとした僕の隣にアインがやってくる。
「にいちゃん。」
腰を下ろしてアインに目線を合わせる。
「その、ありがと。たぶんにいちゃんもねえちゃんもわかってるかもしれないけど、ボクとツーってこんな普通の生活したことなかったから。ありがと。」
僕はアインの頭をそっと撫でると彼の手を引きアメリア様のもとへと向かった。
これから彼らが当たり前の日常を送れるように祈りながら......
三十七話です。
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