第二十八話 未知なる力 ジンStory
昼にティアに怪しげな視線を送っていた奴らを見つけだすのは容易だった。
闇に潜み、息を殺し、5人ほどの集団で隊列を組んでいる奴らの最後尾の男の背中に刃を切りつける。
「きさまっ!」
一撃で仕留め切れず声を上げさせてしまった。
「ほう。貴殿は先ほど帝国の姫君と一緒にいた者だな。そういえば帝国は王族一人ひとりに専属の護衛がいるのだったな。」
隊列の先頭にいた男が直剣を抜きながらこちらに冷たい殺気を向ける。
「ちっ。そこまでしってんのか。」
「まあ。我らもそこまで間抜けではないからね。それで、突然切りかかってくるなって無粋じゃないか。何の御用かな。」
「ティアにあれだけの殺気を送っといてしらばっくれるのもいい加減にしとけ。あいつに害するものは排除する。.......それだけの話だ。」
「ふっ。君一人で我らを相手にするとは愚かだね。ここで君を殺して、のんびり姫君にはご退場いただこうじゃないか。」
その言葉とともにほかの奴らも直剣を抜き俺を囲む。
輪を縮められる前に先に仕掛ける。手負いの男のもとに踏み込み、刃を下から切り上げる。
「しまっ......」
まずは一人。そして仲間がやられたことで少し動きが鈍ったのを見逃さず、すぐ隣にいたやつの喉を突く。
これで二人。
「ほう。流石は専属の護衛を任せられるだけはあるみたいだね。」
「はっ。もう半分近くお仲間はやられちまったな。」
「ふっ。言うねえ。お前たちあれを使うことを許可する。」
そういうと奴ら三人は突然腰にかけた袋の中から丸薬のようなものを取り出し、それを飲み込む。
それと同時にやつらの周りの景色が歪んでいった。
「......何を飲みやがった。」
「ふっはっはは。これは素晴らしい。残念だが君にもう勝ち目はないよ。」
「何を言ってやがる。」
「なーに、すぐに分かるさ。ほら、そこにいたら危ないよ。」
奴の言葉に咄嗟に右に飛ぶ。その瞬間さっきまで俺がいた空間に火柱が立ち上がった。
「何をしやがった。」
「さあ。知りたければ我らを倒したら教えてあげよう。」
他の二人が俺がいた場所を指さす。嫌な予感がした俺は左に飛ぶ。俺の右側を赤い光が二筋走る。光のたどり着いた先は一瞬で溶けてしまった。
「さあさあ。足掻きたまえ。我らを楽しませてくれよ。」
頬を冷たい汗が流れる。なぜか分からないが、どうやら奴らは火柱を立ち上げ、指から光を放つことができているようだった。今までこんな未知なる力と戦ったことなどもちろんなかった。
唯一の可能性として奴らの体には変化は見られないから刃で切れば死ぬだろう。だが、そのためにはあの火柱と光線を避けて懐に入らないといけないことだった。
「ふははははは。万策尽きたかい姫君の護衛よ。今なら苦しまずに一瞬で灰へと変えてあげようじゃないか。」
次の瞬間俺の目の前は赤い炎に包まれた。
二十八話です。
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