第二十六話 仮初の休息 ジンStory
俺がティアの元に戻るとティアは飲み物を二つ手に持ちながら待っていた。「ティア、待たせたな。」
「ジン!!しっかり送ってくれてありがとう。はい、これ」
ティアが俺に飲み物を差し出す。
「さっき、場所の中で聞いたの。この果実水すっごくおいしいの。」
「ああ。あいがとう。俺も、ティアにプレゼントだ。戻ってくるときに見つけて......。」
ティアから果実水を受け取り、俺も買ってきたものを渡す。
「ありがとう!!今開けてもいい?」「ああ。」
ティアに買ったのはティアの瞳の色と同じ翡翠の装飾がされたブローチだ。ティアが袋から取り出し、そのブローチを身に着ける。
「......どうかな。」
「とても似合っている。」
「そっか。」
ティアと視線が交差する。
「とりあえず、宿はとってあるから散策でもするか。普段はあまりに外にでられないだろ。」
「う、うん。」
そうして二人で共和国の首都であるこのザングースを散策する。普段は王城からでることのないティアにとっては街というものが珍しいのだろう。行くとこすべてを楽しんでいた。その横で俺はティアに視線を送る者を辿り、この後の仕事のやり方を考えていた。今回はティアには観光と伝えてあるが、実際は共和国がティアを狙った理由を調べ場合によっては糸を引くものの排除が目的だ。最悪の事態を想定し、共和国の王宮の場所、貴族の家などの配置を注意深く観察する。純粋に俺との観光として楽しんでくれているティアを餌にしているのは俺としては不本意だったが、ゼロスの策に従うしかなかった。
「はあー楽しかったーー!!ジン!明日はどこ行くの?」「そうだな。明日はティアが行きたいところでいいよ。」ティアと宿屋に行き、荷物を下ろす。本来は王女であるティアと同室というのはあり得ないが、今回は任務の性質上一部屋になった。最初はティアは驚いていたが、昔からしたかった友人とのお泊りという響きに負け、あっさりと同じ部屋になった。もう少し自分の立場を考えてほしいが、今回は仕方がないと思う。ティアが寝静まった深夜、俺は宿屋を抜け出す。仮初の休息は終わり、これからは仕事の時間だった。昼にティアを見ていた怪しげな集団の場所へ向かう。
......この時俺はまだ気づいていなかった。共和国に隠れた悪意はすでに動き出していたことに。
二十六話です。
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