第二十話 帝国の影 ジンStory
今宵も俺はいつものようにティアに迫る危険分子の排除に向かっていた。
しかし今回はいつもと違い、1人ではなく2人での任務となった。
「ジン、まさかあなたと一緒だとは思わなかったわ。」
「ああ、俺もリアナが来るとは思わなかった。」
短く切りそろえられた黒髪に群青の瞳の色をした十二歳ほどの少女の姿をした彼女の名前はリアナといって、第二王女の護衛である。特殊な金属を混ぜ合わせてピアノ線を用いて戦う彼女とはたまに任務
を一緒に行うこともあり俺は密かにその戦い方を真似できないか練習していたこともあった。
「ふーん。王女付きが2人ね~...エリドは今回は来ないのね。」
「第一王女様には手が出ないんだろうな。」
エリド......そいつは第一王女付きで、俺の背丈はあろうほどの大剣を片手振り回す男で、その強さは帝国でもトップクラスといわれている。実際俺も何度か見たことがあるが、あれは人の領域なのかと思ってしまう。そのほかにも第一王子付き、第二皇子付きもいて、俺を含めて五人は帝国に秘匿された影としてそれぞれの主人の護衛をしている。
「まあいいわ。ささっと仕事を終わらせましょ。あたし、この後あの方と夜のお茶会するんだから。」
「そうだな。はやく終わらせよう。」
俺とリアナは目標がいる場所へ急ぐ。
「あれが目的の屋敷ね。うへー、警備の騎士が多いわね。どうするー?」
リアナの言葉に俺も屋敷を確認する。確かに門の近くに五人、玄関の近くに八人、事前に調べた情報だと中にも少なからず二十人はいるはずなので、かなりの人数がいるのは間違いなかった。
確かに今回は俺1人なら厳しかったかもしれない。
「何言っていう。リアナならあれくらい大したことないだろ。」
しかし今回は多人数相手に強いリアナがいた。
「確かにそうだけど、あたしはこの後お茶会なんだからあまり汚したくないの。......まあ、いいわ。正面は任せなさい。あんたは裏からいって目標を始末しなさい。」
「ああ。いくぞ。」
俺とリアナは別れ、リアナはそのまま門に向かい、俺は裏口へと向かった。情報通りなら裏はまだ人が少なく侵入にむいているはずだからだ。そして裏へと回ると情報通り、裏の門には見張りは三人ほどしかおらず、まもなくリアナが表から仕掛けるので速やかに始末すれば増援も来ないだろう。俺は闇に紛れ、走りながら腰の刃に手をかけ1人の喉元を切り裂く、ほかの2人が気づき、剣を抜刀する。右と正面の騎士が同時に斬りかかる二つの剣を刃で滑らせ剣先を下へ向けさせる。そしてがら空きになった胴と足の鎧のつなぎ目に刃を一閃する。こちらの実力を悟った最後の騎士が仲間を呼ぶために入口へと向かうがその途中に玄関の方から増援を要求する鐘が鳴り響く。リアナも行動を開始したようだ。
残った騎士は人が多い玄関が応援をよぶということはそれだけの脅威が玄関に来ていることを悟ったのだろう。増援を呼ぶことは止め、俺の方に向き直り剣を中段に構える。そして俺に向かって斬りかかる。その剣を半身でかわし、刃で騎士を切り裂く。
屋敷の中に入るとほかの騎士はみな玄関に向かったのだろう。目標のもとまでは邪魔なくたどり着いた。
「き、貴様は何者だ!!護衛の奴らはどうした!?」
わめくだけの薄汚い貴族を切り伏せ、なんとなく机の上にあった手紙を確認すると俺は驚きを隠せなかった。
......そこにあったのは同盟国であるはずの共和国からの帝国への裏切りを促す手紙だった。
二十話です。




