第十四話 誓いと別れ SIDEジン
十四話です。すいませんしばらく体調崩していました。
あの満月の晩からどれほどの時間が経ったのか、ブレイドと俺はお互いに剣を交えあった。最初は俺の方が、圧倒的に強かったのに、気が付いたら負けそうになることも増えてきた。あいつは天才というものなんだろう。そんな風にお互いを研鑽し合っていたところに俺とブレイドにそれぞれ引き取りたいという話が来たとシスターが言っていた。
ブレイドは王国の騎士団らしい、噂だが騎士団の副団長とのことだった。そして、俺に来たのは王国と国を一つ挟んだところにあるアイギス帝国の宰相と名乗る男だった。
奇しくもあの日と同じような満月だった、裏庭に俺とブレイドはお互いに剣を構えて立っていた。
ブレイドの剣は魔獣討伐の後に改めてシスターから貰った刃のつぶれていない直剣だ。昔に比べてだいぶ様になっている構えだった。そんなあいつに相対する俺の刃は......あの時使っていた白銀の片刃の刃だ。
「ジン......。」
ブレイドが俺を見つめて言葉を発する。その瞳は優しく俺を見ていた。
「なんだよ。」
あいつの目線に耐え切れず、言葉を返す。
「僕らの稽古も今日で終わりだね。」
「まあな。」
ブレイドとの稽古は悪くなかった。あいつの振るう剣はいつも楽しげだった。
騎士を嫌っていた俺には騎士という夢に向かって剣を振るうあいつはまぶしかった......
「ジン......僕は、君と共に騎士になってこの国を、孤児院の皆を守りたい!!」
ブレイドの不意の言葉に目を開く、あいつは俺が騎士を嫌っているのはこの2年間で分かっていたのに何を言うのだと思い、あいつを見る。
あいつも自分の言葉に驚いているみたいだった。そんなあいつを見ながらこの2年間を思い返す。
初めは、なんてまっすぐな奴だと思った。同時に俺はこいつを好きに思えなかった、あの馬鹿な親父に被ったからだ。
だけど、あの夜あいつの剣を見てしまった。
あいつの覚悟を知った。
そして、何よりも俺の心を知ってしまった。本当は親父に死んでほしくなかった、親父と騎士になって隣に立ちたかった。
それを教えてくれたのは目の前にいる親友だ。......だからこそ......俺は......
「......俺には、国を守りたいとか物を守りたい気持ちはあんまわかんねえ。でもお前が死ぬのはなんか嫌だ。だから俺はお前みたいな人間を守るために騎士になるのはわるくねえと思った。」
「じゃ、じゃあ。」
嘘をつく......目の前の友人を悲しませたくないから、そんな嘘をつく。叶うはずもない夢を語る。
「あぁ、お前は物守りたい物を守れ。俺は守りたい者を守る。そのために2人で騎士になって再会だな。」
「う、うん。次に会うときには君より強くなってみせるよ。」
「何言ってやがる。お前に俺が負けるわけねえだろ。」
あいつの笑顔をみながら俺もぎこちなく笑う。しっかり笑えているだろうか。
満月が笑顔の2人を照らす。1人は真実の笑顔を......1人は偽りの笑顔を......




