第十二話 決着 SIDE魔獣
十二話です。
月夜に照らされる中獣は苛立っていた。目の前の矮小な存在をいまだに食らい尽くせていないからだった。いつもなら矮小な存在は自慢の爪で切り裂けていた、それか牙で貫いていたはずだった......それなのに目の前の存在はいまだに生きていた。二つあった存在が一つになった時に弱い方をささっと喰らってもう一つも喰らおうと考えていたのに目の前の存在はいまだに生きていた。矮小なものの持つ武器では自分を傷つけることもできないのにそれはいまだに足掻いている。みじめに命を保っている。それに苛立ち獣は今まで使わなかった尻尾で叩き付けたら目の前の生き物が倒れ、ようやく喰らえる喜びに体を震わせ近づき命を喰らおうとした瞬間、顔にさっきまで与えられなかった強烈な痛みが走る。思わず後退した獣が理解したのは、一つになったはずの存在が二つに増え、増えたものが持っているものは自分を傷つけたものだということだった。
怒りを咆哮にこめ、自分を傷つけたものに爪を振るう。さっきまで戦っていた存在が剣で受け止め、自分を傷つけた刃が近づく、咄嗟に獣は体を回転させ尻尾を叩き付ける剣と刃は後ろに後退することで自分の尻尾を躱したことを理解し獣は再び怒りを覚えた。今までの矮小な存在はここまで長らく生きていることは無かった。身をかがめ刃に跳びかかる。それを横に避けた刃に爪を上から振り下ろす。その爪を剣が受け止める先ほどまでぼろぼろだったその生命はいまは力がみなぎっていた。それに驚愕した獣はわずかに動きを止めてしまった。その瞬間を見逃さず、剣は刃をみつめ、刃が首を下に動かす。刃は鞘に納刀され、一呼吸と共にその白銀の刀身が抜かれ獣の首めがけて弧を描く......満月の中獣の声は途絶えた
イクシオ王国の片隅にあるルイス孤児院。その孤児院のすぐそばにある暗き森。そこで生まれ、森に彷徨った旅人によって人の味を知った獣はその命を散らす。
倒したのは10歳の2人の英雄......その2人の英雄と誓いと別れの日はすぐそこまで迫ってきていた。




