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おばあ様は心配性 - 冒険者になった孫が心配だから、現役復帰して一緒にパーティを組む事にしました -  作者: ぷぷ太郎
【第四章】北国境のダンジョンでのあれこれと大貴族の悩み
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第97話

【更新について】


書き上がり次第随時更新となります。


よろしくお願いします(o_ _)oペコリ

【前回まで】


両親がいる北西国境へ向かう前に冒険者ギルドに立ち寄ったアリステア達一行。自分達に関する妙な噂が流れていることに少々うんざりしながらも、現在の状況とこれまでの経緯について説明を受けました。きな臭さを感じた為、寄り道せずに現地に向かいます。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「後な、今回の魔物暴走の対応の件で、国務省から報奨が出ている」


ディックは執務机の引き出しから報奨金の入った皮袋を出してきて、テーブルに置く。


「200万リアル入ってる。共有資産にするか1人頭で割るか、その辺は自分たちで話し合って好きに決めてくれ」


4人は顔を見合わせる。


「これは・・・結構な金額だと思うのですが・・・」


キースが切り出す。


冒険者として、依頼を受けそれを達成し報酬をもらうという流れを、一度も経験した事が無い為、相場がよくわからない。


「大抵の依頼の報酬と比べればもちろん高い。だがこれは報奨金だからな。非戦闘員が多数いる中で怪我人を一人も出さずに、地上に溢れた魔物を全て討伐した、さらに原因と思われる魔物も倒した。衛兵達の怪我まで癒した。それならこれぐらい貰っても良いと思うぞ。それと・・・」


「あそこのダンジョンの管理官は、今ヴァンガーデレン家の一族だろう?報告をよこした管理官から、報奨金についてはくれぐれもよろしく、という一言があったらしい。ヴァンガーデレンは国務省に対して影響力が強いからな。上乗せがあったのかもしれん。管理官は、余りお近づきにはなりたくないタイプだと聞いているが、仲良くなったのか?」


4人はまたもや顔を見合わせる。


一連の話の中で、どこまで話しても良いのだろうか。


ベルナルの名誉の為に「管理官はおバカでは無くまともな人なのだ」と言ってしまうと「じゃあ何故おバカの振りをしていたのか?」という話になってしまう。


「討伐の件もあって、だいぶ良くしてもらいまして・・・詳しくは話せないのですが、管理官は噂通りの人物では無い、とだけお伝えしておきます」


「ほう・・・まぁ貴族相手だと、言える事と言えない事は色々あるからな。了解した。で、もう一つある。こちらはギルドからお前さん達にだ。ちょっと立ってそこに並んでくれ」


4人が横に並びその正面にディックが立つ。


「王都冒険者ギルド ギルドマスター ディックは、北国境のダンジョンでの魔物暴走に端を発する一連の対応の結果を受け、キース、アリステア、フランシス、クライブを銅級冒険者と認定する。おめでとう。より一層の活躍を期待する」


そう宣言すると、懐から人数分の濃い青色のプレートを出した。


「冒険者証」だ


大人3人組は「おっ!懐かしいな!」という表情だが、キースは感激に目を潤ませている。


「僕・・・この間冒険者になったばかりですけど、良いのでしょうか?」


「キース、お前さんなら当然知っているだろうが、銅級、銀級というクラス認定は、長い年月冒険者をやっていたり、単純に強いから認定されるという訳では無い。公共性、社会性が高いと判断される成果を出した者に対して与えられるものだ」


「今回の魔物暴走に対する対応の成果は、先程も言ったが、非戦闘員を守った事、衛兵達の怪我を癒し、衛兵隊の円滑な運用に寄与した事、原因を突き止め排除した事で再発を防ぎ、地域の継続的な安全を確保した事、と国とギルドは考えている。な、公共性が高いだろう?どこからも文句なぞ出ない、見事な活躍だ」


「はい!ありがとうございます!」


笑顔を見せると、細くなった目尻から涙の雫が流れた。


(笑顔なのに涙を流すキース!破壊力やばい!)


ディックが一人一人に手渡し、皆その場で魔力を流す。


「最初の冒険者証はどうする?ギルドで回収しても良いし、持ってても良いが」


「記念なので持っていたいです」


これを手に入れるのをどんなに夢見たか知れないのだ。不要だからといって手放す気にはなれない。


「分かった。ただ、身分証としては使えない様にしなきゃならんから、魔石の魔力を抜く必要がある。後で窓口に寄ってくれ」


「承知しました」


「おめでとうキース!やったな!」

「本当に!それに、冒険者になってこんなに速く銅級に認定されるなんて、史上初じゃないの?」

「こりゃ白銀級も夢じゃないな!」


大人3人組に口々に褒められ、頬をほんのりピンクに染め照れる。


「皆さんのご指導のおかげです!ありがとうございます!これからもよろしくお願いします」


「うんうん。頑張ろうな」


3人もご満悦だ。


「とりあえず、こちらの用事は以上だ。お前さん達から何かあるか?」


「特には・・・」


「よし、じゃあ出る前に窓口に寄っていってくれ。後、向こうへ着いたらライアルやデヘント達に、長い間戻せなくてすまんと言っていたと伝えてくれ」


「分かりました!お伝えします」


「それじゃ、くれぐれも気をつけてな。冒険者は生きて帰ってきてこそだ。そこを見誤らない様にするんだぞ。3人がいるから大丈夫だとは思うが」


「はい!」



カウンター脇の扉から出ると、その場と待合室にいた冒険者とギルド職員達が立ち上がった。


サブマスターのサイモンが前に出る。


「新たに認定された銅級冒険者だ!皆で称えてやってくれ!」


歓声と拍手が湧き起こり、口笛が鳴り響く。


(僕達が銅級に認定される事は、皆知っていたのか。それで注目されていたんだな。まぁ噂もあっただろうけど・・・)


(キースさん・・・もう銅級冒険者なんて・・・やっぱり可愛いだけあるわ!あぁもうほんと連れて帰りたい!跡を付け回したい!)


(ハリー、あんたの先輩凄すぎるよ・・・まだ半月ぐらいしか経ってないのに・・・)


職員達もキース達の快挙を喜び、それぞれの思いを込めて称えていた。



「さて、この後はどうするか・・・」


「アーティは、お昼ご飯は『コーンズフレーバー』が良いですよね?」


「あっ、はい、お願いします・・・」


アリステアが小さくなって返事をし、フランとクライブが笑っている。


「よし、では、現地にいる人達への差し入れを買いに行くのはどうでしょう?王都を離れて数年経ちますし、現地では手に入らない物もあるのでは無いでしょうか」


「それは良いな!きっと喜んでくれるだろう」


港町である王都周辺の特産である、魚や貝の乾物とお酒、さらには流行りのお菓子類や茶葉を購入し、馬車の冷蔵の魔導具に収納する。


「お土産はこれでよしと・・・ちょっと早いですが、お店に行っちゃいますか。席で待たせてもらいましょう」


「そうだな。簡単に挨拶して、行き先だけでも伝えておこう」



店舗の裏に馬車を止め、入口から中を覗くと、テーブルを拭いているフィーナの姿が見える。


「フィーナさん、お疲れ様です」


「あら!?キース!みんなも!お帰りなさい!さぁ座って座って!あんた!おかあさん!」


フィーナなの大きな声に反応し、カウンターの隙間からアドルが手を挙げて笑顔で挨拶してくる。仕込み中だから離れないのだろう。プロである。


「お帰りみんな!無事で何よりだよ!ダンジョンでの用事は終わったのかい?」


イネスが水とメニューを持ってきた。


「はい、そちらは無事終わりまして、明日から北西国境にいる両親のところに行ってきます」


「そうかい・・・忙しいね・・・それにしても北西国境とは、また随分遠いね」


「はい、馬車で半月ぐらいかかるみたいです」


「そんなに長く馬車に乗っていると、振動や衝撃でお尻や腰を痛めそうだけど。でも、冒険者なら大丈夫なのかい?」


「いや、冒険者でも痛くなるぞ。クッションを敷いたりはするがそれでもな・・・」


「それを解消できる道具とかあれば、商売になりそうだねぇ。なんにせよ、気を付けて行ってくるんだよ」


「はい、ありがとうございます」


アリステアの好みで料理を注文し、十分に堪能した後、厨房の入口の脇からアドルに挨拶する。


「アドルさん、ちょっと行ってきます。また戻ったらお邪魔しますので、よろしくお願いします」


「あぁ、気を付けてな!待ってるぞ!」


笑顔で返事をしつつも、やはり鍋を振る手は止めない。


「フィーナさん、これ休憩の時のお茶菓子にどうぞ。最近人気なのだそうです。それと、こっちの紙はリリアに・・・」


先程、差し入れを買う時に一緒に買った、人気のお店

のお菓子と折りたたんだ紙を渡す。


「あら!いつもありがとねぇ。ありがたくいただきます」


(ほんと、こういうところがとてもマメだねこの子は・・・これは惚れちゃうわ)


「それでは行ってきます」


「ああ、気を付けて行っといで」


お客さんも増えつつあるので、静かにやり取りして店を出る。


「皆さん、後は何かありますか?僕はお屋敷に戻って、長距離移動に向けてちょっと準備をしたいと思いますが」


「私も特には無いな。二人は何かあるか?」


アリステアがフランとクライブを見る。


「はい、特にはありません」

「準備して、明日以降に備えて少しゆっくりするとしましょう」


「わかりました。ではお屋敷に戻りましょう」


ブックマークやご評価いただけると嬉しいですね!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

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