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おばあ様は心配性 - 冒険者になった孫が心配だから、現役復帰して一緒にパーティを組む事にしました -  作者: ぷぷ太郎
【第四章】北国境のダンジョンでのあれこれと大貴族の悩み
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第89話

【更新について】


書き上がり次第随時更新となります。


よろしくお願いします(o_ _)oペコリ

【前回まで】


隠し扉の先は、古代王国の魔術師の部屋でした。「見つけたご褒美に部屋ごと全部あげる」という書き付けを見つけ、さすがのキースも呆然気味。次の目的地の予定を立てて遺跡探索を終えました。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


遺跡探索を終え、管理事務所に戻った事を伝えに行く。


「皆さんお帰りなさい。遺跡はいかがでした?」


事務所に出てきていたベルナルが、入ってきた皆に気が付き声を掛けてくる。


「はい!とても興味深く成果の多い一日でした!」


「そ、そうですか。それは良かったです」


(今更そんなに見るべきところあったかな・・・?やはり私などとは着眼点が違うのだろうな)


自分から尋ねたにもかかわらず、思いがけない力強い返答に、ベルナルはちょっと引き気味である。


「そういえば皆さん、次の目的地とか、今後の出発の予定はもう決まっているのですか?」


「とりあえず両親の遠征先に行ってみようと考えていますが、具体的な日付まではまだ決まっていません。そう先ではないですが」


「そうですか・・・実はですね、今回の件の報告書を家に送ったところ、母と祖母が皆さんに直接お礼がしたいと言い出しまして・・・」


アリステアがピクリと反応した。


大人3人組は、各種交渉事は基本キースの判断に委ねているが、エヴァンゼリン達のキースに対する関わり方が気になっている(というか気に入らない)アリステアが口を挟む。


「ベルナル様、それは『王都の屋敷に来い』という事でしょうか?相手が王都内にいるならまだしも、外にいるにも関わらず屋敷に呼びつけるのは、いかにヴァンガーデレン家とはいえ如何なものかと思いますが?」


「私もそう思いまして、礼を言うのに相手を呼びつけるのはおかしいという事と、次の目的地に向かう予定もあるからと返答をし、回避を試みたのですが・・・それに対して送られてきた返事がこちらです」


手紙を出しキースに渡す。3人がそれを覗き込む。


手紙には、今回の件が外に漏れずに解決できた事を、ヴァンガーデレン家が如何に感謝しているか、それを伝えるには屋敷でのもてなしが必須であり、ぜひともお招きしたいという事が、長々と書かれている。


そこまではまあ良かったが、最後に書かれていた内容に皆驚いた。


「どうしても都合がつかなければ、私達がそちらへお礼に行く」と書いてあるのだ。


(いやいやいやいや、さすがにそれは・・・ねぇ?)


ヴァンガーデレン家の現当主と「あの」エヴァンゼリンが、王都からそう遠くないとはいえ、ダンジョンの管理事務所に来る。


お迎えと滞在の為に様々な準備をしなければならないし、夕方からなら食事の用意をどうするのか、という点もある。お付きの人達だけで一体何人いて馬車が何台になるのか。せっかく情報漏洩が秘密裏に片付いたのに大騒ぎの大混乱で何の意味も無い。


国軍を率いてきたファンアールト伯爵もまだ駐留しているのだ。目立つ事は避けたい。


「これは・・・正直ここに来られては色々と面倒くさいですよね・・・」


「本当に、大変、申し訳ない」


ベルナルはひたすら平身低頭だ。


(これだから大貴族というやつは!)


アリステアも苦虫を噛み潰したようなしかめっ面だ。


そもそも、この北国境のダンジョンと王都は馬車で鐘3つ程しか離れていないのだ。往復は難しくない。ましてや、身軽で自由が利く冒険者であれば尚更だ。


「自分達が行くと言えば断れずに彼らが来るだろう」という彼女らの意図が透けて見える。それがまた気に食わない。


「・・・分かりました。お招きをお受けいたします。急ぐ旅でもありませんから」


「なんとお礼を言ったら良いか・・・」


「元々、この件についてはこちらから声をかけて関わったのですから。これも良い経験になります」


「そう言っていただけると助かります」


「出発は明日ですよね?何時頃に致しましょうか?」


「はい、夕方までには着けたらと思いますので、ご都合良ければ1の鐘で出発できたらと」


「承知しました。では時間に合わせてこちらへ参ります。あ、そうです。ベルナル様、王都に行くなら、一箇所寄りたい所がありまして。街道沿いなので、それ程時間も掛からないとは思うのですが」


「ええ、分かりました・・・もしや、アンリが言っていた詰所の向かいの食堂でしょうか?」


「はい!ぜひお二人にも味わっていただけたらと。距離的にも一息入れるのに良いと思います」


「お茶菓子も素晴らしければ、お茶を淹れる腕も大変なものだそうですね。アンリもかなり気になっている様子でした。それでは皆で寄りましょう」


「貴族の方なら普通かもしれませんが、一般庶民には衝撃的なお茶とお菓子でした。ぜひ感想をお聞きしたいです」


「ふふ・・・ありがたい事に、うちにはアンリがいてくれますからいつもあのレベルのお茶が飲めますけど、彼ほどの者はそうはいません。ですが、家によってはそれ程重要視していなかったりもしますし、正直『普通だな』と感じる事も多いですよ」


程度に差はあれど、一般庶民でも普通にお茶を飲む習慣があるこの国では、「旨いお茶を淹れる家人がいる」というのも他家への強みと考える貴族も多い。引き抜き等で大金が動く事もある。


「そうなのですね・・・奥が深いです。それでは明日また1の鐘という事で。失礼します」


「はい。お手数おかけしますがよろしくお願いします」



夕食を終えあとは寝るだけとなり、まったりとした空気が流れる中、大人3人組は女性陣の部屋に集まっていた。


「どうにもヴァンガーデレン家の当主とエヴァンゼリンの、キースに対しての動きが気に入らん」


「家への立ち入りを許可する認識プレート、魔術師の研究書で誘い込むかの様な提案、今回のお礼にかこつけて呼び出しの件ですね」


「あぁ。もちろん、それに釣られて長逗留になったり引き抜かれたりという事は無いとは思うが・・・」


「一般市民の魔術師の少年相手に、そこまでの保護を与える理由が不明ですな。情報漏洩の件を口外してほしくないから、というだけなら良いのですが・・・何でもできる権力があるだけに、何を考えているのかわからないというのは落ち着きません」


極端な事を言えば、ヴァンガーデレン家が「この者たちは国王暗殺を企んでいるから捕らえろ」と訴えたら、国中から追われる身になってしまうのだ。


「白銀級冒険者のアリステアの孫、というのはとっくに気が付いているだろうから、滅多な事は無いとは思うが・・・」


「「「うーん・・・」」」


「あまり思い悩んでも仕方がありません。何事にも対応できるよう、準備万端整えておくしかありませんな」


「ああ、よろしく頼む!」


「案外・・・可愛いから家に来て欲しい、というだけかもしれませんよ?」


クライブがちょっと驚いた顔でフランを見る。皆が悩んでいる場面で、妻がそんな軽口を言うのは珍しい。


「確かに天下無類の可愛さだが・・・あのエヴァンゼリンだからな・・・」


アリステアは、リーゼロッテとの接点は無いが、エヴァンゼリンとなら、直接的、間接的に関わってきた。「可愛い孫を愛でる感覚で縁もゆかりも無い少年を贔屓する」とはどうにも考えづらい。


(アーティはそう言うけど、どうにもそんな気がしてならないのよね・・・)

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お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

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