第86話
【更新について】
連休中、旅行から帰ってきてからは、「7days to die」で遊んでおりました。時間泥棒ゲームだ・・・
modを入れたいのですが、いまいちよく分からない・・・英語が・・・
基本、仕事中に続きを書いている為、全然進みませんでした(;´Д`)
よろしくお願いします(o_ _)oペコリ
【前回まで】
情報が書かれていた書類を受け取っていたのは、衛兵隊副隊長のタニスでした。
しかし、書類内の個人名を書き換えてから流していた為、厳密には情報は漏れておらず最悪の状況は免れました。
ですが、情報漏洩があったという事実は事実。タニスは衛兵を辞めてヴァンガーデレン家で雇われる(囲われる)事になりました。
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一行は管理事務所のベルナルの執務室に戻った。しかし、皆の間には微妙な空気が流れていた。
秘密は漏れておらず、原本まで回収する事ができた。文句ない結果だ。
だが、立ったまま何とも言い難い顔で顔を見合わせる。
「ベルナル様、何と言うか・・・こう、モヤモヤするというか・・・」
「キースさんもですか?そうなのですよね。スッキリしないというか・・・」
「それは恐らく・・・タニスさんの父上の人生とは何だったのかと、そういう事なのではないだろうか」
「アーティ・・・」
「拾った物を懐に入れるのは窃盗で犯罪行為だ。しかも、清掃要員というのは、共用スペースなら大抵の場所に入って行けるし、居てもほとんど違和感が無い」
「そういった職種に就いている者が盗みが癖になってしまうと、もっと高価だったり、替えのきかない物に手を出すことも考えられる。そういった衝動は、自分自身でコントロールできなくなるというしな」
「しかしな、それはあくまでも可能性の話で、現実に判明しているのは筆記具1本だった。しかも屋敷内部では誰も気が付いていない。いくらヴァンガーデレン家で使っている物とはいえ、筆記具1本でそこまでの金額はしないだろう」
「その筆記具を売った僅かばかりの金を懐に入れたことで、他国の間者にいいように使われ、窃盗や漏洩の件がバレやしないかと常に怯えながら15年間だ。しかも、息子までその流れに巻き込んでしまった。それを思えば、やるせないと感じても不思議はない」
「・・・」
「だが、それは誰に強要された訳でも無い。一人の大人が自分でやった事が原因だ。息子であるタニスさんならまだしも、赤の他人の私達が余り気にやんでも仕方がないぞ。それより・・・」
「結局、どういう手口で書類は届いていたんだ?」
「恐らくなのですが・・・」
キースは書類筒を手に取り、宛名書きの部分を触り出す。
「この宛名書きに秘密があると思うのですよね・・・あ、やっぱりです、ほら」
キースが示した部分を皆で顔を寄せ合い覗き込む。
「これは・・・2枚重なっていますね。端が少しズレています。上だけ剥がせますか?」
「ちょっとやってみます」
キースは宛名書きの端を爪の先で引っ掻き取っ掛りを作ると、上だけをゆっくりめくり始めた。
多少下の紙も剥がれはしたが、剥がし終わった時には、ヴァンガーデレン家側で貼った『 冒険者ギルド支部担当者殿』という宛名書きが出てきた。
「何とも・・・単純というか簡単な手口でしたな・・・」
「特殊な手段では連絡員では対応できないですものね」
「たったこれだけの事に半年も苦労していたというのは、少々・・・」
ベルナルとアンリは苦い顔だ。
「終わってみれば何でも簡単に思えるものです。それに、筒はお二人の手元に無かったのですからじっくり調べる事もできません。仕方の無いことです」
「そう言っていただけると、少し気が楽になります」
ベルナルは、そう言ってキース達の方へ向き直る。
「皆さん、この度は解決に力を貸していただきありがとうございました。何とか露見せずに終わらせる事ができ、役目を果たす事ができました」
「お二人こそお疲れ様でした。この後はどうされるのですか?すぐ王都に戻られるのですか?」
「さすがにそこまで好き放題はできませんので、次の異動の辞令が出るまではこちらで管理官を勤めます。任期は基本2年、長くても3年ですのでそれまでは」
わざわざ公にする事でもないという事で公表はされていないが、国務省内では、ダンジョンの管理官の任期はわざと短めに定められている。
魔石という高額で取引される物品を扱う為、あまり長く勤めて何かあっても良くないという事だ。
「では・・・まだあの口調を続けなければならないのですね」
「そうなのです・・・どうしましょうか。もう必要ない訳ですが、急に変わったらそれはそれでおかしいでしょうし・・・あれは正直苦痛です」
「でしょうね・・・」
それはそうだろう。あれは本来のベルナルとは正反対と言っても良い。
「やはり、小出しにしてゆくしかありませんな、坊っちゃま」
「ええ、素の部分を出しつつ、業務では必要最低限の接触を心掛けていきたいと思います」
元々管理官はダンジョンの最高責任者である。本来のベルナルを知らない人物のうち、仕事上、どうしても関わらなければならない人間は、ギルド支部長、衛兵隊長ぐらいだ。
それに、ヴァンガーデレン家という大家の、あの態度の坊っちゃまである。先に挙げた2名も仕事だからやり取りしているだけであり、それ以外に関わりたいと思う人はいない。
「後、この書類筒を川に流してと言っていたけど、それだけで相手の下にきちんと届くものなのかしら?」
「トゥーネ川は、河口付近の潮の流れが北向きなのです。ですので、流せば自然とターブルロンド側に流れて行き、大体いつも決まった範囲にうちあげられるのでしょうね。潮の流れというのは基本変わりませんから」
「なるほど・・・」
「直接関わっているだけで、タニスさんの父、回収して集荷場に持っていく者、集荷場の受付、タニスさん、ターブルロンドで回収する者と、5人は見積もれますな」
クライブが顎を撫でる。
「そこに、全体を管理する者、現場で連絡員らに接触する者等を入れると、10人弱ぐらいにはなりそうですね」
「果たして、長年それだけの人数と費用を掛けて、どれだけの成果があったのでしょうな」
「諜報活動というのは不安の裏返しのようなものです。相手がやっているであろうからこちらもやる、という面もありますから、費用や効果は二の次なのでしょう。さて・・・」
「では皆さん、今日はこれで解散いたしましょう。繰り返しになりますが、本当にありがとうございました。キースさんとアンリには王都へも行っていただいて、お疲れ様でした」
「いえいえ、無事の解決が何よりです。僕もまだまだ世間知らずですので、色々経験でき勉強になりました」
(普通の冒険者は、ここまでの大貴族と直接関わりあったりしないけどな)
(魔物暴走に大貴族家での情報漏洩問題・・・普通こんな経験しないだろう)
(ほんと、キースの周りでばかり騒ぎが起きているわね。どういう星回りなのかしら)
皆それぞれ、色々考えつつ宿に戻った。
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