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おばあ様は心配性 - 冒険者になった孫が心配だから、現役復帰して一緒にパーティを組む事にしました -  作者: ぷぷ太郎
【第四章】北国境のダンジョンでのあれこれと大貴族の悩み
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第78話

【更新について】


書き上がり次第随時更新となります。


よろしくお願いします。


前回のまとめ的なものを付けています。


「あれ?前回どんなところで終わってたっけ?」という事ありませんか?


私はよくあります・・・

【前回まで】

無事タイラントリザードを倒し帰還したアリステア一行。ベルナル様に報告したところ、「夕方また来てほしい」と言う誘いを受けました。時間になったのでみんなで向かいます。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


管理事務所に入るとアンリが待機しており、皆を出迎えた。


「皆様いらっしゃいませ。ご案内致します」


アンリに続いて部屋に入ると、既にお茶の用意が整っており、ベルナルが待っていた。どことなく顔色が良くない様にも見える。


「皆さん何度もありがとうございます。どうぞ掛けてください」


皆がソファーに掛けると、アンリがお茶を淹れ始める。


香りからして茶葉は先日と同じ物の様だが、側仕えが淹れた時とは、部屋に溢れる香りが違う。そのお茶は、あの食堂に匹敵する程の素晴らしい味だった。


(この人なんでもできるんだな・・・)


「皆さん既にお気付きかと思いますが、私が異動願いを出してまでここへ来たのには、それなりの理由があります」


ベルナルが目を閉じながら切り出す。言葉を選び、喋る内容を頭の中で整理しているのだろう。


「一々他言無用などと言わなくても、皆さんなら大丈夫だとは解っております。ですが、それでも敢えて、他言無用でお願いしますと言わざるを得ません。ヴァンガーデレン家にとって、それぐらいの話です」


「おばあ様や両親からは、私とアンリで処理しろと言われておりますが、正直手詰まりを感じています。皆さんに知恵をお借りしたく、私の一存でお話します」


(思ったより大事っぽいな・・・)


ベルナルは目を閉じたまましばし逡巡していたが、目を開けた。心が決まったようだ。





「ヴァンガーデレン家の本家の屋敷で雇っていた男が、ターブルロンドの諜報員だった事が判明しました」



!?



皆あまりの事に言葉も無かった。



「しかも20年もの間です」



(これは確かに言えないわ・・・)


「それは・・・ご愁傷さまです・・・」


他に何を言えば良いのか。


国家の中心に位置する大貴族であるヴァンガーデレン家が、ターブルロンドの諜報員を長年雇っていた。致命的なスキャンダルである。


もちろん、国に対して不利益をもたらす事があってはならない。だが、よりまずいのは、「ターブルロンドが得ていたエストリア関連の情報は、全てヴァンガーデレン家から漏れたものだ」と指摘されても否定できない事だ。


ヴァンガーデレン家と敵対関係にある貴族、そこまでいかなくても、ヴァンガーデレン家が弱体化すれば得をする貴族はたくさんいる。その者達が知ったらどうなるか。


逆に、ヴァンガーデレン家に好意的な、完全に庇護下にいる貴族達はどうなるか。


国を支える柱の一本に大きなヒビが入る。もしかしたらそのまま折れる可能性もある。


「なぜこの件が発覚したのかをご説明します」


話し始めたら少し気楽になったのか、ベルナルの顔色が先程より少し良くなった様だ。こんな話を1人で抱えて一族以外の他人に切り出そうというのだ、顔色も悪くなる。


・諜報活動をしていたのは、清掃担当だった60歳の男。勤続20年。


・20年のうち諜報員として活動していたのは15年。


・屋敷の中で見聞きした事を纏めて、3ヶ月に一度の頻度で送っていた。男が重要と自分で思った事については、その都度送っていた。


・先日この男が出勤してこなかった為、清掃の責任者が家を確認に行ったところ、ベッドで亡くなっていた。健康問題については、持病等については特に聞いた事は無かった。


・「身寄りはいない」と聞いていた為、アンリも立ち会って部屋の荷物整理をしていたところ、出てきた手記に経緯が書かれていた。


「屋敷には多くの下働きの者がいますが、長く勤めていただけに、この者の顔は私も記憶にあります。見た感じはごく普通の男です」


「もちろん、下働きもいる様な場所で国の施策やら重要な話などはしません。せいぜい、〇〇家の三女の婚儀があるとか、どこそこの息子の就職先が決まったとか、その程度の話です」


「しかし、何が有用かを決めるのは聞いた側です。先程の例え話も、私達が知らない情報と組み合わせたら、重大な話に結びつくかもしれません」


「とにかく、その内容に関わらず、ヴァンガーデレン家から話が漏れていた、という事実がもう駄目なのです。そこは絶対に守らなければいけません」


ベルナルは思い詰めた表情のままお茶を一口飲む。


「この男性はなぜこの様な行為に手を染めたのでしょうか?」


「彼の手記にはその辺の事も書かれていました。どうやら脅迫されていた様なのです」


「脅迫・・・」


「はい。勤め始めて5年程経った時、屋敷内で筆記具を拾ったそうなのです。彼はそれを清掃の責任者に渡さず、買取も行っている質屋に持ち込んでしまいました」


「そこは盗品でも構わず買い取る様な、かなり怪しい店だったそうです。そして彼は気付いていなかったのですが、筆記具の内側にはヴァンガーデレン家の紋章が彫られていました。当然それは、買取の際に確認されていました」


「しばらく経ったある日、仕事帰りに安居酒屋で酒を飲んでいたところ、見知らぬ男が話しかけてきたそうです。相手は、彼がヴァンガーデレン家で働いている事、家紋入りの筆記具を売った事を知っていました。そしてそれをどうやって手に入れたのかと尋ねてきたのです」


「もちろん彼は答えられません。それだけで不正に持ち出した事はバレた様なものです。それを黙っていて欲しかったら・・・と話を持ち掛けられたそうです。後、息子が就職したばかりだな、馘首にならなければ良いな、とも言われたそうです」


「それは・・・そこまで知られているのではどうしようもありませんね・・・」


「はい。彼に逃げ道はありませんでした」



「どのような手段で情報は流れていったのでしょう?その辺はもう判明しているのですか?」


「はい、少なくとも4人の人間が関わっている事は解っています」


・清掃担当の男が見聞きした事を纏めて紙に書いた物を、書類を入れる筒に入れ所定の場所に置く。


・連絡員Aが回収し、受付員Bが勤務している日に、北街道方面の荷物が集まる集積所に持って行く。「冒険者ギルド支部担当者宛」と言って、納入物(まっさらな紙束)と一緒に書類を二通出す。


・届いた書類をここにいる誰かが受け取る。


「という流れです。男性は死亡、連絡員Aも色々あって亡くなりました。偽報告書の作成と集積所への届け出はヴァンガーデレン家の方で担当し、ルートが無くならない様に継続しています。もちろん中身は有りそうな作り話です」


(いろいろあって亡くなったって・・・大貴族怖い)


「冒険者ギルド支部宛の荷物の中には入ってないのですね?」


「はい、以前一度、『 届くはずの書類が届いていない、そちらに紛れていないか確認させて欲しい 』と言って見させてもらった事があります。届いたのは、まっさらな紙束とその納入書だけで、一緒に預けた偽報告書は入っていませんでした。兵舎宛の荷物も同様に確認しましたが、その中にもありませんでした」


「ふむ・・・荷物を預けた集積所の受付員Bというのが非常に怪しいですが、彼には問いただしたりはされたのですか?」


「そこなのですが・・・」


ベルナルの顔が苦渋に満ちたものになる。


「受付員B又は運搬員である御者が、預けた荷物に対して何かしらの処置をしている、という点はこちらも考えました。しかし、この集積所というのがネックになっていまして、彼らに直接的な手出しができません」


「集積所というのは、配送前の荷物が集まる場所だと思うのですが、そんなに特別な場所なのでしょうか?」


キースが不思議そうに首を傾げる。


「集積所は、東西南北の各街道方面へ運ぶ荷物が集まる場所です。そこで荷物を預け、重さと届け先の街や村までの距離に応じて、料金が設定されています」


「この商売は需要が途切れる事も無く安定して儲かりますので、集積所の管理を委託される事は権益の一つなのです。その為、委託先も一つの商会に偏らない様に各方面ごとに4つの商会に分散されています」


「そして、北街道方面は、よりによってファンアールト家が懇意にしている商会が仕切っているのです。あまりしつこく周囲を嗅ぎまわったり、従業員に接触して何かの拍子にバレてしまうと、商会経由でファンアールト家が出てきてしまう事になります。あの家にだけはバレてはいけません」


「荷馬車は、ここに来る途中の村などにも寄りますよね?そこで下ろされているという事はないのでしょうか?」


「王都から近い事が幸いして、ここに来るまでには村が1つと、街道沿いの衛兵の詰所があるだけですが、監視の要員を配置させ、そのどちらでも下ろされていないことを確認しています」


「となると、やはりここの誰かが書類を受け取っているのですね・・・」


「はい、我々はそう考えています。なんとしてもその人物を見つけ出したいのです」


ベルナルは大きくため息をついた。

ブックマークやご評価いただけると嬉しいですね!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

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