第76話
【更新について】
書き上がり次第随時更新となります。
よろしくお願いします。
前回のまとめ的なものを付けています。
「あれ?前回どんなところで終わってたっけ?」という事ありませんか?
私はよくあります・・・
【前回まで】
遂に魔物暴走の原因と思われる魔物に遭遇したアリステア一行。特殊個体だった事もあり、一旦撤退して状況と情報を整理し作戦を練ります。クライブから「私とアーティで戦いたい」と意外な申し出を受けキースは了承しました。
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アリステアとクライブは、長年同じ家で暮らしてはいるが、冒険者として一緒に活動した事は無い。昨日ゴブリンやコボルト相手に戦ったのが初めてだ。(王都の冒険者ギルドの待合室で暴れたのを除く)
お互いに、できるだけ早く、連携、魔導具の身体、新しい武器に慣らしてゆく必要がある。
それをこの強敵相手でするのは無謀な気もするが、あまり弱いとすぐに終わってしまう。それに、キースとフランも万全の体制で待機している。何かあってもフォローが利くし、タイラントリザードがいるせいで、他の魔物は寄ってこない。これだけ条件が揃った状況は中々無いだろう。
アリステアとクライブは、先程のタイラントリザードの動きと攻撃パターンを思い出しながら、相手の攻撃に合わせた自分達の動きを打ち合わせる。
「よし、キース。もう大丈夫だ」
「分かりました。では魔力付与をしますね」
「私は念の為全員に< 身 体 強 化 >を掛けます」
キースが魔力を付与すると二人の武具が青みを増した。刃はより鋭く、鎧や盾はより硬く衝撃を殺す。
「では戻りましょう。いきなり目の前にいる可能性もあります。それは承知しておいてください」
皆頷く。
「では、起動」
一瞬で景色が変わり、先程の草原に出た。
幸い、タイラントリザードは目の前にはいなかったが、すぐにこちらの存在に気が付いた様で、ゆっくりと近づいてきた。
先程と同様、クライブを前に、アリステアはその右後方に位置を取り、警戒しながら間合いを詰めてゆく。
クライブのメイスが届くまで後2歩程の距離まで来た時、タイラントリザードが動いた。
今度はクライブの左側から噛みつきにくる。
クライブは先程は盾で受け流したが、今度はメイスでカウンターを取ることにした。
大きな牙が生え揃った巨大な口を目一杯開けて迫ってくる。
それに合わせて、メイスを振りかぶり相手の口の上、鼻面の辺りに思い切り叩きつける。
ガッギィィン!!
まるで金属同士がぶつかった様な音が響き渡る。
クライブのメイスとタイラントリザードの頭、どちらも弾かれた様に宙を泳ぐ。
先程は噛みつきの後、勢いを利用して尻尾を叩きつけてきたが、バランスを崩しているせいか今回はしてこない。そのまま距離を取る。
(やはりかなり硬いな・・・)
しかし、アリステアとクライブは、殴りつけ身体が泳いだ瞬間、タイラントリザードの動きが一瞬止まったのを見逃さなかった。
「一応効いてはいる様ですな!」
「ああ!隙きを見つけて殴っていこう!」
頭の中に脳が収められているのであれば、脳が揺れる頭部への打撃は、どんなに身体が大きくても効果がある。
タイラントリザードは、自分に攻撃を加えてきたクライブを標的と定めたのか、頭を前に出した突進を執拗に仕掛けてきた。
噛みつきなら武器や盾を合わせる事もできるが、体重の乗った突進では避けるしか無い。
しかし、< 身 体 強 化 >の効果もあり、重装備のクライブでも動きは軽い。
突進を根気よく避け続けているうちに気が付いた。
(息があがってきている・・・巨体のくせに走り回っているせいだな)
「アーティ!奴は突進のし過ぎで疲れ始めている様です!」
「了解した!タイミングを見て狙うぞ!」
疲れと、クライブを捕まえられない苛立ちからか、タイラントリザードは一際大きな咆哮をあげると、クライブの右側から噛みつきにきた。
(きた!)
クライブは盾を掲げ、何度目か判らない噛みつきを左下へ受け流す。
(綺麗に受け流せばおそらく・・・)
やはり遠心力を利用して身体を回転させ尻尾を振り回してくる。
(それはもう解っているぞ!)
「クライブ!伏せろ!」
クライブの左側には、一刀を両手で持ち構えるアリステアがいた。
ショートソードに思い切り魔力を込める。
クライブは、自分の前方の地面に向けて頭から飛び込み伏せる。
「おおおらぁあああっっ!!」
アリステアは、自分の右上から迫る尻尾に向け、タイミングを合わせてショートソードを叩きつけた。
一瞬「キィン!」という澄み渡った音が響き、タイラントリザードの尻尾はその半ばで断ち切られた。
本体は、尻尾を失った事によりバランスが取れず、地面に倒れ込む。
すかさずクライブが盾を捨てて駆け寄り、頭を目掛けて、両手で持ったメイスを水平に振り回す。
腕だけで振るのでは無く、前から飛んでくる球を打つかの様に、脇を締め腰を起点に体ごと回転させる。
「はあああぁっ!」
ゴッギィィィィンン!!
タイラントリザードの動きが止まる。
止まったところをさらにもう一発、二発とスイングする。タイラントリザードは脳震盪を起こしぐったりと倒れ込んだ。頭蓋骨にヒビも入っただろうか。
そこに今度はアリステアが飛び掛かり、思い切り体重を乗せて、首と頭の境い目辺りにショートソードを突き立てる。ミスリル製のショートソードは、柄まで一気に刺さり、刃先は反対側に飛び出た。
引き抜き離れると同時に、傷口から高々と血が吹き上がる。
タイラントリザードはそのまましばらく痙攣していたが、首から吹き出る血が収まる頃には、完全に動きを止めた。
そこまできて初めて、二人は大きく息を吐いた。顔を見合わせ、ニヤリと笑いながら拳をゴツンと合わせた。
離れたところで手に汗握っていたキースが駆け寄ってきた。興奮で瞳を輝かせ、頬をピンクに染めている
「お二人共お疲れ様でした!いや~相手の動きを読み切っての素晴らしい連携でしたね!倒した後のニヤリからのゴツンがまた・・・くぅ~溜まりません!」
(やはり好みだったか・・・ほんとベタなのが好きだなキースは)
「さて、このタイラントリザードはどうしましょうか・・・皮とか牙とか素材になりますよね?」
「そうだな。今はまだ魔力が体全体に回ったままだから、皮が硬過ぎて剥げんな。皮を剥ぐのは魔力がある程度放出してからですな」
魔物は死ぬと、魔石以外の部分からは徐々に魔力が抜けてゆく。
「では、休憩がてら今後について打ち合わせましょう」
イビ◯ジョー?は部位破壊までされ、無事討伐されました。
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