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おばあ様は心配性 - 冒険者になった孫が心配だから、現役復帰して一緒にパーティを組む事にしました -  作者: ぷぷ太郎
【第四章】北国境のダンジョンでのあれこれと大貴族の悩み
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第74話

【更新について】


書き上がり次第随時更新となります。


よろしくお願いします。


前回のまとめ的なものを付けています。


「あれ?前回どんなところで終わってたっけ?」という事ありませんか?


私はよくあります・・・

【前回まで】


ベルナル様に呼ばれて魔物暴走の原因調査を依頼されたアリステア一行。腹の探りあいもありましたが、キースに感服したベルナルは、貴族的腹芸をやめ話を進めることにしました。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「そこまで解ってしまうのであればお話します。今回派遣されてきた部隊の指揮官は、ジュリアン・ファンアールト伯爵といいます。歳は私の一つ下ですが、既に家を継いでおりますので本人が家長となっています」


「歳が近いのもあり、以前から私の事をかなり意識していまして、何かというと絡んでくるのですが、私と彼は性格や考え方が全く合いません」


「まぁ、どちらかと言えば私が変わっているのですが・・・彼は、皆さんが思い浮かべる典型的な貴族と思ってもらって良いです」


(それは合わないわな・・・)


「では、国軍の支援は受けられないということですね?」


「また魔物が溢れでもすれば別でしょうが、そうでもない限り、彼らは何もしないでしょう」


「正直、下手に手を出されてもやりづらいだけだと思いますので、見ているだけであればそれで問題はありません。それに・・・」


キースの瞳が輝き出す。


「この魔物暴走という現象は、そうそう経験できません。今回が人生唯一であっても不思議無い。発生時のダンジョンの内部がどのような状態なのか、非常に興味深いです」


頬をほんのりピンクに染めて熱く語る。


ベルナルは、急にテンションが上がったキースを見て、目をぱちくりさせている。


「ベルナル様、彼は少々好奇心が強いのです。お気になさいません様に」


アリステアがキースの脇腹を突く。


「は、はぁ・・・」


(命の心配より、自分の好奇心を満たす未知の現象の方が優先ですか・・・ある意味魔術師らしいとも言えますが、相当ですね)


「それではみなさん、ダンジョンの調査よろしくお願いします。どういう状態か分かりませんので、くれぐもお気をつけて」


ベルナルが右手を出す。こういうところも、彼は貴族らしくない。


「かしこまりました。吉報をお待ちください。それと・・・」


ベルナルの右手を、両手で包み込むように握ったキースが体を寄せ笑顔で囁く。


「もう一つのお悩み事も、お手伝いできたらと思っています」


「そうですね。お願いできたらと思います」


ベルナルも笑顔で返したが、今日最大の衝撃を受けた。それでも笑顔で返答できたのは、大貴族の一族として教育を受けてきた賜物だろう。


4人が部屋を出て、側仕えに案内されて行くのを< 探 査 >(癖になっているのだ)で感知すると、ソファーにぐったりと沈みこんだ。


さすがに気持ちが分かるのか、今日はアンリも指摘しない。


「いやはや、本来の目的がある事もバレていましたか・・・」


「とんでもない少年でした。二つ名は伊達ではありませんな」


「頭の回転が速く、1を切っ掛けに7も10も導き出す。魔力、魔法、魔法陣、どれをとっても規格外。あれでは誰もが欲しがりますよ・・・彼なら、解決に良い知恵を貸してくれるかもしれません」


「よろしいのですか?皆様方から他言無用と言われているのですよね?」


「彼らが裏切って、ジュリアンのところに行ったりしたら、それは私の見る目が無かったということです。その時は腹をくくりますよ」


(まぁ、まずそれは無いとは思いますが・・・)


ベルナルは、一つ大きく息を吐くと、この日済ませなければならない業務に取りかかった。



4人はギルドで依頼の受注処理を済ませ、用意のため一旦宿へ戻った。


装備を付け、各種薬品類を確認し部屋を出る。宿の出入口まで来た時、キースが思い出したように声を上げた。


「部屋の扉に施錠の魔法を掛けてくるのと、一応念の為用の準備を忘れました。皆さん先に行っていてください」


キースは一旦宿の中へ、大人3人はダンジョンの入口へ向かった。


入り口付近には変わらず、衛兵たちが3人一組で見張っている。


「どうも、お疲れ様です」


「おう、皆さん!もしかして・・・調査に入るのか?」


4人の様子を見て訪ねてくる。


「はい、行ってきます。なので今張ってある結界は一旦解除します」


キースがそう言うと、衛兵たちは「えっ!?」という顔になる。


「大丈夫ですよ。僕達が入ったらこれを起動させて、また入り口を塞いでください」


そう言いながら、結界の魔法陣が書かれた紙を渡す。


「おっ、おう・・・ありがとう、承知した」


キースはその場にしゃがみこみ、魔法陣に手を触れ魔力を流す。音もなく結界は消えた。


その途端なんとも言い様のない気配が皆を襲う。


(これは・・・この間の)


キースが結界を張った時に感じた気配と同じものだ。


衛兵たちは完全に腰が引けている。


「それでは行きましょう」


皆が黙って頷く。


「すぐに結界を張ってくださいね」


衛兵に言い残し、階段を下り始める。


先程の気配は感じられない。常に発しているわけではないようだ。何かがいるのは間違いないが、あれだけでは分からない。


階段を降りてすぐのところには、小さい魔石がいくつか落ちている。外に出ようとしたが出られず死んだのだろう。


ダンジョンがダンジョンたる所以は、一定期間でフィールドが変化することだ。草原、森林、市街、岩山、海辺等々、なぜこんな事が起きるのか解明できたものはいない。今後もいないのではないだろうか。


今回のフィールドは草原だった。見通しも良いし、障害物も少なく戦いやすい土地とも言えるが、隠れたり逃げたりはできない。正面から勝負するしかないのだ。


「ちょっと< 探 査 >で周囲を確認します」


キースは、薄く薄く魔力を広げていく。


「500mまで広げましたが、特に反応はありませんね」


「・・・そこまで広げて何も反応がないというのは、逆におかしいな・・・昨日のような小さい反応の魔物もいないのか?」


「はい、全くありません」


「昨日全て外に出たということでしょうか?」


「それか、昨日外に出られなかったぶんは、先程の気配の持ち主が倒してしまったのではないですかな?」


「うん、その可能性が強いですね」


「そいつの反応もないんだな?」


「はい、ありません」


「ここではなく、まだ下の層なのでしょうか?」


「とりあえず下層への通路を探しながら、注意して進みましょう」


「「「了解!」」」

ブックマークやご評価いただけると嬉しいですね!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

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