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おばあ様は心配性 - 冒険者になった孫が心配だから、現役復帰して一緒にパーティを組む事にしました -  作者: ぷぷ太郎
【第四章】北国境のダンジョンでのあれこれと大貴族の悩み
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第72話

【更新について】


書き上がり次第随時更新となります。


よろしくお願いします。


前回のまとめ的なものを付けています。


「あれ?前回どんなところで終わってたっけ?」という事ありませんか?


私はよくあります・・・


なお、打ち合わせばかりで動きが少ない為、2話同時投稿となっております。

【前回まで】

ベルナル様は、この「北国境のダンジョン」で起こっている何かを調べる為に、自ら異動を希望した様です。衛兵隊長のカーティスに、ベルナルの本来の(と思われる)姿を説明し、彼が何を調べに来たのか皆で考えます。「ダンジョンだから魔石の横流しでは?」という意見も出ましたが、どうもしっくりこない様です。


□ □ □


「・・・今、なんとおっしゃいました?」


ベルナルは思わぬ言葉に、お茶のカップを口に運ぶ途中で動きを止めた。


「ですから、冒険者は連れてきていません。報告では、冒険者が溢れた魔物を退治したとありました。その者達にやらせればよろしいでしょう?」


「魔物暴走」が発生した翌日、ベルナルは自室に到着した国軍の指揮官を迎えていた。


指揮官は、ジュリアン・ファンアールト伯爵。ベルナルより1歳下だ。


爵位は伯爵と侯爵であるヴァンガーデレン家より下だが、父親が一昨年亡くなり家長となった為、幾ら階級が上でも蔑ろにはできない。


「そもそも、彼らはここのダンジョンの探索が目的で来ているのですよね?冒険者ギルドから正式な依頼として発注すれば良いではありませんか。何の問題があるのです?」


「内部がどの様な状態になっているか分かりません。一組だけでは危険です」


「それは彼らが帰ってこなかったら考えれば良いのですよ。ここはダンジョンなのだから、放っておいても代わりの冒険者はいくらでも来るでしょう」


ジュリアンは心の底から不思議そうに首を傾げる。


(よりによってジュリアンが指揮官とは・・・)


到着した国軍を出迎え、指揮官としてジュリアンが前に出てきた時、ベルナルは心の底からがっかりした。


はっきり言って、ベルナルはジュリアンと絡みたくない。2人の性格は正反対と言っても良いだろう。性根が違い過ぎるのだ。


ジュリアンは、自分と自分の周囲の人々にしか興味がない。自領の住民ならまだしも、見知らぬ一般市民などどうでも良い。典型的な貴族だ。


しかし、どちらかと言えば、貴族として少数派なのはベルナルだ。それは本人も自覚している。


「数日滞在して、魔物暴走の兆候が無ければ帰りますので。私達は、ダンジョンに入って魔物倒せという指示も受けていませんし、そもそもそれは国軍の役割ではありませんしね」


あくまでも、溢れた魔物の討伐と治安維持の為という事を強調する。


(要するに何もしません、という事か)


「分かりました。もし何かあればご助勢ください」


「ええ、その時は喜んで」


満面の、意地の悪い笑顔だ。


(そりゃ嬉しい状況だろうよ)


ジュリアンが手助けする状況、それは裏を返せばベルナルが苦境に陥っているという事だ。


自分がベルナルの窮地を救えば、自分の評価は上がりベルナルの評判を下げる事ができる。


上位の美味しいポストの数は決まっているのだ。同年代は皆ライバルで、足の引っ張り合いである。


「何かあればいつでも言ってきてください。あなたの為なら何でも承りますよ。ではまた」


ジュリアンは席を立ち部屋を出ていった。



ベルナルは溜息をついてソファーに身を預けた。


ジュリアンを送っていったアンリが戻ってくる。


「お話はいかがでしたか?」


(まぁ予想は着きますが・・・)


「こちらの失敗しか望んでいない相手と話をしても、何の実りもありませんよ」


ベルナルはジュリアンと話した内容を説明した。


「そこまで何もしないとはっきり仰ったのですから、清々すると割り切るしかございませんね。国軍をアテにするのはやめましょう」


「ええ。敵か味方か判らないよりかはマシ、と思うようにします」


ベルナルは肩をすくめる。


「それでは、ダンジョンの調査を彼らに頼みますか」


「ええ、他にいませんし仕方がありません。受けてくれますかね?」


「それは大丈夫ではありませんか?実際ここに来る途中だった訳ですから」


「ふむ・・・ではアンリ、冒険者ギルドに行って支部長に依頼の件を話をしてきてもらえますか?後、彼らに使いを出して、こちらに来てもらいましょう」


「ギルドで説明をするのではなく、ここで、ですか?」


「ええ、ここで、です」


それは自分の本来の姿で話をする、という事だ。


「・・・かしこまりました」


「アンリ、彼らは大丈夫だと思います。あのアリステアの孫というのもありますが、何というか・・・そんな気がします」


上手く言えない様だ。


「とりあえず、私がここに来た理由はまだ話しません。それはダンジョンの方が片付いてからで良いでしょう。行く前に余計な事を話して、気を煩わせる事になっても迷惑でしょうし」


(そこまでは踏ん切りがついていない、という事ですかな)


「かしこまりました。手配してまいります」


「お願いします」


(さて、どうやって切り出しましょうね)


ベルナルは腕を組んで目を閉じ考え始めた。



「正直、向こうから接触してくるとは思いませんでした」


「そうだな。でも話が早くて良いかもしれん」


アリステアは回りくどい事は嫌いだ。


「話の内容は何かしら?」


「おそらくは・・・魔物暴走の調査を、僕達にして欲しいのだと思います」


「国軍が連れてきているのでは無いですかな?ここが発見された時は、一緒に来たという記録を見た事があるが」


「先程国軍が集合している辺りを見てみたのですが、それっぽい格好をしている人達はいなかったのですよね・・・」


眉間に皺を寄せ、首を傾げながら先程見た光景を思い出す。


「何で連れてこないのだろうな?一般兵ではダンジョンは無理だろう」


まさか、貴族の派閥と勢力争いと足の引っ張り合いの結果とは思わない。


「うーん・・・それもおそらく話になると思いますので、ベルナル様にお尋ねしましょう」


「ま、呼んだ以上は説明してくれるだろうからな」


「はい・・・」


(さて、どこまで話してくれるのか・・・)

ブックマークやご評価いただけると嬉しいですね!


お手数おかけしますがよろしくお願いします(*´∀`*)

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